冷房中の換気忘れずに
新型コロナウイルスの感染予防とともに、暑さ対策も必要な季節に差し掛かってきた。徳島赤十字病院(小松島市)高度救命救急センターの福田靖センター長に、コロナ禍で迎える初めての夏の注意点を聞いた。
―コロナ禍を踏まえた今夏の暮らしの注意点は。
外出自粛で外に出る機会が減り、体が暑さに慣れにくい状況が続いた。ランニングなどで鍛えていた人も筋力や体力が落ちている可能性がある。自分を過信せず無理をしないのが一番だ。子どもは休校によって外で体を動かす機会が少なかったので、体育や部活動の内容は少しずつ元に戻すのが望ましい。高齢者も気温の急な変化に体が追い付かない恐れがある。普段からしている農作業など屋外で仕事をする場合でも気を付けてほしい。
―気温が上がり、マスクを暑苦しく感じる人も少なくない。
気温と湿度が高い中でマスクを着用すると、熱中症になる危険性が高まる。感染の可能性を考えると着用しておいた方が良いと思うが、マスクによって熱が口や鼻から放出されずに体内にこもると、熱中症のリスクが高くなることに注意すべきだ。マスク内の湿気でのどの渇きを感じにくくなるため、小まめに塩分や水分を補給するよう心掛けてもらいたい。
―スポーツや学校の体育でマスクは必要か。
基本的に運動時のマスクは邪魔になるが、判断は難しい。例えば、人と接したり、すれ違ったりする可能性が全くない場所でランニングする際は外してもいいし、屋内ジムのような感染の機会や可能性がある場所では外さない方がいい。新たな感染者やクラスター(感染者集団)がいつ発生するとも分からない以上、安易にマスクを外していいとは言えない。
―感染を防ぐには「密閉」を避けるべきだとされているが、冷房中は外が暑いので換気したくないと考える人も多い。
冷房は暑さ対策に有効で、特に高齢者にとって部屋の温度管理は大切だ。だが、クラスターの発生を予防するためにも、数時間に1回でもいいので窓を開けて換気してもらいたい。
―今後、熱中症の搬送件数も増えてくる。家族らが熱中症のような症状を訴えた場合は。
患者の状況をよく確認することが大切になる。水分や塩分が足りないと疲労感が出てくるので、まずは水分や塩分を補給して体を冷やし、様子を見てほしい。発熱や体のだるさ、頭痛といった熱中症の初期症状は、新型コロナウイルス感染時の症状とよく似ている。1日過ぎても治らなければ新型コロナウイルスの可能性も考えられる。感染症と暑さの両方に備える経験は今までになかった。今夏は気温や体調管理に一層の注意を払って慎重に過ごしてほしい。