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【歌詞コラム】ボカロ曲「ドラマツルギー」自分が生きる意味は?とにかく深い歌詞を解説

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初音ミクを使った人気ボカロソング「ドラマツルギー」。おしゃれな世界観と哲学的な歌詞の魅力に迫ります。

公開日:2018年12月29日 更新日:2020年5月27日


この記事の目次 []
クールなのにポップ!キラキラしたサウンドが耳に心地良い「ドラマツルギー」。

しかし歌詞は、読み込んでいくとこれでもかと深く、自分の人生について考えてしまいます。

聴く人によって感じ方、捉え方が全く違う曲と言えますね。

この記事では「ドラマツルギー」の持つ多様な魅力を、ご紹介します!

ドラマツルギーとは?

▲ドラマツルギー - Eve MV

「ドラマツルギー」は2017年10月10日にニコニコ動画で公開された、初音ミクを使ったボカロソングです。

11日には作詞作曲者であるEveによる歌唱バージョンがYouTubeで公開。

歌ってみた、踊ってみた、MMD映像など、ファンによる派生動画も数多く投稿されている人気曲です。

曲もさることながら、MV自体のクオリティも高く、見応えがあります!ラフなタッチの動き、踊るキャラクターたち。

これも「ドラマツルギー」の人気の理由のひとつです。

作曲者は歌い手としても人気のEve

作曲者であるEveは、2009年に歌い手としてニコニコ動画デビューし活動を開始。少年のような歌声が特徴的ですね。

現在はいくつもの歌ってみた動画が100万再生回数をこえている、超人気歌い手です!

ボカロPとしては2016年12月に「sister / 初音ミク」を初投稿。

代表作は「ナンセンス文学 / 初音ミク」や「アウトサイダー / 初音ミク」などが挙げられますが、もちろん「ドラマツルギー」もそのひとつです!

シンガーソングライターとしてメジャーデビューもしていて、さらにはデザイナーとしても活躍。

自身のアパレルブランドも立ち上げています。

非常に幅広い活動をしている、マルチな人気クリエイターです!

どこまでもどこまでも深い歌詞



まず、とにかくじっくり味わって頂きたいのが歌詞です。

「ドラマツルギー」は英語で書くと「Dramaturgy」という綴りになります。

意味としては演劇や戯曲についての創作方法論であり、また、社会学のひとつでもあります…と書かれても、難しいですよね。

端的に言うと「生活している中で、みんながみんな、何かの役になり生きている」という考え方のことを指します。

例えばコンビニの店員さんは「コンビニ」の「店員」という役として働いています。でも「家」に帰ると「一人息子」、「学校」に行けば「男子高校生」という役になります。

すごく乱暴な説明で申し訳ないですが、簡単に言うとそういう意味合いです。

そんな哲学的とも言える考え方が、歌詞にぎゅっと詰め込まれています。

ということで、歌詞をじっくり読み込んで、その意味、そして自分の生き方に照らし合わせてみて欲しいのです。

するともっと、この曲が好きになるはずです!

MVのアニメーションがおしゃれ過ぎる


さきほども書きましたが、MVのクオリティがとても高いです。

荒く、ラフなタッチで描かれたキャラクターたちが画面中を動き回ります。

中にはマスコット的な生き物(?)も登場して、動画のコメントでも「かわいい!」と評判です。

特に見て頂きたいのが、最後のサビの部分。

手で形作った空間にズームアップを繰り返し、どんどん場面が変わっていきます。

ダイナミックな演出とともに、曲も最高潮へ。心奪われてしまいますね。

配色センスも素晴らしい。黒、白、灰色を基調に淡い水色や赤が使われています。

曲のヨーロッパ的な雰囲気、レトロな空気感を上手く表現していますね!

ボカロPとしても非常に人気のあるMahが映像制作を担当しています。

歌詞の意味は?じっくり味わって欲しい世界観

ではここからは歌詞を紹介しつつ、曲に込められたメッセージを見ていこうと思います。

まずは冒頭から。

不安や悩み、苦悩が表現されている冒頭


----------------
頭でわかっては嘆いた
転がってく様子を嗤った
寂しいとか愛とかわかんない
人間の形は投げだしたんだ
≪ドラマツルギー 歌詞より抜粋≫
----------------

哲学的な始まりですね。

上にも書いた通り、「ドラマツルギー」という言葉は社会学の用語のひとつです。

ここの歌詞だけだとその内容までは読み取れませんが、しかし「人間の形は投げだしたんだ」というフレーズからは、何かから開放されたような気持ちが伺えます。

社会で生きていて、言い換えると生活している中で、何か不安や悩みがあるのでしょうか。

----------------
この小さな劇場から出らんない
気づいたら最後逃げ出したい
僕ら全員演じていたんだ
エンドロールに向かってゆくんだ
≪ドラマツルギー 歌詞より抜粋≫
----------------

「劇場」と歌詞には書かれていますが、ルビは「はこ」。

劇場やコンサートホール、ライブハウスなど、ステージのある施設のことを「箱」と呼ぶ、専門用語のような言葉選びです。

そしてそこから「出らんない」「逃げ出したい」。つまり、悩みはそのことを指しています。

「劇場」は「生活」のこと。そこから「逃げ出したい」。

でも逃げられずにみんながみんな「演じていたんだ」。

ここで「ドラマツルギー」という言葉の意味合いが出てきますね。

先に書いた、誰しもが何かの役柄を演じながら生きている、ということ。

生活を劇に例えて、そこから抜け出せない苦悩を表現しています。

----------------
さあ皆必死に役を演じて傍観者なんていないのさ
"ワタシ"なんてないの
どこにだって居ないよ
ずっと僕は 何者にもなれないで
≪ドラマツルギー 歌詞より抜粋≫
----------------

みんなが何かしらの役柄を演じているので、傍観者、観客はいません。

しかも役を演じている、ということで、自分が自分ではないような気持ちを、この曲の主人公は感じています。

「自分が何者なのか」誰しもが一度は考えたことがあることではないでしょうか。モラトリアムに似た思いですね。


----------------
僕ら今 さあさあ 喰らいあって
延長戦 サレンダーして
メーデー 淡い愛想
垂れ流し 言の愛憎
ドラマチックな展開をどっか期待してんだろう
≪ドラマツルギー 歌詞より抜粋≫
----------------

生活している中では様々な人と関わり合います。

そうすると、本当に色々な出来事が起きますよね。

嬉しい楽しいばかりじゃなく、「言の愛憎」とあるように、憎しみなんかも生まれてしまいます。

そうやって周りと励み、ぶつかり合ううちに「何者でもない自分」の人生がドラマチックな展開にならないかな…と主人公は考えているようです。

----------------
『まあ君にはきっと無理なんだ』
「だから君にはきっと無理なんだ」
いつのまにやら外野にいたんだ
そんなガヤばっかり飛ばしてきたんだ
皆必死に自分を守って救いの手を待ってるのさ
≪ドラマツルギー 歌詞より抜粋≫
----------------

そして、周りの人たちも同じように考えているのです。

誰しもがドラマチックな人生を欲している。だから「君には無理なんだ」と人に言い、自分のことは守る。

人を蹴落として自分が主役になる!というような、薄暗い気持ちが綴られています。

畳み掛けるように展開していく歌詞

----------------
考えたくはないよ
馬鹿になっていたいもん
ずっと僕は 何者にもなれないで
だから今 前線上に立って
その旗は高く舞って
劣勢 頼る相棒
言葉すら必要ないよ
ドラマチックな展開はドットヒートしてくだろう
≪ドラマツルギー 歌詞より抜粋≫
----------------

そして歌詞は畳み掛けるように展開していきます。

薄暗い気持ちなんて持ちたくないですよね。馬鹿でもいいから、とにかく「前線上に立って」必死に生きていこう。

そういう気持ちをみんなが持つと「ドラマチックな展開はドットヒート」していく、と書かれています。


----------------
優しさに温度も感じられない
差し伸べた手に疑いしかない
穴が空いて愛は垂れてしまいになったんだ
倒れそうな僕を覗き込んだんだ
諦めかけた人の前にアンタは
いつも嘲笑うようにおでましさ
君にはどんな風に見えてるんだい
呼吸を整えて さあ さあ
≪ドラマツルギー 歌詞より抜粋≫
----------------

しかし、色んなことを考えすぎて心が折れそうになっている曲の主人公。

そこで現れたのが「アンタ」です。具体的に誰のことを指しているのかは、歌詞の中には出てきません。他人なのか、もしかしたら自分自身なのか。

ただそれが誰であっても「呼吸を整えて さあ さあ」というフレーズからは、決意のような気持ちが伝わってきます。

曲の主人公が演じている役柄は、今「アンタ」からどう見えているのか。しかし考えても仕方ない。

嘲笑われても必死に生きるしかないんだ!こんな思いが感じられませんか?

何も同じ役柄なんてない

----------------
君も YES YES 息を呑んで
采配は そこにあんだ
ヘッドショット 騒ぐ想いも
その心 撃ち抜いて さあ
まだ見ぬ糸を引いて 黒幕のお出ましさ
"その目に映るのは"
≪ドラマツルギー 歌詞より抜粋≫
----------------

曲の最後の歌詞です。

前半は1番のサビから登場しているフレーズですね。「君」も一緒だ、役柄を演じているんだ。不安を抱えていて、心がざわついているはずだ。

でも必死に生きて、先に進もう。その先には「黒幕」がいるから。

ここで言う「黒幕」は、単純に悪役のことを言っているようには感じられません。


不安の原因のことではないでしょうか。

生きていく上で、自己確立をするなかで、それを阻む存在。

「その目に映るのは」で曲が締めくくられていますね。不安の原因は人それぞれ違います。

あなたの目に映った「原因」はなんだった?という風に取れるフレーズです。

このように、読み解けば読み解くほど深い内容です。

もちろん、この歌詞を読む人によって、違った解釈も生まれるはずです。

人によって解釈が変わる…それがこの曲の重要なポイントのように感じます。

「人それぞれ」って便利な言葉ですけど、何十億人もいる人間を、その言葉だけで括るのは難しいですよね。

誰もが役柄を演じていて、そして同じ役柄なんてない。

あなたもぜひ、自分の「役柄」は何なのか考えてみませんか?


TEXT 荒木若干

Eveは、主にYouTubeなど動画投稿サイトで楽曲を発表し活動する日本の歌い手。生年不明、5月23日生まれ。素顔もはっきりとは公開していない。自ら作詞、作曲も手がけ、その独特の世界観と中毒性の強い楽曲で人気に。YouTubeでは多くの歌い手にcoverされている。もともとYouTubeやニコニコ動画の「歌···

この特集へのレビュー

男性

ヤグル

2019/06/09 18:43

メジャーデビューはしていないと思うのですが、違いますか?

男性

あああああああ

2020/03/30 13:14

してるよ。
とっくの昔に

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