アメリカのトランプ大統領が服用していることを明かし論議を呼んでいる免疫疾患治療薬について、都内の病院が新型コロナウイルス患者23人に抗生剤と併用して投与したところ、2週間で退院できたとする臨床結果を発表した。

この薬は、マラリア治療にも使われる自己免疫疾患治療薬「ヒドロキシクロロキン」。

東京の江戸川病院が日本感染症学会に報告した臨床結果によると、新型コロナウイルスの入院患者30人に「ヒドロキシクロロキン」と抗生剤「アジスロマイシン」を併用して投与したところ、死亡した1人以外の29人は症状が改善し、うち23人が入院から平均14.9日で退院できたという。

臨床を行った江戸川病院・伊勢川拓也医師は、「(ヒドロキシクロロキンは)妊婦さんを含めた軽症者から、最重症者の患者さん全ての方に投与可能とされる唯一の薬となります」と話した。

この病院で「ヒドロキシクロロキン」を投与された患者は、「実際のところ、飲んでほっと体が火照ったような感じはしましたけども、大体3日ぐらいから熱が収まったり、倦怠(けんたい)感が軽くなった感じがありましたね」と話す。

薬の製造元は心疾患のある患者に投与した場合、重篤な症状を引き起こす可能性もあるとして、注意を呼びかけていて、専門家は、薬の効果を現時点で結論づけることは難しいとしながらも、期待感をにじませている。

国際医療福祉大学 臨床感染症学・矢野晴美教授は、「この薬2剤を投与することで、2週間程度でご退院できるというのは非常に画期的であると考えられます。さらなる大規模な臨床研究が必要かと思います」と話した。

「ヒドロキシクロロキン」をめぐっては、アメリカのトランプ大統領が18日、予防目的で毎日服用していることを明かしていて、効果や安全性が定まっていない中での事前服用に懸念の声も上がっている。