[北京 7日 ロイター] - 中国の上海君実生物医薬科技(1877.HK)は7日、当局への提出資料で、中国国内で新型コロナウイルスの非感染者を対象にした抗体治療薬の初期臨床試験を開始したと発表した。
同社は米製薬イーライ・リリー(LLY.N)と提携し、「JS016」と呼ばれる同治療薬の治験を米国でも第2・四半期中に開始する見通し。
抗体は新型コロナ感染症から回復した患者の血液から取り出し、研究者が手を加えた。馮輝最高執行責任者(COO)は、医療従事者や高齢者など、感染リスクが高い健康な人々の感染予防に効果があると期待していると説明。
ただ、同社の抗体治療薬は1回の投与量に含まれるタンパク質がワクチンに比べて多いため、ウイルスよりも価格がかなり高くなる可能性があると述べた。
同COOは発表前に行われたロイターのインタビューで「ワクチンと抗体はターゲットとする消費者がそれぞれあり、互いに代替することはできない」と強調。
「ワクチンは安価で全国的な予防接種に適しているが、健康な成人や子供に比べて免疫力の弱い高齢者はワクチンに対する反応が良くないかもしれない」とした。
同氏は、1回の投与にどれだけのタンパク質を入れるべきかについてさらなる研究が必要だが、同社の生産能力とこれまで確保した医薬品原料を踏まえると、年内までに10万人の投与量の生産が可能になるとした。
さらに、「原料が十分に確保できれば、年間生産能力は、100万人強のウイルス感染の治療と予防が可能になる水準に達すると予想する」とした。
ただ、大規模な後期臨床試験で十分な被験者を確保できるかどうかは、不明だと語った。