293.表現篇:梗概の書き方
今回は「
小説賞に応募する際に添付する「あらすじ」のことですね。
ですが私が述べてきた「あらすじ」とは違います。
これまでいろいろ書いてきましたが、あまり言及していなかったものがあります。
標題にある「
スルーしてきた理由は「私にも効果的な『
梗概とあらすじは似て非なるもの
「
「
「どんな主人公がどんな世界でどんな出来事にどんな対処をするのか」を「
これって「あらすじ」「キャプション」と同じだと思うのではないでしょうか。
しかし明確に異なります。
まず「あらすじ」「キャプション」は物語の舞台・世界観の一端を書き、どんな主人公の身にどのようなことが起こるのか、それを書きます。
物語の内容ではなく、その前段階で説明しておきたいことを書くのが「あらすじ」「キャプション」なのです。
「あらすじ」「キャプション」でネタバレしてしまえば、読み手はあえてその小説を読もうとは思わなくなります。
ネタバレしないため、読み手に興味を持たせつつ煽るような「あらすじ」「キャプション」を書くのです。
それに比べ「
つまりネタを明かすわけです。
なぜネタを明かすのかといえば、「
「それって編集さんや下読みさんの怠慢だ。割り振られた作品は必ず目を通すべきだ」という意見はごもっとも。
ですが編集さんも下読みさんも短期間に大量の小説を読まなければなりません。
物理的に「面白くなさそうなものを最後まで読み進める時間はない」のです。
「
結末まで書いてあると、編集さんも下読みさんも「この話の筋はこんなだから、今読んでいる部分は本題にどれだけ寄与しているのか」を把握しやすくなります。つまりとても読みやすいのです。
だから作品のエピソードをすべて書いて、
シンデレラのあらすじ
たとえば『シンデレラ』の「あらすじ」「キャプション」を書いてみることにします。
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あるところにシンデレラという少女がいた。彼女は継母と義姉たちから家事全般を押しつけられている。ある日そんな継母と義姉たちは今度の舞踏会に王子様が来ることを知り、舞踏会場へと出かけていく。シンデレラは自分の境遇を憂いながらも、家族内ヒエラルキーの底辺にいる自分には舞踏会に出る資格はないんだと思い込もうとしていた。そんな折彼女の前に魔女が現れる。魔女はシンデレラの悩みを聞き、魔法で彼女を淑女へと変身させて舞踏会へ送り出す。しかしタイムリミットは午前0時の鐘の音が鳴り終わるまで。シンデレラは舞踏会でなにを経験するのだろうか。
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とまぁこんな感じで、舞台・世界観と主人公の境遇を書いていきます。
それ以降のことにもかるく触れて、その先を心待ちにするのです。
たいていの場合「起承転結」の「起承」までは書いてもいいでしょう。
しかし物語のキモである王子様に見初められることや王子様とのダンスに夢中になって午前0時の鐘の音が鳴り始めてしまったこと、急いで舞踏会から抜け出るために駆けてガラスの靴が脱げてしまうこと、王子様がシンデレラのことを忘れられずガラスの靴がぴったりと履ける女性を探し始めること、そしてついにシンデレラがガラスの靴を履くことになってぴったりと履けたことから王子様が求婚してめでたしめでたしというところはすべて書きません。
書いてしまうとネタバレしてしまうからです。
シンデレラの梗概
では『シンデレラ』の「
まず「
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日頃下女扱いされているシンデレラが、魔女の魔法の力を借りて淑女となり、王子様とダンスをともにして彼に一目惚れされる。シンデレラのことが忘れられない王子様は残された「ガラスの靴」を頼りにシンデレラを突き止め、彼女と結婚することになった。
継母や義姉妹たちから家事雑用全般を押し付けられて下女扱いされているシンデレラという女性は、ある日継母と義姉妹たちから今度の舞踏会に王子様が来ることを知る。彼女たちは意気揚々と舞踏会場へ出かけていく。シンデレラは王子様が現れるという舞踏会へ行きたいが、ドレスひとつ持っていなかった。
シンデレラは自分の境遇を憂いながらも、家族内ヒエラルキーの底辺にいる自分には舞踏会に出る資格はないんだと思い込もうとしたのです。
そんな折彼女の館に魔女が通りかかります。魔女はシンデレラの悩みを聞き、魔法で彼女を淑女へと変身させます。ネズミとかぼちゃの馬車、綺羅びやかなドレスにガラスの靴といういでたちへと変身させて舞踏会へ送り出す。しかしタイムリミットは午前0時の鐘の音が鳴り終わるまで。
急いで勝手のわからない舞踏会にやってきたシンデレラは、ダンスの輪に加わることができませんでした。そんなシンデレラの様子を気にかけた王子様が、彼女に興味を持ち一緒に踊ろうと誘います。ぎこちなく踊るシンデレラへの好意が弥増した王子様は時を忘れて彼女と踊り続けたのです。
そんなとき午前0時の鐘の音が鳴り始めます。夢の時間を過ごしていたシンデレラは魔女の言葉を思い出して一目散に舞踏会場をあとにします。王子様が彼女を追いかけてきます。シンデレラはあまりに慌てていたため履いていたガラスの靴が脱げてしまいました。
彼女を追っていた王子様は残されたガラスの靴を拾って、この靴がぴったりと履ける女性を探そうと決意する。
翌日の朝からシンデレラは再び下女として家事雑用に勤しみます。一方王子様は名を名乗らなかった可憐な女性に心を奪われたままでした。
朝になり、王子様は役人を通じて国中の女性たちにガラスの靴を履いてほしいと頼みます。しかしぴったりと履ける女性は現れませんでした。そこで国中の女性たちにガラスの靴を履かせる手段に打って出ます。
なかなか「ガラスの靴」がぴったりと合う淑女に出会えず、時間だけが過ぎていきます。そうした中で役人たちはシンデレラの住む館へとやってきます。継母と義姉妹は積極的に「ガラスの靴」を履きますが、やはり合いません。
困り果てた役人たちはふと家中を掃除して煤と灰被りとなった女性に目を留め、彼女にもガラスの靴を履いてもらおうとします。継母と義姉妹たちは取り合おうとしません。当のシンデレラもそれを拒否します。しかし役人が権力を振りかざして「国中の女性に履いてもらっている。あなたが履かなければ捕まえてでも履かせる」と言われ、仕方なく「ガラスの靴」を履くことになります。すると「ガラスの靴」がぴったりと合いました。
その知らせはすぐに王子様のもとへもたらされ、王子様は急いでシンデレラの住む館へとやってきます。そこで王子様が目にしたのは、煤や灰で真っ黒ないでたちをしているものの、顔つきはまさにあのときの淑女そのものでした。
こうして王子様はシンデレラをかの淑女と認め、彼女にプロポーズします。
シンデレラは王子様と結婚することとなりました。
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という具合になると思います。
最初は「企画書」のコピー・アンド・ペーストです。
「
結論を先に述べ、それから本論を書き、また結論を述べて締めます。
物語として面白そうなことが「
最後に
「
そうすることで編集さんや下読みさんは、文章の評価に専念できます。
それができて初めて「
もし「