」
黒瀬 深@Shin_kurose「日本は侵略国家だから〜」
2020/05/15 21:57:11
「戦争の反省を元に憲法が作られたから〜」
などと意味不明な事を言う護憲派に見せると一発で黙る画像。同じく枢軸国だったドイツ・イタリアがこんなに改憲している。 #憲法改正を望みます https://t.co/ZGszZiCFwC
「海外では何度も改憲している。古臭い憲法を使っているのは日本だけだ。だから改憲しよう」
という言説が長らく叫ばれている
果たしてこの主張は正当性を持つのであろうか
ということで今回は憲法と海外について、書かせていただく
面白いと思われたら、Twitterでの拡散・ブログの読者登録などをしていただけると励みになります
【ネトウヨの主張】
海外では何度も改憲されている
日本だけが70年以上前の憲法を使っている
だから改憲しよう
【ロンハンの反論】
ざっくりとした結論から言おう
海外の改憲は、日本では法律の改正で事足りるものばかりである
🇩🇪
例えば枢軸国として比較されているドイツでは、税制の配分や連邦と州の関係の調整、そして国営事業の民営化に際しても憲法を改める必要がある
この59回の内訳を見ればそのほとんどが、日本では法律の改正や制定で事足りることがよくわかる
🇨🇦
またカナダでは議席数の変更が9回、州と連邦の関係調整が5回だ
さらに、先住民の権利の保証や言語などの文化の尊重を明記するために改憲している
カナダの改憲もやはり、日本では法律の改正にとどまる
🇺🇸
アメリカについては弁護士の堀氏のこの記事がとてもわかりやすい
(noteを紹介するのって大丈夫なのだろうか...)
アメリカでの改憲はほとんどが日本でいう法律(公職選挙法など)の部分の改正にすぎないことが説明されている
この時点で、「世界中がこれだけ改憲しているんだから日本もすべきだ」という主張に正当性がないことがわかる
何せその多くが日本でいうところの改憲に相当するものではないからだ
裏返せば日本は、海外で行われる改憲程度の変更は法律の改正を通じて何度も行っていることになる
また「世界に合わせよう」という人は以下のものも積極的に受け入れるつもりはあるのだろうか
・共和制=天皇制の廃止(🇺🇸🇷🇺🇮🇳🇫🇷🇩🇪🇮🇹)
・死刑廃止(🇬🇧🇸🇪🇫🇷🇩🇪🇮🇹🇨🇦🇦🇺)
・ヘイトスピーチの法規制(🇩🇪🇨🇭🇫🇷🇬🇧🇷🇺)
・同性結婚(🇨🇦🇺🇸🇫🇷🇦🇺🇳🇱🇧🇪🇪🇸🇸🇪 一部:🇬🇧)
・選択的夫婦別氏制(夫婦同氏を法で定めているのは日本のみ)
私は上記の政策に賛同するとしても、
「世界中でそうなっているから」
という理由で議論を推し進めようとすることはしない
なぜなら日本と諸外国では歴史や状況が異なるからだ
安易に海外のものを引き合いに出すことは上記のようなものも、「海外でもそうだから」という理由だけで受け入れる覚悟をするべきだ
他にも日本と世界の国々との間には多くの違いがある
あくまで自国のことなのだから、他国と比べる必要はない
その上でいいものを導入し、悪いものは改めればいい
〈🇮🇳インドについて〉
各国の改憲回数を見ると、インドの多さが目を引く
誤解を恐れずにいうと、インドは他の列挙されている先進国に比べてやや場違いな感が否めない
発信者の意図としてはおそらくその回数のインパクトで、他国の改憲が多いという印象を付けようとしているのだろう
この回数の内訳については、その回数の多さや情報の少なさ、加えてインドの歴史や風習への無知などが相まって調べるのは困難を極めた
幸い、私にはインドに造詣の深い強力な味方がいた
その方の協力のもと、大まかなインドの改憲の内容を把握できたのでそれについても報告させていただく
まず、州や連邦についての規定や民族、言語についての改憲が多くあることに特徴を見出せる
日本と比べて圧倒的に多くの民族や宗教を抱えるインドではそれらの調整にも憲法改正を必要とすることが少なくない
以下に例をあげよう
・低カーストの人々の処遇について:20回
・パンチャーヤト(伝統的な村の議会。寄合のようなもの):1回
・言語について:1回
・特別州についての規定:1回
・連邦政府について:24回
・州政府について:19回
当然これは日本の国家のあり方にはないものであり、日本の改憲の後押しをするものにはなり得ない
また、日本の憲法に記載されているものについての改憲もあるが、それらは調整であるか、あるいは日本ではすでに規定されているものであったり、法律で詳しく定めているものが多い模様だ
例えば、基本的人権として七度にわたり改正された、「救済される権利」は、人権が侵害されたときに最高裁を通じて救済を求める際の手続きが定められたり、人権に関わる立法は州ごとの議会には与えないことなどを定めている
これは日本国憲法では、人権保障の原則(13条)や国家賠償請求権(17条)などで理念として定められたものが対応すると考えられる
言い換えるなら、インドの憲法の改正はすでに日本国憲法で定められている内容であり、かつ、細かい部分は日本では法律の改正で事足りる部分になっているということだ
そもそもインドは先進国ではなかったため、日本に比べて時代の変化に合わせて憲法を改める必要が多いのは当然の理であり、その回数を日本と比較するのは馬鹿げている
【まとめ】
海外は何度も改憲している
→日本では憲法の範囲外。法律で対応するもの
そもそも、改憲論議は他国を引き合いに出してするものではない
【ロンハンの所感】
私は改憲そのものが絶対悪だとは思っていない
しかし、現在改憲を声高に叫んでいる勢力の主張する改憲に納得ができないから護憲の立場をとっているだけだ
また、改憲に限らず、その政治的活動のモチベーションを海外の様子に見出すのは間違っていると思う
もちろんきっかけとして海外情勢に目を向けることは貴重だろうが、政治活動の根拠に「海外がそうだから」と言うのは主体性があまりにも欠如している
また、古いことを理由に改憲を主張する人もいるが的外れもいいところだ
憲法に限らず、法律は古かろうと十分に機能する
例えば日本の刑法は明治時代に作られたものだ
必要に応じて条文を追加・変更あるいは削除することで時代の変化に対応している
本来は、古いというだけで変える理由にはならず、あくまで古いからこその弊害が発生しているのだと主張しなければいけない
そしてこれは個人的な感想に過ぎないのだが、集団的自衛権の行使などをめぐる解釈改憲は、海外では改憲した回数として数えられるくらいの大幅な変更ではなかろうか
【参考】
諸外国における戦後の憲法改正【第5版】
【協力】
ブログ「右翼史観にカウンター」
http://raityou74.livedoor.blog/
ここまで読んでいただきありがとうございました
文章中に明白な誤りがある場合はコメントやTwitterで教えていただけると幸いです
コメント
コメント一覧 (4)
ほんこれ
出羽守という揶揄がSNSでは使われる割には、改憲に関しては海外では~、と言う論調なのは疑問しかありませんでした。
時代に合わせて~、という言い分はもっともらしく聞こえるだけに都合の良い情報だけかいつまんだ煽動には気を付けたいです。