厚生労働省は9日、雇用調整助成金のオンライン申請システムの不具合で、申請した1社の従業員2人の給与明細などの個人情報が漏洩し、別の10社が閲覧したと発表した。オンライン申請システムは5日に不具合が発生し、現在は受け付けを停止している。
漏洩したのは、雇用調整助成金の申請書類。従業員2人の給与明細のほか、氏名やタイムカードの内容も含まれていた。役員2人の氏名や性別、生年月日、企業の銀行口座の情報も漏洩した。別の事業者が申請作業中、漏洩した企業の申請書類が画面に表示されたという。
閣議後の記者会見で加藤勝信厚労相は「心からおわびを申し上げたい」と謝罪した。プログラムミスがあったうえに、事前のテストが不十分だったという。
雇用調整助成金は業績が悪化した企業が、従業員の雇用を維持するために支払った休業手当の費用を助成する。新型コロナウイルス感染症に伴い申請が急増し、ハローワークが混雑している。
オンライン申請は5月20日に開始したが、その際にも個人情報が閲覧できる問題が起きて運用を停止した。6月5日に再開したが、再び不具合が発生した。原因究明のために外部専門家による監査を実施することにしており、再開のめどは立っていない。
システムは随意契約で富士通に発注。富士通はさらに3社に業務を委託していた。