アップル製イヤフォンの「落ちやすさ」を改善するアクセサリー「Sprng」

iPhoneなどに付属するアップルのイヤフォンは、ジョギング中などに落ちやすいという欠点がある。耳にフィットさせる簡単な工夫を紹介。

最小限のデザインによって、「Apple EarPods」がほとんどの人の耳に気持ちよくフィットするようになる。価格は10ドル

Ohm Industrial Design社が開発したシンプルなアクセサリー「Sprng」は、たくさんのアップルファンにとって福音かもしれない。

アップルのイヤフォン「EarPods」は、何回かデザイン更新が行われたものの、ちょっとジョギングしたりゆすったりしただけで落ちやすいという欠点がある。Sprngはそれを改善するアクセサリーなのだ。

硬質プラスティックのクリップをEarPodsの根元に取り付け、オーバーモールド成形されたラバースプリングを耳甲介の下に引っかける。こうすることで、接触ポイントが増えて、より確実なフィットが得られるようになるのだ。位置も調整ができる。

Sprngは、デザイン仕事の合間につくられた製品だ。きっかけになったのは、あるティーンエイジャーのインターンだった。彼は、ランニング中にイヤフォンが外れることを愚痴ったところ、Ohm社の先輩たちから、解決法を設計するように言われたのだ。


位置は調整可能で、子どもの耳にも合わせられる。

インターンが出したアイデアに夢中になった開発チームは、金銭上の大きなリスクを取り、パートナーなしで製品製造の資金を調達することに決めた。しかしそのとき、思いがけない災難が降りかかった。

「この製品のコンセプトを設計し、工作機械をそろえ、アップルの初代イヤフォンにあわせて試作部品を検討している最中に、アップルが新しいイヤフォンを発表した」と、Ohm社の共同設立者カーク・モシュナは話す。「新しい制約のすべてに対処するには、工作機械をボツにして、設計に調整を行う必要があった」という。


アップル機器の周辺機器は数十億ドル規模の産業になっているが、アップル製品の欠点を修正するためのガジェットは稀だ。

「われわれは80年代からずっとアップル製品を使ってきたし、こういう製品を出すのはおそれ多いという感じもある」とモシュナ氏は語る。けれども、人間の耳は非常に多様であり、ひとつの標準的な設計でカバーしきれるものではないのだ、と同氏は指摘した。

価格は10ドルで、米国とカナダは送料無料。

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35mmフルサイズ、ローパスレス……高画質へのロマンを凝縮:SONY「DSC-RX1R」

35㎜のフルサイズセンサー搭載のコンデジとして昨年登場したソニーのサイバーショット「DSC-RX1」。そこからさらにローパスフィルターレスとし高画質を追求した「DCX-RX1R」が6月に発売された。直販価格248,000円にもなる規格外のコンデジの実力を試した。

TEXT & PHOTOGRAPH BY KAZUYA ORIHARA

オープン価格〈SONY/ソニー 買い物相談窓口 tel.0120-777-886〉

WIRED
・“恐ろしい”と形容したくなるような高解像度な画質
・アナログカメラ的な質感と操作系

TIRED
・本格志向のカメラながら標準状態ではファインダーがない
・単焦点レンズで撮影シチェーションが限られる

ライカ版に由来する35㎜フィルムと同じ「フルサイズ」センサー。その最上級のスペックにどこか憧れてしまうのは筆者だけではないだろう。しかも、センサーの受けた光にフィルターをかけない「ローパスレス」で映す。そんな究極を目指したカメラがソニーのサイバーショット「DSC-RX1R」だ。

有効約2,430万画素の35mmフルサイズ“Exmor”CMOSセンサーを搭載しながら、レンズ一体型デザインにすることでレンズ交換式の一眼レフにはない小型化を成し遂げた初代モデルが「DSC-RX1」であり、「DSC-RX1R」はそこから光学ローパスフィルターを取り除き、高画質方向に振り切ったモデルという位置づけだ。もちろん、ローパスフィルターというのは本来必要性があるからこそ付けられていたもので、ローパスレスとなると、人工物のような規則性のある被写体に対してモアレが発生する。

それに、そもそも本機は35㎜の単焦点レンズのカメラだ。プロの写真家であれば被写体や環境に応じて臨機応変にレンズを変えて対処するが、DSC-RX1Rにそんな選択肢はなく標準レンズ相当のカールツァイス ゾナーT 35mm F2 単焦点レンズ1本でスナップを撮るのみ。ゆえの不便さもあるが、いざ評価機を手にすると、直販価格248,000円もするそんなばかげたモデルがあってもいいと思い始めた。


筆者が実際にDSC-RX1Rで撮影した水族館でのスナップ。その高画質ぶりに驚いた。

有効画素数約2,430万画素(画像サイズにして6,000×4,000ドット)の写真は、スペック以上に画面全体を鮮明に描写する。この美しさは空間を切り出したような画面とでも呼ぶべきか、画面内に微細な情報があればあるほどに目の冴えるような絵になるのだ。意地悪に「ローパスレス」の弱点の話をすると、例えば今回の撮影に向かった水族館でもタイル張りのビル壁を拡大してみるとモアレがうっすらと出るが、そうした弱点を嫌うならDSC-RX1を選ぶべきだ。

DSC-RX1Rの本体は小型ではあるものの約482gと若干の重量感はあり(しかし、これは35㎜のフルサイズセンサー搭載機なのだ!)、メカニカルで角張った質感も、非常に気に入った。

カメラの操作系では軍艦部の右に露出を調整できる専用ダイヤルを設けている。光をとらえる写真にとって写りの明るさを調整する露出調整はイメージを追求するうえで不可欠なのだが、昨今のコンデジはデジタルメニューやダイヤルのなかから操作することが多かった。撮影ダイヤルには絞りとシャッタースピードを調整するプログラマブルAEのほうが優先的に割りつけられることが多く、露出調整はその次……となると自然と操作もしなくなるが、DSC-RX1Rでは、露出がダイヤルとなっているため液晶モニター(そう、本機はファインダーを搭載していないのだ)を覗きながら、ダイヤルを回して写りの調整をするようになる。これがクセになる。DSC-RX1Rで撮影した写真はただシャッターを切っても写りがあまりに美しいため、そうして自分なりの「絵」を追求したくなる、と呼ぶべきだろうか。

DSC-RX1Rは、オートで撮影しても外れなく撮影できるカメラだ。Pの精度の高さもあるし、より簡単に撮ろうと思えば、「AUTO」モードでカメラ任せに撮れるし、顔認識でよりカジュアルな撮影だってできる。けれど画質というベーシックな価値のおかげで、改めて写真に向き合いたくなる。高画質に突き抜けたDSC-RX1Rは、そんな写真の楽しさを改めて教えてくれる存在だ。

SONY DSC-RX1R

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