東北のフードバンク、ひとり親世帯を支援 コロナで減収、SOS相次ぐ
(報道部・上村千春)
NPO法人ふうどばんく東北AGAIN(宮城県富谷市)には4月1日〜5月31日、前年同期の2倍に当たる約250世帯から支援要請があった。うち約40世帯が、新型コロナを苦境の理由に挙げたひとり親世帯だった。
事務局には「収入が減った一方、臨時休校中は子どもの食費が増えた」「元配偶者が減収になり、養育費がもらえない」などの声が寄せられている。
ボランティアスタッフの富樫花奈さん(38)は「ぎりぎりの生活を送ってきた家庭が持ちこたえられなくなった」と危機感を抱く。
5月22日に活動を開始したばかりのフードバンク仙台(仙台市)も状況は似ている。これまで仙台市内の約90世帯に食料を届けたが、8割はひとり親世帯からの支援要請だった。
一般社団法人フードバンクいしのまき(宮城県石巻市)はひとり親世帯への緊急支援を3月に開始。5月末までに197世帯が利用した。ニーズは多く、6月は登米市にも出張して食料を無料提供する。
4月にひとり親世帯への支援に乗り出した一般社団法人フードバンクあきた(秋田市)の林多実代表理事は「1人10万円の特別定額給付金の支給が始まり、支援要請は一段落したものの、それも底を突けば再び増えるだろう」と予想する。
政府の緊急事態宣言は5月25日に全面解除されたものの、経済回復の歩みは遅い。フードバンクと連携して食料を届ける「せんだいこども食堂」(仙台市)の門間尚子共同代表は「緊急時に必要な食料支援の『公助』が少ない。困難を抱える世帯の状況が急激に悪化し、急ぎ市民が動いている」と、公的支援の必要性を訴えた。