パトカー=嶋野雅明撮影

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 新型コロナウイルス対策として全国民に一律10万円を給付する「特別定額給付金」を巡り、親族の分を自らの口座へ不正に振り込ませようとしたとして、京都府警組織犯罪対策2課などは1日、京都市右京区、無職、寺石諭(さとし)容疑者(38)と同区の無職の女(45)を、詐欺未遂と有印私文書偽造・同行使などの疑いで逮捕した。定額給付金を直接だまし取ろうとした事件で逮捕されるのは、全国で初めてとみられる。

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 逮捕容疑は、2人は共謀し、滋賀県栗東市に住む女の親族2人分の定額給付金計20万円をだまし取ろうと、親族が女と京都市内で同居しているように偽装することを計画。住民票の異動に必要な委任状を偽造して5月1日、親族の住民異動届を栗東市役所に提出し、京都市内へと虚偽の住所変更をした。その上で、給付金が女の銀行口座に振り込まれるよう、偽造した委任状で親族の代理人を装い、同12~16日に支給を求める虚偽の申請書を栗東市役所に郵送し、給付金をだまし取ろうとしたとしている。

 府警によると、2人は郵便局にも転居届を出し、給付金の申請書など親族宛ての郵便物が女の自宅に届くよう準備したという。女の別の親族が、府警右京署に相談して発覚。捜査を受け、栗東市役所が給付金の振り込みを保留していたため、被害はなかった。

 両容疑者は交際しており、府警は寺石容疑者が事件を主導した可能性があるとみて調べている。寺石容疑者は「女がやったことで私は関係がない」と容疑を否認し、女は「寺石容疑者と一緒にやったことに間違いありません」と認めているという。