学校の再開 現場の支援きめ細かく
2020年6月2日 07時15分
学校の再開が本格化している。新型コロナウイルスの感染が完全には収束しない中、分散登校など試行錯誤が続く。学びを支えるためには、教員など関わる人を増やすなどの支援が不可欠だ。
五月二十五日に学校を再開した北九州市では同じ小学校で複数の児童が感染し、クラスター(感染者集団)が発生したとみられている。市内のほかの小中学校でも感染が確認され、市教委では登校前の検温の徹底などを呼び掛けている。一日から再開した学校は緊張感の中で新学期を迎えたことだろう。
各教育委員会の判断にもよるが、教員の業務量は格段に増えそうだ。教室を含めた校内の消毒作業や給食の配膳など感染拡大防止対策も教員が担うところがある。どこまでの対策が必要なのか、状況を見ながら、柔軟に対応していくことが必要になるだろう。
政府が配布した「アベノマスク」の着用が必要と受け止められるような文書を生徒に配布し、後に謝罪した中学校もあった。
家庭の経済状況などさまざまなことへの配慮もあるのだろうが、科学的知見にもとづかない細かなルールを定めることは、家庭や教員の負担をいたずらに増やす恐れもある。
文部科学省は二〇二〇年度第二次補正予算案に、感染リスクの高い地域で、小学六年、中学三年については、少人数ごとの指導が毎日可能となるよう、教員三千百人を新たに配置する費用などを計上した。
退職教員らを起用し、クラスを二つに分けて、別々の教室で机の距離を離して指導することなどを想定する。体制が整備されればオンライン授業を組み合わせることも選択肢となるかもしれない。
小六、中三を優先するのは卒業を控え、学習内容の積み残しができないためだ。ほかの学年では特例措置で学びの遅れを複数年かけて補うことが可能となっている。
ただ今後の学習量が増えることを考えれば、きめ細かな指導が必要な事情は他学年も同じだ。少人数指導が可能となる範囲拡大を探ることが望ましい。
常にマスクを着用しての学校生活では、子どもが疲れてしまうこともあるだろう。感染拡大に神経質になるあまり、差別や偏見の根が植え付けられてしまうこともあってはならない。
感染防止に留意しつつも、児童や生徒一人一人の心に向き合うことがこれまで以上に大切となる。
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