あおり運転の厳罰化や、一定の違反歴がある75歳以上への実車試験導入を盛り込んだ改正道交法が2日、衆院本会議で可決、成立した。あおり運転は今月末ごろ、高齢運転者対策は2022年6月までに施行。今国会では、事故時に適用される自動車運転処罰法も危険運転の範囲を拡大する改正案が成立する見通しだ。2つの法律により、悲惨な事故が相次ぐ交通情勢に歯止めがかかることが期待される。
改正道交法は、これまで法律上明確な定義がなかったあおり運転を「妨害運転」と規定。違反1回で即免許取り消しになる。他の車両の通行を妨げる目的の車間距離不保持やクラクション、幅寄せ、急ブレーキなどを違反行為と明示した。罰則は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」。
高速道路上で相手車両を停車させる行為や、一般道でも衝突しそうになるなど「著しい危険」を生じさせた場合は「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」と罰則が重くなる。
免許取り消し後に再取得が可能になるまでの欠格期間は、酒気帯びや酒酔い運転と同様に2、3年となる見込み。
高齢運転者対策は、一定の交通違反歴がある75歳以上に対し、免許更新時に実際に車を運転して能力を確かめる運転技能検査(実車試験)を義務付ける。繰り返し受検可能だが、不合格なら免許更新できない。合格者はさらに認知機能検査を受ける。「認知症の恐れなし」と判定されると高齢者講習に進み、「恐れあり」の人は医師の診断を仰ぐことになる。
自動ブレーキなど先進安全機能を備えた「安全運転サポート車(サポカー)」に限って運転できる限定免許も創設される。本人の申請で取得でき、免許の自主返納を考える高齢者のほか、運転に不安がある人の新たな選択肢となる。対象車種は今後の技術実用化を踏まえて決める。
〔共同〕