「モモちん!ハグレ王国を紹介するでちよ」
「うん?それはありがたいが‥モモちんって、もしかして俺のあだ名か?」
ハグレ王国の国王であるデーリッチがモモンガにあだ名を付けて呼んでくる。
この子は一人で居ると気を使って和に入れるようにと声をかけてくるようだ。
見知らぬ異界一人に飛ばされたモモンガにはそれが温かく、嬉しかった。
デーリッチに手を引かれてハグレ王国を案内してもらうと、食堂に3人の少女が居る。
「お、ブリちんじゃないでちか、ここにいたんでちか
ちょうど良かった、新しいお仲間の紹介でち、挨拶するでちよ」
「おう、デーリッチとムリゲータワーの骸骨ハグレか。
ブリギットだ、呼び方は別にデーリッチと同じ〝ブリちん〟でもかまわないぞ」
「モモンガだ、宜しく頼む。」
飛行する椅子にこしかけたSFチックな衣装を着た少女が気さくに声をかけてくる。
ムリゲータワーで何度も戦闘不能に陥らせた相手だったが、その辺は気にしていないようだ。
激しい殺し合いをしたせいで敵意を持たれていないか心配だったが、少し安心した。
そんな相手を眩しく見てるとデーリッチが2人目の女性の紹介をしてくれる。
「ヘルちんでち!」
「あら、これはどうもご丁寧に、私はヘルラージュですわぁ。デーリッチちゃんと同じようにヘルちんでも構いません。もし秘密結社とかに興味があれば、何時でも声をかけてくださいね」
露出度の高い、1歩間違えたら痴女のような恰好の少女が丁寧な言葉使いで挨拶をしてくれる。
‥秘密結社ってなんなんだ?と考えていると最後の一人がプンスカと怒り出す。
「創造の神様であるポッコの紹介を一番最後にするとはいい度胸ですね!」
紹介を一番最後にされた、創造の神様を自称する幼女のポッコちゃんが怒り出す。
創造の神様の〝ポッコ〟‥そして〝モモちん〟〝ブリちん〟〝ヘルちん〟
――その時モモンガに電流走る。
脳内に閃いた危険な単語が、デーリッチに彼女を紹介させてはいけないと咄嗟に警告を送る。
「ポッコち‥ 「デーリッチよ!相手は神様なのだろう?俺はポッコ様と呼ばせて貰おう」
慌ててデーリッチの紹介を遮り、小さな女神に敬意を払った挨拶をする。
「聞きましたか?この骸骨は良い骸骨ですね、みんなもポッコをもっと敬うといいです!」
普段から子供扱いされてるポッコちゃんはご機嫌で返事をした。
軽く会釈をした後、モモンガは再びデーリッチに引っ張られてハグレ王国の探索に向かう。
‥しかし、その背後からはモモンガが恐れていた単語が聞こえ、頭を抱える。
「じゃあオレらも行こうぜ、ヘルちん、〝ポッコちん〟」
「それじゃまんまですわよ!?馬鹿なんですか!?」
「おめーらポッコの名前を馬鹿にしてんですか!!」
オバロ成分うっすい‥