警察がクルド人男性に対し不当な暴力行為をし、身体に傷害を負わせたとして、該当警官の懲戒免職を要求するデモが渋谷で行われた。
デモの開始1時間前から、ハチ公前には多くの人が集まっていた。
暴行を受けたのはクルド系トルコ人のチリク・ラマザンさん(33)。普段はケバブ屋台の運営やイベント関係の仕事をしている。事件が起きたのは5月22日。ラマザンさんが車で歯医者に向かう途中、警察に職務質問されたことが発端である。
警察はラマザンさんに車から降り、膝をつくよう要求した。ラマザンさんが「そのような指示に従わなければいけない悪事は行っていない」と主張し、拒否したところ、首をつかまれて力づくで抑えつけられたという。
さらに、警察は事件当時、ラマザンさんと一緒にいた友人から携帯を取り上げ、警察の暴力行為が撮影された動画映像を削除したという。残った動画には、警察がはっきりと「消せ」と繰り返し怒鳴る音声が記録されている。
今回のデモには約200人が参加し、差別警官の処罰を要求した。デモ行進が渋谷警察署前に差しかかると、参加者の何人かが足を止め、「集団リンチの犯人隠すな!」と署前で声を荒げた。デモ抗議はエスカレートし、男性が署内に入ろうとすると警察とデモの衝突に発展し、現場は一時騒然となった。
この男性が署の中に引きずり込まれると、デモ隊は「仲間を返せ!」と怒声を張り上げ、デモは一層激しさを増した。とりとめがつかなくなると、デモ主催者の1人がこれ以上犠牲者がでることを懸念し、解散を呼び掛けたが、多くが残り「仲間の返還」と「差別警官の処罰」を要求した。
今回の抗議には立憲民主党の参議院議員、石川大我氏も参加し、「国会でも大きく取り上げていきたい」と述べ、日ごろから取り組んでいる入管問題も含めて、問題解決への協力を表明した。
ラマザンさんは、暴行により足を痛めていたが、今後同じことが繰り返されないようにと今回のデモ抗議に参加した。最後に、集まってくれた参加者に感謝の気持ちを述べ、今回の事件を提訴し、裁判にしていくと明かした。