中小企業庁は3月3日、2019年度補正予算「事業承継トライアル実証事業」の事務局に、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリーを決定した。計3件の応募の中から、外部有識者による審査委員会で審査した。

実証事業は、後継者不在の中小企業が第三者の後継者候補を選定後に行う「後継者教育」について有効な方法・ノウハウを蓄積し、共有知として標準化を図ることで、円滑な第三者承継を後押しするのが目的。

実施機関となる事務局は、後継者不在の中小企業と後継者候補をマッチングする。双方の面談を経て後継者候補が入社した後は、メンターを定期的に派遣するなど、後継者教育の進捗を管理する。実証事業にはは後継者不在に悩む60社程度の参加を見込む。予算規模は上限3億円。

中小企業庁によると、平均引退年齢の70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は2025年までに約245万人に上ると推計され、うち半数近くの127万人が後継者未定となる見通し。

現状が改善されず廃業が急増した場合、2025年までの10年間累計で約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産(GDP)が失われるおそれがある。このため、国は2017年度から5カ年で、小規模M&A市場の形成など事業承継の支援施策を集中的に展開している。

文:M&A Online編集部