「4月上旬、『発熱外来』で外来診療に当たるよう、病院から要請されました。ここは新型コロナウイルスに感染した疑いがある人を専門に受け入れる外来です。患者の急速な増加に追いつかず、眼科医である私までが駆り出されることになったのです」
こう語るのは都内の中規模病院に勤める非常勤眼科医だ。この医師が働く病院では、3月中旬に「発熱外来」を設置した。
当初は内科の医師が中心になって対応していたが、訪れる患者がわずか2週間で1・5倍に増加。次第に内科医だけでは限界を迎え、ほぼすべての診療科から応援を募ることとなった。
眼科医が続ける。
「非常勤であるため、危険手当もつきません。新型コロナウイルスの対応に当たるよう要請された医師や看護師らの中には、召集令状になぞらえて『赤紙が来た』と言う人もいます」
いま、つくづく思うことがある。医者は確かに特別な存在かもしれない。しかし、あまりにも人数が少ないのではないか。