【エネルギー・食料問題】鉱産資源の分布を覚えるコツを教えてください。

鉱産資源の分布を覚えるコツを教えてください。

石炭、原油、鉄鉱石の分布が覚えられません。どこでどの資源が産出されるか、ひとつひとつ覚えるしかないのでしょうか。

進研ゼミからの回答!

こんにちは。
それではさっそく、質問に答えていきましょう。

【質問の確認】

石炭、原油、鉄鉱石の分布が覚えられません。どこでどの資源が産出されるか、ひとつひとつ覚えるしかないのでしょうか。

【解説】

石炭・原油(石油)・鉄鉱石は重要な資源ですが、世界中どこにでもあるわけではなく、特定の地域に偏在しています。実は、これらの資源の分布は、大地形(古期造山帯・新期造山帯・安定陸塊)の分布と密接な関係があります。次の地図を見ながら確認していくことにしましょう。

石炭→古期造山帯に分布 原油(石油)→新期造山帯に分布 鉄鉱石→安定陸塊に分布 <石炭・原油・鉄鉱石の分布と大地形の分布>石炭→古期造山帯に分布 原油(石油)→新期造山帯に分布 鉄鉱石→安定陸塊に分布 <石炭・原油・鉄鉱石の分布と大地形の分布>

<炭田は古期造山帯に多く分布する>
「石炭」は、大昔の地中に埋もれた植物が炭化して生成された“植物の化石”といえるものです。植物が埋もれた地層は、古生代以降に造山運動(=大規模な山脈などを形成する地殻変動)を受けたあとに動きがとまり、やや長期間にわたって侵食を受けたため、現在ではなだらかな山脈となっています。このなだらかな山脈のある地域を「古期造山帯」とよびますが、この生成過程から主要な炭田は古期造山帯に分布しています。
なお、地殻変動が刻まれた地層などをもとにして、地球の歴史は大昔から順に「先カンブリア時代 →古生代 →中生代 →新生代」と時代区分されていきます。現在は、新生代の第四期にあたります。
古期造山帯の分布するところに、炭田の印が多くついていることをチェックしていきましょう。石炭は、北半球の中緯度地方(アメリカ合衆国のアパラチア炭田や、ロシア連邦のクズネツク炭田ほか)やオーストラリア東部(モウラ炭田ほか)・アフリカ南部などで多く産出されています。地図には、インドのダモダル炭田も示されています。

<油田は、新期造山帯の背斜構造の部分に多く分布する>

<油田は、新期造山帯の背斜構造の部分に多く分布する><油田は、新期造山帯の背斜構造の部分に多く分布する>

「原油(石油)」は、大昔の海にいた生物の遺骸(いがい)が圧力や熱により変成して液体になったものです。海生生物の遺骸が埋もれた地層は、中生代後期から新生代にかけて造山運動を受け、現在でも地殻変動が盛んです。地層が波形に曲がるなどして険しい山脈になった地域を「新期造山帯」とよび、主要な油田は新期造山帯の背斜構造の部分に分布しています。背斜構造の部分に石油がたまることについては、右の略図を参照しましょう。
現在でも火山活動や地震活動が活発な新期造山帯は、「アルプス=ヒマラヤ造山帯」と「環太平洋造山帯」の2つに分類されます。新期造山帯の分布するところに油田の印が多くついており、原油は西アジア・北アフリカ・メキシコ湾岸・ロシア連邦(ヴォルガ・ウラル油田ほか)・カスピ海沿岸(アゼルバイジャンのバクー油田ほか)などで多く産出されています。中国のターチン油田も、地図に示されています。

「原油(石油)」は、大昔の海にいた生物の遺骸(いがい)が圧力や熱により変成して液体になったものです。海生生物の遺骸が埋もれた地層は、中生代後期から新生代にかけて造山運動を受け、現在でも地殻変動が盛んです。地層が波形に曲がるなどして険しい山脈になった地域を「新期造山帯」とよび、主要な油田は新期造山帯の背斜構造の部分に分布しています。背斜構造の部分に石油がたまることについては、上の略図を参照しましょう。
現在でも火山活動や地震活動が活発な新期造山帯は、「アルプス=ヒマラヤ造山帯」と「環太平洋造山帯」の2つに分類されます。新期造山帯の分布するところに油田の印が多くついており、原油は西アジア・北アフリカ・メキシコ湾岸・ロシア連邦(ヴォルガ・ウラル油田ほか)・カスピ海沿岸(アゼルバイジャンのバクー油田ほか)などで多く産出されています。中国のターチン油田も、地図に示されています。

<鉄山は、安定陸塊の楯状地に多く分布する>
「鉄鉱石」は鉄の原料となる鉱産資源ですが、鉄鉱石の鉱床ができたのは先カンブリア時代です。先カンブリア時代には光合成をする生物があらわれて酸素が盛んにつくられるようになり、これが海中の鉄分と結合し酸化鉄になって沈殿したからです。鉱床のある地層は、先カンブリア時代に造山運動を受けた後、長期間にわたって侵食作用を受けつづけたため、現在では起伏の少ない平野や高原になって「安定陸塊」とよばれています。安定陸塊は楯状地と卓状地に分類されますが、テーブル状の卓状地と異なり、先カンブリア時代の地層がそのまま地表に露出して“盾を伏せたように”なっているのが「楯状地」です。

ちなみに、産出しやすい資源と結びつけて古期造山帯・新期造山帯・安定陸塊という大地形も説明してきましたが、造山活動が早くおこった順としては「安定陸塊 →古期造山帯 →新期造山帯」と並ぶことになりますね。

安定陸塊の楯状地の分布するところに鉄山の印が多くついており、アメリカ合衆国のメサビ鉄山、ブラジルのカラジャス鉄山・イタビラ鉄山、インドのシングブーム鉄山、オーストラリアではピルバラ地区のマウントホエールバック鉄山などを地図で確かめることができます。

【アドバイス】

世界の主要な炭田・油田や鉄鉱石産地は、ある程度は覚えていく必要がありますが、それらを丸暗記するのでは大変です。そこでまず、それぞれの産地の分布を大地形の分布と関連づけて、おおづかみにしておきましょう。
説明してきた関連性だけで全部の産地を説明できるわけではありませんが、世界地図を思い浮かべて「石油が多く分布する新期造山帯のひとつがアルプス=ヒマラヤ造山帯で、その付近の西アジアに産油国が多い」といったようにイメージをもてるとよいですよ。原油の確認埋蔵量のうち約3分の2は、ペルシア湾岸をはじめとする西アジア(中東地域)にあることが知られています。

石炭の“可採年数”ですとか石油の“確認埋蔵量”といった表現が使われるように資源には限りがあり、石炭・原油(石油)・鉄鉱石といった資源は特定のかたよった地域からしかとれません。大地形の分布を手がかりにして大まかな資源分布をおさえたら、主要な炭田・油田・鉄山の名称も頭のなかに入れていきましょう。

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