シンガポール、入国者に追跡アプリの利用義務づけ

東南アジア
2020/6/3 22:27

【シンガポール=中野貴司】シンガポール政府は3日、8日から中国との往来を再開するのを前に入国条件の詳細を発表した。入国する前と後に新型コロナウイルスのPCR検査を受ける必要があるほか、シンガポール政府が開発した追跡アプリの利用を義務づける。入国してから2週間は公共交通の利用も制限するなど多くの条件を課す。

シンガポールは8日から中国との往来を再開する(写真はチャンギ空港)

中国からの受け入れは、まず政府機関が招待するビジネスや公務目的の出張申請から受け付ける。その後、企業が招待する出張者にも対象を広げていくが、観光目的の旅行は当面認めない。シンガポールは韓国やニュージーランドなどとも往来再開に向けた協議を進めており、今回と同様の条件を設ける見通しだ。

入国前のPCR検査は搭乗までの48時間以内に受ける必要があり、搭乗手続きの際に陰性の証明書を示されなければならない。入国後に受けたPCR検査の結果が出るまでの1~2日間はホテルなどに待機し、人との接触を避ける必要もある。

入国後14日間は、旅行日程から外れた行動は許されず、招待した企業や政府機関は出張者が予定通りに行動しているかを監督する責任がある。仮に入国後に新型コロナへの感染が発覚した場合は、自己負担で治療を受ける。

シンガポール政府によると、シンガポールから中国への出張者にも同様の条件が課される。

シンガポールは3月23日から全ての外国人旅行者の入国を禁止しており、往来の再開は約2カ月半ぶりとなる。両国が厳しい条件を設けるのは、国境を越えて新型コロナの感染が再び広がるのを防ぐためだ。ただ、出張者や受け入れる企業にとって負担が大きいため、条件が一段と緩和されるまで出張者は限定的にとどまる可能性がある。

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