じめじめした気分を吹き飛ばす熱々スープ
今日のテーマは、にんにくです。中華の炒め物、パスタ、焼き肉、サラダなど、あらゆる料理の風味を華やかにパワーアップさせるにんにくは、世界中で愛されていてその使い道もいろいろです。
今日紹介するのは、にんにくを1/2個(1/2片ではないですよ!)とたっぷり使って作るスープです。作っているときから汗をかくほど香りがすごい! そしてこのスープのもうひとつの魅力は、パン。にんにくとベーコンの風味が移っただしをたっぷり吸って、ふるふると煮込まれたパンが、なんともいえないやさしさなのです。
ひとつだけ注意点があります。それは、翌日に人と会う予定のないときに作ること。誰にも気兼ねなく、にんにくの香りを思う存分楽しんでください。
にんにくのスープ
材料(2人分) 所要時間20分
にんにく…1/2個(3~5片)
ベーコン…50g
バゲット…5~6センチ
たまご…2個
オリーブオイル…大さじ3
塩…小さじ2/3
水…600mL
(あれば)唐辛子粉
作り方
1.にんにくを切る
にんにくは皮をむき、半割にして芽をとり、薄切りにする。ベーコンは1cm幅に、パンは2~3cmの角切りにする。★1
2.にんにくを炒める
にんにくとオリーブオイルを鍋に入れ、弱火でゆっくり、5~6分ほど、焦げないよう気をつけながら加熱する。にんにくがうっすら色づいたらベーコンを加えてさらに炒める。
切ったパンを加え、オイルを吸わせるようにする。水600mLを加えて中火にし、沸騰後1~2分煮る。★2
3.味をつける
塩を加え、弱火にして卵を割り入れ2分ほど加熱する。半熟状態になったら火を止める。★3
レシピのポイント解説
・にんにくの扱いかた
・にんにくの加熱
・卵の入れ方
★1にんにくの扱いかた
にんにくは、ふっくら、ずっしりしていて、割れていないものを選びます。国産、中国産どちらでもよいですが、国産の方が大粒なので、切る手間は少なくて済むと思います。粒の大きさによりますが、1/2個で3~5片になるでしょうか。
左が中国産、右が国産。裏を見ると、粒の大きさが違うのがわかる
にんにくを薄切りにします。調理のポイントは、芽をとること。にんにくの芽は焦げやすく、また食感も揃わなくなるのでとり去ります。ただ、薄切りにしてしまってからひとつずつ芽をとるのはたいへん。
皮をむいたにんにくの両端を切り落とし、爪楊枝で芽を押し出すという方法があります。これならそのまま薄切りにできます。
頭の方から爪楊枝のお尻で押すようにすると、根の方が少し出てくる。これを爪楊枝か手で引き出す
にんにくが大きすぎたり、新鮮な場合、このやり方でうまく芽が出てこない場合があります。潔くあきらめ、にんにくをタテ半分に切ってしまいましょう。これなら芽がとりやすいです。ひとつずつがやや小さくなってしまいますが、味は変わりません。
芽をとってから薄切りに。育った芽は緑色になっていることもある
★2にんにくの加熱
焦げやすいにんにくに、強火は厳禁です。必ず、冷たい状態の鍋から弱火で加熱をスタートします。
鍋にオイルとにんにくを入れてから、火にかける
弱火で加熱を続けていると、オイルの泡がたち、よい香りがただよいはじめます。ときどき鍋をゆすりながら、焦げないように見張ります。火は弱火のままです。厚手の鍋だと5~6分ほどかかりますが、ここでしっかり火を入れるのがおいしく作るポイントです。
薄い鍋の場合は焦げ付きやすいので、ときどき火から外して温度が上がりすぎないようにします。それでも時間は1~2分短めで仕上がると思います。
にんにくが少し縮んだようになり、淡く色づいてきたらにんにくから水分が抜けた証拠。こうなってから、ベーコンを入れます。
にんにくの周囲や、薄い部分がうっすら色づき始めたらOK
ベーコンを軽く炒めたら、今度はパンを加えます。この、にんにくとベーコンのうまみと香りを吸ったパンが、実はごちそうなのです。ここまでできたら、あとは加水して中火にし、沸騰するまで煮るだけ。
にんにくとベーコンの香りのついたオリーブオイルをパンに吸わせる
★3 卵の入れ方
スープはそのまま食べてもよいですが、卵でさらにボリュームアップ。
卵をスープに割り入れ、2分ほど加熱します。あまり煮たてると卵が固くなるので、再び火を落とします。
卵を直接割り入れたら、少し火を弱める
盛り付けのときはパンやスープを先によそってから、卵をすくって最後に入れるとうまくいきますが、気取らないスープですから、失敗してもそのぐずぐずの感じがまた、いいものです。
体をあたため、夏風邪対策!
このスープはスペインの“ソパ・デ・アホ”という名物スープなのですが、風邪をひいたときに家で作ってもらうものだそうです。にんにくは体をあたためるので、熱々スープで風邪を撃退するというわけですね。にんにくは刺激の強い食材で、生のままで食べると消化器に負担をかける場合があります。こうしてしっかり加熱するとぐっとマイルドになります。
普段家にあるもので作れるのも魅力で、ベーコンはハムやソーセージにしてもいいですし、バゲットがなかったら食パンでもいいのです。唐辛子を加えるとさらに汗かき度がアップします。味としてのアクセントにもよいものです。胡椒でもいいですよ。
じめじめしたこの季節、熱々のにんにくスープで汗をたっぷりかいて、ゆううつな気分を吹き飛ばしましょう!
【アレンジ】応用しやすい、便利スープ
にんにくとベーコンがベースのシンプルなスープですので、肉をかえる、他の具材を加えるなど、応用のききやすいスープです。また、スパイスなどを加えることで、より香りを楽しむこともできます。
トマト入りのにんにくスープ
にんにく、オリーブオイルときたら、トマトを入れたくなりますね。ニンニクとソーセージを炒めたところでトマトを入れます。生のトマトより、煮込む時間がすくなくて済むトマトピュレやトマトペーストがおすすめです。真っ赤な色がさらに食欲をそそります。落とし卵ではなく、溶き卵もよいものです。
パプリカ入りのにんにくスープ
このスープにはスパイスもよく合います。おすすめは、パプリカ。といっても、野菜売り場にある大きなピーマンみたいなパプリカではなく、香辛料の棚にある、辛くない唐辛子系の真っ赤なスパイスです。辛くなくおだやかなスパイスなのでたっぷり使えて色も美しく、さらに魅力的になります。肉はベーコンに変えてハムを使い、バゲットは薄切りにしてみました。