アメリカ腕時計の真髄。『ハミルトン』が誇るブランド力とは?
19世紀後半から20世紀前半にかけては、アメリカの腕時計こそが世界の腕時計のトップでした。精度と耐久性に優れる鉄道時計と軍需産業の歴史が、同国の腕時計の技術を高い次元に押し上げたのです。1892年創業の『ハミルトン』は、そんな歴史のなかでもとくに代表として挙げられるほど力のあるブランドです。
今回紹介する「ベンチュラ」は、世界初の電動腕時計として『ハミルトン』が開発した金字塔ともいえるモデル。クォーツショックの際に経営難に陥り、スイスに製造拠点を移しましたが、今もなおアメリカ時計の精神を継承する腕時計として腕時計初心者から玄人まで幅広い層に高い人気を誇っています。
腕時計・ウォッチ
ハミルトンの名機15選。アメリカ生まれの時計ブランドを深掘り
アメリカ経済の発展期に創業した『ハミルトン』は、鉄道時計や軍用時計の開発で信頼性を高めた。現在はスイスを拠点に、高コスパかつ高品質な腕時計を手がけている。
ワダ ソウシ
2020.05.15
『ハミルトン』の傑作。「ベンチュラ」の魅力を再確認
1957年、モーターを動力として動く世界初の腕時計として登場したのが「ベンチュラ」です。盾状の画期的なデザインは、左右アシンメトリーな形状とも相まって腕時計史に名を刻みました。エルヴィス・プレスリー氏などのロック歌手やハリウッドの映画俳優に愛用されたことでも有名なモデルです。その後『セイコー』が巻き起こすクォーツ時計との市場競争には敗れましたが根強い人気があり、現在はムーブメントをクォーツや機械式に乗せ換えてインパクトある姿を残し続けています。
「ベンチュラ」が男性を魅了する理由とは?
「ベンチュラ」の最大の魅力は、視線をひきつけるその強烈なデザイン性にあります。ほかのメーカーが真似できない個性的なフォルムは、現代でも圧倒的な個性となって腕元を飾ります。その魅力を、深く掘り下げていきましょう。
魅力1追随ブランドが振り切られた、独創的なアシンメトリーケース
1960~70年代のアンティークウォッチにもごくごく希にトライアングルケースは見られますが、名のあるメーカーで、この左右アシンメトリーなスタイルが生き残ったのはオリジナルの「ベンチュラ」だけ。
この時計だけが生き残ったという事実からも、この形状が斬新というだけでなく多くの人の心に残るデザインだったということがわかります。「ベンチュラ」に魅入られた1人にエルヴィス・プレスリー氏がおり、彼は公私にわたってフレックス(蛇腹)ベルトに換装した「ベンチュラ」を着用していたそう。
魅力2文字盤デザインに見る、時計史での位置づけ
1940年代頃から軍用時計に名作を残し、50年代からは定番となった「カーキ」をラインアップしている『ハミルトン』。そして、世界初の電動腕時計を「ベンチュラ」で開発するなど、同ブランドは時計史に名前を刻み続けてきました。
この特異なスタイルの文字盤に記されたオシロスコープのモチーフも、当時革新的な電動式だったということを象徴しています。そんな事実を知るたびに、奥深い『ハミルトン』と腕時計の歴史に魅入られていきます。
魅力3コストパフォーマンスも魅力の1つ
現在の『ハミルトン』は生産はスイス、スピリットはアメリカというユニークなブランドカラーを持ち、非常にコストパフォーマンスに優れた腕時計作りに取り組んでいます。「ベンチュラ」もいまやクォーツから機械式までラインアップするほど幅広く、数多くのモデルを展開。
価格帯に関しては、クォーツならばアンダー10万円。自動巻きでもアンダー20万円という、スイス製ムーブメントの時計ブランドのなかでも優れたコスパで知られています。ちょっと背伸びをすれば手に入れられる、名作腕時計のなかでも特異な立ち位置も愛される理由です。
機械式、クォーツ、クロノグラフとよりどりみどり
現在、メンズの「ベンチュラ」は、機械式とクォーツ、そしてクォーツクロノグラフの3タイプをラインアップ。それぞれ微妙にスタイルを異にしており、いずれも負けず劣らずの個性を発揮しています。
アイテム1すべての基本。シンプルなクォーツ
もっともスタンダードな「ベンチュラ」。当時のオリジナルと寸分違わず、と表現したくなるほどの再現度です。エキゾチックレザーを模したカーフストラップもドレッシーですが、エルビス・プレスリー氏のスタイルに経緯を評してフレックスベルトに付け替える人も多く見られます。デザインは斬新ですが腕にはめてみると見た目以上におさまりが良く、着こなしにもスッと馴染んでくれます。
アイテム2メカニカルさをプラスするクロノグラフ
センターのクロノグラフ針の読み取りを配慮したレイルウェイサークルと3つのインダイヤルが、メカっぽくもレトロな印象を文字盤に与える1本です。アシンメトリーケースのなかで輝く等間隔のインダイヤルのギャップがなんともユニークです。上記モデルからデイト表示も加わっているので、実用性は数段アップしています。なお、上記オリジナルは映画「メン・イン・ブラック」(1997年公開)、こちらのクロノグラフは「メン・イン・ブラック2」(2002年公開)で“J”ことウィル・スミス氏の腕元に採用されていました。
アイテム3ひねりの効いたビッグサイズの機械式
このモデルはも、エンジングリルを模したメッシュ調に仕上げることで機構を強調。グループ企業のETA社が手掛ける、世界基準のムーブメントを鑑賞することができます。インダストリアルで近未来的なデザインは、『ハミルトン』の真骨頂です。ケース形状も通常よりワイド&ダイナミックに仕立てられており、インパクトは抜群!
アイテム4オリジナルの形状により近い機械式モデルも存在
「ベンチュラ」の機械式には、写真のようにオリジナルのルックスを踏襲したシックな顔立ちのモノも存在しています。文字盤の上下をくりぬいてムーブメントで主張しつつ、カラーリングはいたって大人。白文字盤のモデルもありますが、どちらもクロコ型押しのカーフレザーストラップを装着しています。11.5mm厚とクォーツモデルに比べて一回り大きいため、腕元での存在感もひとしおです。
アイテム5エルヴィス・プレスリー氏生誕80周年モデルは、圧倒的存在感が魅力
上記XXLモデルを思い起こさせる顔立ちですが、こちらはクォーツ式。リューズに向かってカーブするサファイアクリスタルガラスは、まるでSF映画の宇宙船のような未来的な空気を感じさせます。エルヴィス・プレスリー氏生誕80周年記念モデルとして登場したモデルで、このほかにラバーストラップ、ストライプ状に文字盤をカットした自動巻きモデルもご用意、
アイテム6より大人の腕元に似合う、周年モデルもチェック
唯一無二の個性を放つ「ベンチュラ」のなかで、少し人と違うモノを持ちたければこちらの1本に注目。「ベンチュラ」の60周年を記念し、2017年に発売されたモノで、よりオリジナルに近いデザインを再現しています。高級感のあるゴールドは所有欲を満たすのに十分。近未来的なデザインにシックなカラーを載せたい1本は、大人ならではの気品を後押ししてくれることでしょう。
強烈な個性ながらも服を選ばない。コーデから探る「ベンチュラ」の汎用性
腕時計単体で考えれば、『ハミルトン』の「ベンチュラ」は個性が強いデザインです。しかしその個性は決して“合わせるのが難しい”という、スタイリングの悩みには直結しません。むしろどんなコーデにも馴染みつつ、腕元を印象的に仕上げる最良のパートナーなのです。おしゃれな大人のコーディネートで、それを証明します。
コーデ1大人の定番。アメカジにも難なくハマる
チェックシャツに濃紺ジーンズ、スニーカーとキャップという普遍のアメカジコーデ。個性が強い「ベンチュラ」ですが、ブラウンのレザーベルトにすることでカジュアルなイメージにも馴染んでいます。シャツの裾を少しだけ上げて、腕時計をチラ見せするのも◎。
コーデ2カジュアルの代表。スウェットコーデを大人顔に
ストリートライクなコーディネートに品を加えるのも、「ベンチュラ」が得意とするところ。エッジのたったシルエットにより、着こなしがグッと大人仕様になるという好例です。柔らかなアイテムのなかで、エッジの立ったケースと黒文字盤がスタイリッシュに映ります。
コーデ3春のジャケパンスタイルをセンスアップ
ジャケットスタイルは、「ベンチュラ」が最もハマる着こなしです。腕元に存在感の強いアイテムを取り入れているので、こちらの写真のようにジャケットやパンツを柔らかな素材でカジュアルダウンさせるのもアリですね。
コーデ4MIXコーデを腕元で引きしめて
柄モノのジャケットやベレー帽、カーキのパンツなど異なるテイストを混在させたコーディネート。そんななかに「ベンチュラ」を加えるだけで、着こなしが自然と引きしまります。
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