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 沖縄県議選(定数48)は玉城デニー知事を支持する勢力が25議席を獲得し、過半数を維持した。告示前より一つ減らし、知事は「厳しい結果」とコメントしたが、就任から1年8カ月になる県政運営に有権者は一定の信任を与えたといえよう。

 コロナ禍がさまざまな影を落とした選挙戦だった。

 玉城氏はこの間、観光が最大の柱である県経済の維持とウイルスの感染拡大の防止という、相反する要請をどうやって両立させるかの難題に直面した。試行錯誤した面も当然あり、知事を支える側も苦しんだ。

 一方、批判する側は、政府との協調による経済振興を訴えたが決め手に欠き、選挙運動の自粛で公明が候補者数を絞ったこともあって、議会の主導権を奪うことはできなかった。

 感染の第2波に備えた医療体制の整備と経済の立て直しは、立場を超えて県が取り組まねばならない最大の課題だ。玉城知事は市民に説明を尽くし、新しい議会の理解と協力を得て施策を推し進める責任がある。

 言うまでもなく、この県議選でも、米軍普天間飛行場の移設問題が投票先を決める際の重要な基準になった。

 自民は県議選の公約ではじめて、辺野古への基地移設を容認した。だが示されたのは、「辺野古ノー」の変わらぬ民意だった。18年知事選、19年2月の県民投票、4月の衆院補選、7月の参院選、そして今回と、県民の意思は一貫している。「辺野古が唯一の解決策」というかたくなな姿勢を、安倍政権はいい加減改めるべきだ。

 政府は4月下旬、埋め立て工事の設計変更を県に申請した。県がコロナ対策で独自に緊急事態宣言を出した翌日のことだった。県民の気持ちを逆なでする振る舞いというほかない。

 これに伴いいくつかの工事が中止になったが、発注済みだったなどの理由で業者に300億円余が支払われたことが判明した。ボーリング調査で軟弱地盤の存在を確認しながら、それを隠し、工事を強行してきた結果がこれである。そして、設計変更が認められたとしても、政府の試算でも完了までに12年の歳月と、9300億円という巨費がかかるという。

 計画の破綻(はたん)は明らかで、知事を支持する人たち以外からも、疑問の声があがっている。県議選で中立の立場をとった候補者も、工事に合理性があるか検証が必要だと指摘していた。

 普天間の早期閉鎖と返還。知事支持・不支持を問わず、それが県民共通の願いだ。米側と協議し、訓練の分散・移転を進めて負担軽減に取り組む。政府がとるべき道はそれしかない。

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