かつて「モーテル」だった高砂市阿弥陀町の建物が3年前に賃貸住宅に生まれ変わり、ほぼ満室の状態を維持している。最寄り駅から徒歩約20分の立地だが、内装や間取りはモーテル時代と同じで、2人仕様のベッドや浴室に加え、車庫も広く、快適な住空間が入居者に受けているようだ。(大久保斉)
集合賃貸住宅「カメーラ・ピノ23」(2階建て、23室)。国道2号沿いにあり、もともとは車庫と個室が直接つながったモーテルだった。1970年に開業したが、競争激化などの影響で廃業し、別のホテル経営者が2009年に取得した。
ただ、モーテルで再び開業しても客室が供給過剰となるため、不動産会社の「不動産流通センター」(加古川市)が集合住宅への転用を提案。客室のベッドや布団をはじめ、テレビ、空調機、ソファ、じゅうたん、壁紙などをそのまま使い、簡易台所と建物側面に階段を新設した。
12年1月から入居開始。一室の広さは33平方メートル。浴槽はジェットバスで洗い場も広く、全室に車庫が付いており、車好きの若者らを中心に人気が高いという。備品や家電類は備え付けで、月家賃は光熱費を含め4万8千円。これまで入居率は平均で9割超を維持しており、空き室が出てもすぐに次の入居者が決まるという。現在は20室が埋まっている。
西約1キロには小学校があるが、「モーテルから住宅に変わり、地元の住民も喜んでいる」と不動産流通センターの仲上常幸社長。「当初の役割を終えた建物を、新たに住宅に転用するモデルケースにしたい」と話している。