無料配布されるマスクを求め並ぶ人々(5月、ニューヨーク市)=AP
【ニューヨーク=河内真帆、サンパウロ=外山尚之】米ニューヨーク市の新型コロナウイルスによる死者数が6月3日にゼロになったことが5日分かった。同市の死者数は4月上旬に1日500人を超え、米国内でも感染拡大の中心地だった。8日から経済活動を一部再開するが、黒人差別に反対するデモで感染が再び広がる懸念は残っている。
ニューヨーク市の保健精神衛生局によると、3月11日に新型コロナによる最初の犠牲者が出て以降、約3カ月ぶりに死者が確認されなかった。人口密度が高い同市は米国内で感染が最も激しく、累計の死者数は約1万7000人と全米の2割近くを占める。
3月中旬に外出規制などのロックダウン(都市封鎖)に踏み切り、マスクの着用や人との距離を置くソーシャルディスタンスを徹底してきた。5月に入り1日の死者数が100人を下回るなど徐々に効果を表していた。同市は8日、約2カ月半ぶりにロックダウンを一部解除し、経済活動を徐々に再開する見通しだ。
ニューヨークでは地下鉄も深夜の運行を停止し消毒を徹底した(5月)=ロイター
ただ、ミネソタ州での黒人男性の暴行死をきっかけに全米で抗議活動が拡大。ニューヨーク市でも連日、一般市民が警官隊とにらみ合う状態が続いている。抗議集会の場では他人との距離を保つことが難しく、新型コロナ感染の再燃が懸念されている。
米ジョンズ・ホプキンス大によると、米東部時間5日午後2時(日本時間6日午前3時)時点の新型コロナの世界の感染者数は約670万人、死者数は約39万人だった。
依然として中南米で感染拡大が続いており、ブラジルの4日の死者数は1473人と、3日連続で過去最多を更新した。累計死者数は約3万4000人に達し、イタリアを超え米国(約10万8000人)と英国(約4万人)に次ぐ世界3番目となった。ブラジルで初めて死者が確認されたのは3月17日で、欧州諸国を上回るペースで死者が増加している。