検索エンジンは何を使っていることが多いでしょうか。
アウンコンサルティング株式会社が2018年4月に行った調査によると、日本での検索エンジン*1のシェアはGoogleがモバイルで99.09%, PCでも91.23%とほとんどの人がGoogleの検索エンジンを用いているようです(同じ検索エンジンを使用しているYahoo! JAPANも含む)。
使いやすい検索エンジンが一つあるのは便利ですが、検索エンジンの選択肢が少ないと発生する問題もあります。
検索エンジンの選択肢が少ないと起こる問題
多くの検索エンジンやSNSは現在地や過去のクリック情報、検索履歴、閲覧履歴といったユーザーのプライベートな情報を用いて ユーザーの好みそうな情報のみを表示するようになっています*2。
一方で、ユーザーが見たくないと思うような情報は事前に遮断されます。
この問題は、「フィルターバブル」と言い ネット社会で得られる情報が孤立してしまう可能性が指摘されています。
検索エンジンの選択肢が少ないと その検索エンジンのみで上位に表示されるような対策が施されたサイトが多くなったり 上位に表示されにくい有用なサイトが見つからない場合もあり 必ずしも利用者にとって良い状況とは言えません。
プライバシー重視の検索エンジン
[2018/07/31更新:searXを追加]
[2018/08/01更新:YaCyを追加]
[2018/11/29更新:個人的におすすめなsearXを上に持ってきた。]
Google以外で一番有名な検索エンジンと言えばBingではないでしょうか。しかし、フィルターバブルの問題はBingにも存在します。
閲覧履歴や検索情報を収集しないことを主張するプライバシー重視な検索サイトや フィルターバブルが起こらないことを謳うサイトも多くあるようです。
その中で、個人的に日本語でも使いやすいと思った検索エンジンを紹介いたします。
実際に使っている様子を動画にしました。以下のボタンをクリックすると動画を見ることができます。
searX
searXはオープンソースで開発されているメタ検索エンジンです。
メタ検索エンジンとは、複数の検索エンジンの結果を元に表示する検索エンジンのことで、searXはGoogleやBing、DuckDuckGo、Wikidataなどこれから紹介するような検索エンジンをまとめて検索できます。
オープンソースで作られているだけあってか、設定の自由度も高く プライバシーも重視した検索エンジンです。
個人情報を提供していない状態の検索エンジンの結果を集めるため、フィルターバブルも起こりません。
ニュースやSNSの結果も表示できるほか、「無限スクロール(次のページの自動読み込み)」「HTTPS rewrite(可能ならhttpsへリンクを置き換える)」「Vim風のホットキー(Vim風のホットキーで検索結果を操作)」と言ったプラグインも搭載されていて、設定もほとんど日本語化されている(「ニュース」であるべきところが「お知らせ」と訳されていたり一部、翻訳が変な所もある)など幅広いユーザーの方が使いやすい検索エンジンなのではないでしょうか。
searXへのアクセスは以下から行えます。
Peekier
Peekierはユーザーのプライバシーを守ることを宣言している検索サイトの中でも、検索結果画面が画面全体に表示される特徴的なサイトです。 検索結果の表示にBingのエンジンを用いているようです。
Peekierは、ワイドスクリーンモニターで一般的な検索サイトを使用すると 画面の2/3が未使用ですが Peekierだと画面の100%を使用できると謳っています。
また、画面上には Webサイトのサムネイルが表示されています。
サムネイルをクリックすると サイトの内容をPeekierから移動せずに見ることができます。
ここで表示されているWebサイトはPeekierの高速サーバー上でレンタリング*3されているので リンクをクリックせずにサイトを確認できます。
また、設定で検索結果を日本語仕様に変更できますが、設定などの表記は英語のままです。
とはいえ、簡単な英語しか出てきませんので 日本のユーザーにも優しいサイトなのではないかと思います。
Peekierへのアクセスは以下から行えます。
StartPage
StartPageもユーザーのプライバシーを守ると宣言している検索サイトで、同時にフィルターバブルを行わないことも謳っています。
匿名性を特に重視したTor Browserはバージョン4.5までStartPageをデフォルトの検索サイトとしていました。
StartPageは、(個人情報を提供していない状態の)Googleの検索エンジンを用いているようです。
Googleと同じ検索結果なので Googleが好きな方でフィルターバブルを回避したい方におすすめです。
また、表記や検索結果は日本語に対応していますが 一部文字化けしてしまう場所もあるようです。
セーフサーチや画像、動画検索も備わっていて文字化けしてしまう以外は日本語でもとても使いやすい検索サイトだと思います。
StartPageへのアクセスは以下から行えます。
Startpage.com - The world's most private search engine
DuckDuckGo
DuckDuckGoはプライバシー重視の検索エンジンの中でもiOSやFirefoxにデフォルトで入っている比較的有名な検索エンジンです。 独自の検索エンジンとBingなどのGoogleを除く複数の他の検索エンジンからの情報も収集して結果を表示します。
Linux MintやMidori Browser、また 匿名性を特に重視したTor Browser 等では、DuckDuckGoがデフォルトの検索エンジンになっています。
DuckDuckGoでは"日本のウェブサイトを優先する"か"世界のウェブサイトから検索する"かを簡単に選べます。
また、DuckDuckGoにはBangという機能が備わっていて 他のサイトの検索結果を簡単に見ることができます。
以下はその一例です。
!g 検索エンジン(Googleで検索)
!yj ヤフー とは(Yahoo! JAPANで検索)
!nico ニコニコ動画(ニコニコ動画で検索)
!yt VYouTuber(YouTubeで検索)
!b マイクロソフト(Bingで検索)
!s グーグル(startpage.comで検索)
!pk プライバシー(Peekierで検索)
!am ゲーム(Amazon.co.jpで検索)
等 他にもDuckDuckGo !Bangで紹介されてるサイトを使うことが出来ます。
キーボードだけで様々な操作が行えたり、使いやすいと思う人はかなり使いやすい検索サイトなのではないかと思います。
少し前までは 自分も長らくデフォルトの検索エンジンはDuckDuckGoとしていました。
ただ、画像を見ても分かるとおり 日本語で検索した際 検索結果画面に表示されているウェブサイトのタイトルが異常に短かったり 日本語での検索に少し弱かったりする問題があり 人にはあまり勧めることが出来ませんでした。
Twitter等で聞いてみたりしたのですが 良い解決方法はなく DuckDuckHackでも 何人か指摘しているようですが 今の所 修正されていません。
便利な機能がたくさんあるにもかかわらずこの状態では少し残念ですよね。
DuckDuckGoへのアクセスは以下から行えます。
DuckDuckGo — Privacy, simplified.
Qwant
Qwantも2013年7月に立ち上げられたプライバシー重視の検索エンジンです。
子供向けのQwant Joniorや軽量版のQwant Liteもあります(ちなみに、子供向けのQwantはQwantの生まれたフランスの国民教育省と協力して開発されたとのこと*4 )。
さらに、Qwant Boardsと呼ばれるSNSのようなツールもあるようです。
検索結果を日本語にすることも可能です(Bingの検索結果も合わせて使用しているようで日本語での精度もそこそこ良い)。
Twitter等のSNSの検索結果も表示されるのが特徴的ですね。
また、英語で「Splatoon」と検索すると、英語ですがそのゲームに関する情報が表示されます。
詳細を見ると Splatoonに関する動画が表示されたり 公式サイトやWikipediaへのリンク、開発会社の詳細などが やはり英語で表示されました。
ここらへんが日本語に対応していたら かなり良いですね。
Qwantへのアクセスは以下から行えます。
(追記:フランス政府は政府内の検索エンジンとしてQwantを採用したようです。→フランス政府、デフォルトの検索エンジンとしてGoogleの利用を中止:個人情報の扱いを懸念(佐藤仁) - 個人 - Yahoo!ニュース
大統領も、国を上げて応援していくようです。)
YaCy
YaCyはP2Pを使用した分散型の検索エンジンです。日本語にも対応しています。
ソフトをインストールすることで動作し、クローラーでウェブの情報をクロールしてローカルに保存します。
その内容をP2Pネットワークを通して共有する仕組みです。
その、仕組みから政府による閲覧を防ぐことも出来ます。また、検索結果の評価も利用者が行う仕組みです。
これらの仕組みから、結果的にフィルターバブルの回避も行えます。
導入方法の詳細は以下のサイト様で紹介されています。
インストールする前に以下のサイトで試してみることもできます。
まとめ
インターネットで比較的多く使う検索サイトですが、変えるだけで また違った視点の意見が見やすくなるかもしれません。
これらの検索サイトを横断で検索するMulti Web Searchというアドオン(拡張機能)もありますが 標準では英語仕様になっているようです。このアドオンに関しては また別の記事で紹介したいと思っています。
個人的にはPeekierが気になっています。サイトにアクセスせずにサイトの内容を見られるのは便利そうですよね。
今までは、DuckDuckGoのbang機能にかなりお世話になっていました。
皆さんも、気になった検索サイトがあったなら一度使ってみてはいかがでしょうか。
追記
Multi Web Searchに関する記事を書きました。
(さらに追記:Multi Web Searchとほぼ同じことがsearXでも出来ると思うので、参考程度に。)