基礎研究投資が業績をけん引
小野薬品の2018年3月期の売上高は 2618億円で、前年度比7.0%の増収となった。「オプジーボ」が腎細胞がん、頭頸部がん、胃がんなどに使用が拡大し、全売上高の34.4%(901億円)を占めた。
それでも2018年3月期は2017年2月に薬価が50%引き下げられたため、売上高構成比は下がった。2017年3月期の「オプジーボ」の売上高は、2016年3月期より828億円(391.3%)増え、1039億円となっており、売上高構成比は42.4%と2018年3月期より8ポイントも高かった。
この数字からは、製品化できるかどうか分からない研究に資金を投じリスクを負ったことが、小野薬品の業績に大きく影響していることが分かる。
時間を買うM&Aに巨費を投じるのは経営者として妥当な判断だが、時間がかかる基礎研究にも資金を振り向けるのも選択肢としてあり得るだろう。
特に見過ごされがちな日本の研究者に光を当てることは、日本経済の活性化にもつながるものと思われる。
本庶氏に「日本の製薬会社はお目が高い」と言われる日が来ることを期待したい。
文:M&A Online編集部