王都のある場所にて彼らは走っていた。屋根から屋根へと移動しながら目的地へと向かっていく。『漆黒』のモモンとナーベ、それと『蒼の薔薇』のイビルアイだ。彼ら三人は目的地へと走っていく。
行く手を阻もうとする悪魔たちが現れる。
モモンは一閃、また一閃と屠る。
ナーベも電撃、打撃、斬撃と悪魔たちに倒していく。
イビルアイも魔法で作成した水晶の武器で悪魔たちにダメージを与えていく。
「凄い!同じアダマンタイト級のはずなのに……」
ラキュースが何故モモンならば大丈夫と言ったか分かった。彼なら確かにラナーを助けられるはずだ。
楽々と悪魔を屠るモモンたちを見てイビルアイは特にモモンへの評価を改めた。ゆえにイビルアイがモモンに対して敬意を混めて『さん』付けで名前を呼ぶのは何もおかしいことではなかった。
「モモンさん……か」
「ん?何か言いましたか?」
「いや……何でもないです。それと私に対しては堅苦しい言い方をしなくていいですよ」
「?…分かりま……分かった」
そんな会話をしながらもモモンたちは楽々と悪魔たちを倒していく。その姿はまるで王国の未来を切り拓いてくれる救世主の如く英雄の様であった。いや間違いなくそうだ。と後のイビルアイは語る。
(……もしやモモンさんもナーベも"リーダー"と同じ『流星の子』なのだろうか?)
イビルアイがそう思ったのは無理もない。だがこの時モモンたちはイビルアイがそう思ったことなど微塵も知らなかった。知る由も無かった。もしもっと早く知っていれば……イビルアイが『流星の子』について知っていることを知っていれば何かが変わったかもしれなかったのに……。しかしそんなことはこの場にいる誰もがそんなことには気づけなった。
◇◇◇◇
◇◇◇◇
◇◇◇◇
そんなことがありながらもモモンたちがラナーのいる牢を発見するまで比較的簡単に進むことが出来た。
ようやくモモンたちはその牢屋を視界の端に捉えた。
「ラナー!」
イビルアイのその発言を聞いてモモンは確認の為に聞くことにした。
「イビルアイ、彼女がラナー王女で間違いないのか?」
「えぇ。彼女がラナー王女です。間違いない」
そう聞いてモモンは疑問に思ったことがある。ナーベの方へと目を向ける。ナーベがそれに気付くと頷いた。どうやらモモンと同じ考えの様だ。
「…………」
「どうしたんですか?モモンさん」
「いや……あまりにも上手く行きすぎている。恐らくだがこれは……罠だ」
「だが私たちは罠だと分かっていても行くしかあるまい。ラナーを助けないと」
「えぇ。そうですね」
それ以降モモンは口を閉ざした。確かにイビルアイの言う通りであり、今更何を悩むと言うのだろうか。余計な考えは却ってナーベたちを危険に晒してしまうだろう。そう思うとモモンは首を横に振り疑念を払う。
(私はまだまだだな。もっと冷静になるべきだ。でないと……)
そう思いナーベの方に目を向ける。どうやらナーベは気付いていないらしくこちらを見ていなかった。
(大事なものを失うのは……もう嫌だ。もう二度とあんな思いはしたくない)
かつて仲の良かった五人組。共に冒険者になること誓った仲間たち『
(………全てを失うのはもう沢山だ。ナーベ……ハムスケ……そしてシズ、もう誰も失うわけにはいかない。だから私が全てを守るんだ!)
「待て!」
「どうしたんですか?」
『さぁ助けに行こう』と口に出して助けに行くともりで先頭に出ようとしたイビルアイをモモンは口で制した。気になる点があったからだ。
「わざわざ王女を誘拐したくせに見張りの者が一人もいないのはどう考えても不自然だ。数秒でいい。時間をくれないか」
「分かりました。モモンさんの言う通りだな。何をするつもりですか?」
「武技で周囲を探索をする。伏兵が潜んでいたらまず分かるはずだ」
(<心頭滅却><課全拳・4倍>)
自らの能力を4倍にした上で周囲を感知する。時間にして約2秒。それで周囲一帯を感知する範囲をも4倍にまで広げる。牢屋内にいるラナー王女、その周囲には気配は無かった。念の為にさらに遠くも感知してしてみたが不自然な程誰もいなかった。だが違和感に気付きすぐに武技を解除した。
(この感じ………もしや…)
「どうしましたか?モモンさん」
「あぁ、少し気になることがあってな。今から話すんだが……」
◇◇◇◇
◇◇◇◇
◇◇◇◇
「ラナー王女!」
モモンがそう言って牢屋に近づき、大剣を一閃、いともたやすく牢屋の鍵は破壊された。
「貴方方は?」
「私たちはアダマンタイト級冒険者『漆黒』です。国王陛下の命で貴方を救助しにきました」
「お父様が?」
「ですが……私は…」
「話は聞いています。貴方が処刑されないと民が殺されると……ですがその悪魔が本当にその条件を守るとお思いですか?」
「そ…それは…」
「ラナー王女!後は"私たち"にお任せ下さい」
そう言ってモモンは牢屋から出ようとしないラナーの手を取った。
「さぁ帰りましょう。皆さん、貴方の帰りを待っています」
「……私は……」
「もう大丈夫です。貴方がこれ以上頑張る必要は無い」
「そうだぞ。ラナー、悪魔たちがお前を処刑した後に他を助ける保証は無い。だから私たちが来たんだ」
「イビルアイさん……」
「……最後に一つだけ聞かせて下さい」
「何でしょうか?」
「貴方には立場があるはずです。それなのに何故……私を助けに来たのですか?」
「『誰かが困ってたら助けるのが当たり前』だから……です」
その言葉を聞いてラナーの視界が……いや世界が鮮明になる。
先の無い真っ暗な未来に差した一筋の光。
その二本の大剣であらゆる未来を切り拓く存在。
(あぁ……そうかこの方は……『英雄』なのね……)
「イビルアイ!頼む」
「分かりました。ラナー、私に掴まれ」
「えっ…あっ、はい」
「行くぞ……」
それはイビルアイが転移魔法を詠唱する寸前での出来事であった。
聞こえたのは初めて聞く声。だがその声はあまりにも悪意に満ちていた。
「<
モモンはハッと声の方向へと顔を向ける。そちらには仮面を被る三人がいた。一人は赤毛のメイド、もう一人はストロベリーブロンドの髪をしたメイド(シズらしき人物)……。そして赤い服を着た翼を生やした人物。その悪魔らしき姿から連想できるのは一人だけだ。
「なっ!転移魔法が発動しないだと!?」
「イビルアイ!王女を連れて急いでここから離れろ!」
「わ、分かりました!ご武運を!」
モモンは去っていくイビルアイとラナー王女を見て少し安心した。
(やはり!監視していたか……そして転移魔法で来たのか。確かにその移動方法ならば武技<心頭滅却>に引っかからない訳だ……。だがラナー王女は救出できた。後はイビルアイ一人で十分だろう。問題は……)
モモンは悪魔を睨む。どういうわけかラナー王女とイビルアイを見逃してくれたようだ。
(一体何を考えている?ラナー王女の処刑が目的ではないのか?……かといって市民の虐殺が目的でもないのか?………いや今は考えても仕方が無い。情報が少なすぎる。目の前に集中しなくては……)
「初めまして。『漆黒』のお二方」
「お前が…ヤルダバオトか?」
「えぇ。そうですが、それが何か?」
「どうして王女を?いや…この王都で起こした一連の出来事は何のために?」
「さぁ……それは答えかねますね」
「そうか……答えないのなら、力ずくで答えてもらおう」
「……申し訳ありませんが、それは困りますので抵抗させていただきましょう。ルプスレギナ!シズ!ここは任せますよ」
そう言ってヤルダバオトは背中から翼を生やす。
「何をしようとしているか知らないが、させるか!」
モモンは大剣を背中から抜いた勢いのままヤルダバオトに振り下ろす。しかしその一撃は二人のメイドにより防がれてしまう。シズがクロスボウで、赤毛…ルプスレギナと呼ばれた女が魔法でシズに支援魔法を詠唱したようだった。
「…分かりましたっす」
「………分かりました」
「モモンさん」
「ナーベ、私が赤毛を……」
見るからに赤毛の…ルプスレギナの方が難度が高い。恐らく180前後といった所だろう。シズで150以上と考えるとかなり差があると思える。
「いえ、赤毛の方は私に任せて下さい」
「なっ!しかし奴の難度は……」
「分かってます。その代わりモモンさんはシズをお願いします」
「……分かった。……ナーベ」
「?」
「…ありがとう」
「シズ!」
「……警告はした。なのに何故来た?」
「お前は本当に心の底からヤルダバオトに従っているのか?」
「……あの悪魔が王都で何をしたのかは知っている。でも……今の私にとってそんなことは関係無い」
「だったら何故あの時泣いた?」
「……」
「答えろ!」
「……私たちは戦うしかない。…それだけ。私たちにとってはそれしか許されない」
「何でだ!」
「…生きる為」
モモンに向かってクロスボウが放たれる。
「<
ナーベが詠唱したのは第三位階魔法に位置する雷系統の魔法。両手から帯電した球体が生成され、それが膨張。いつでも爆発しそうな程膨れたその球体をナーベは容赦なく赤毛の女に投げつけるように放った。
「ふぎゃっ!」
赤毛のメイドが攻撃を受けて感電する。その感約1秒。
瞬間、ナーベは接近。腰からぶら下げる剣に手をかける。
(これで決める!)
抜刀、振り上げ、そして振り下ろす。
「<________>!!」
女が何やら詠唱した。だが限界まで集中していたナーベには聞こえなかった。しかし女の正面に立っていたこともあり口の動きで魔法を詠唱したのだと判断。瞬時に後ろに跳びその場を離れた。
瞬間、地面から炎が噴き出した。
ナーベの肌が炎の熱によって焼ける。だが比較的軽傷だ。
(危なかった……もし後一歩踏み込んでいたら重傷だっただろう)
(でも回復手段としてポーションは持っている。もし重傷を負ったとしても二回までなら回復できるでしょうね。でも可能ならば全て回避するべきね。あの攻撃は確か…<
ナーベがそんなことを考えると赤毛の女は自分の胸に手を当てて詠唱した。
「<
そう言った途端、女の身体を光が包み込み傷を癒した。
(回復手段がある……となれば回復しきれない程ダメージを与えるか、回復をさせる隙を与えない程攻撃を仕掛け続けるか…)
ナーベはそう考える。しかし現状で出来そうな手段は一つしかない。
(相手の手の内が見えない内にこちらの手は見せるべきではない。ならば今の私に取れる手段は後者だけ。となると剣を主体で攻撃を仕掛けた方がいいだろう。だけど相手が信仰形魔法の<重傷治癒>を使えるのあれば他のも警戒しておく必要があるわね)
ナーベは剣を両手で構える。
それを見て赤毛の女が口を開く。
「剣で攻めてくるっすか?」
「さぁ、どうかしら。試してみたら?」
ナーベは赤毛の女に接近するために地面を蹴った。剣を振り上げる。
振り下ろそうとしたその時だった。
「っ……これは<
突如目の前に光源が発生してナーベの視界を奪った。それとほぼ同時にナーベは腹部に強い衝撃を受ける。
「<
その言葉を聞いてナーベは身構える。即ち自らの身を守る為に両腕を前に突き出すように交差した。それと同時に"しまった"とすぐに理解した。何故なら相手が信仰系魔法を主体だとした場合、その魔法は使用できないはずだ。そしてナーベの考えが正しい場合は相手が使える位階魔法の上限は………。
「<
ナーベの視界が晴れたと同時に足元から炎が噴き出す。
<噴き上がる炎>の比ではない。より正確に表すならば『火炎』ではなく『爆炎』。
爆発の衝撃と熱が無防備なナーベの全身を焼く。
「がぁぁぁっ!」
爆炎がナーベを噴き上げる。ローブが燃え肌が焼ける。白磁を連想させる白い肌が焦げる。あまりの激痛にナーベは身体の自由を奪われた。
(まだ!まだ終わっていない!)
「<_________>」
ナーベは小声でそれを詠唱した。その寸前に剣をルプスレギナに向かって投げる。それは槍投げの如く相手に向かって投げた。だがルプスレギナはそれを回避でなく手に取ることで防いだ。
ルプスレギナは勝ったと確信した。仮面の中で笑う。
「終わった……っすね」
パン!
自分の背後から大きな音……それも両手を叩く音……人為的な音が聞こえた瞬間振り返る。そしてそこにいたのは両手から白い光を纏うナーベであった。
(<
「<
ナーベの放った第5位階の雷がルプスレギナに当たる。ルプスレギナの身軽さならば回避は十分出来た。だがそれが出来なかったのには理由があった。
剣を持っていた。
まるでそこに吸い込まれるようにして龍の形をした電撃が飛ぶ。その速度はまさにドラゴンの如きものであった。
ルプスレギナは仮面の中で笑うと目を閉じた。
その衝撃のあまりルプスレギナは建物の壁を破壊し、その中にまで吹き飛ぶ。その際に落とした剣からカランと金属音が響く。
ナーベは剣を拾い上げるとすぐさま追撃に移るために建物の中へと飛んでいった。
◇◇◇◇
◇◇◇◇
◇◇◇◇
「……」
「あきらめろ!シズ!お前じゃ私に勝てない」
「……」
「シズ!」
「……私は…」
「私やナーベ!それにハムスケも待ってる!だから止めろ!今すぐ」
「……」
<モモンさん!>
<ナーベ!…どうした?今は…>
<モモンさん、シズたちが何故ヤルダバオトに従っているか分かりました>
<?話してくれ>
<えぇ。実は………>
ナーベはルプスレギナと建物の中で戦っていた時だった。<
<ルプスレギナ?だったかしら?……貴方に話があるの>
<いいっすよ。それで何を聞きたいっすか?>
<貴方たちは何故ヤルダバオトに従っているの?>
<私たちはヤルダバオトによって心臓に『魔法の刃』を仕込まれてるっす。なので抵抗できないっす>
<解除は不可能なの?>
<多分無理っす。ヤルダバオトに反抗しようとした時点で『魔法の刃』が発動してしまうっすね>
<……>
(流石に言えないわね……思い付きはしたけどいざ実行しようとしたら出来ないわ。『この方法』は……)
だがナーベは言わなかった。相手が心の底からヤルダバオトに従っている訳ではないと分かった以上、その手段を取るのは抵抗を感じてしまった。
<どうしたっすか?>
<何でもないわ……ヤルダバオトに疑われない様に戦闘を続けましょうか>
<ナーベ!シズに抵抗しないように伝えてくれ!>
<分かりました。では一旦切ります>
<あぁ。シズが抵抗しなくなった時点でヤルダバオトを討つ!>
「シズ!」
「………」
(どうやらナーベが<
数秒後、シズの攻撃が止んだ。
(今だ!)
モモンは<課全拳・四倍>を発動、周囲の建物を足場に跳躍、その素早さと跳躍力は通常時の四倍。
あっという間に上空にいるヤルダバオトの元へと辿り着く。
「これで終わりだ!ヤルダバオト!」
二本の大剣を振り上げる。
「あの"純銀の聖騎士"を思い出しますね」
その一言を聞いてモモンは攻撃する箇所を首から胴体へと変更した。そのまま袈裟切りを交差する様に切り裂く。
「<次元断切>」
ヤルダバオトに大きなダメージを与えたのか。ヤルダバオトはその武技を受けて地上へと落ちていく。
(勝ったのか?)
モモンもヤルダバオトと同時に地上へと落ちていく。
二つの影が地面に落ちた。一人はヤルダバオト。もう一人はモモンだ。
「……ヤルダバオト」
「ヤルダバオト」
シズとルプスレギナがそれぞれ名前を呼ぶ。そこにはもう恐怖を感じさせるものは無かった。
「やはり……貴方たちは裏切ったのですね」
瞬時に警戒する。モモンはすぐに動けるように精神を集中。ナーベとルプスレギナも魔法を詠唱しようと集中。シズもサポートに集中する。
「まぁ…いいでしょう。しかしこのままで終われると思わないで下さいね」
(しまった!)
そうモモンが思いヤルダバオトの首を刎ねようとする。だが防がれてしまう。
「……良い一撃ですね。怒りに満ちた良い一撃ですね」
その瞬間、ルプスレギナとシズが突如胸を押さえだす。
「うっ…す!」
「……っっ」
「シズ!、ルプスレギナ」
「さてここで一つだけ助言致しましょう。横ばかり見ていてよろしいのでしょうか?」
「何を!?」
モモンは気が付いた。自分の視界に突如現れた巨大な影。それに気付く顔を上に向けると巨大な岩があった。
「第10位階魔法<
そう言ってヤルダバオトは姿を消した。恐らく転移魔法だろう。周囲から気配が消えた。
第10位階魔法……それは位階魔法の中でも最上位に位置するもの。それをこんな形で発動したヤルダバオト。
「すまないな。ナーベ」
「えっ」
「二人を頼んだぞ。私は今からあの魔法に抵抗してやろうと思う」
「無茶です!あれは第10位階魔法ですよ!いくら何でも…」
「あれを止めないと大きな被害が出る。『誰かが困ってたら助けるのが当たり前』……この言葉を言っても恥じない様な者に私はなりたい」
「……必ず生きて帰って下さいね。モモンさん」
「あぁ。約束する」
「<明鏡止水>」
周囲の時間から自分が抜け出す。まるで時が止まったかの様だ。だがその巨大な岩は速度こそ落ちているも止まってはいなかった。
「<課全拳・4倍>」
屋根に飛び移り、最大限の跳躍。岩はまだ止まらなかった。
「<次元断切>!」
岩を斬ることは出来た。
(ダメだ。もっと粉々に出来るほどの威力がいる。だったら……集中しないと)
「<課全拳・5倍>」
全身に強烈な負担が掛かる。歯を食いしばり何とか耐える。
「<次元断切>!!」
岩に大きな亀裂が入る。
(これでもまだ止まらないのか!?もっとだ……もっと集中しないと…)
「<課全拳・6倍>!!!!」
全身の肉が裂け、骨が砕け血液が暴走する。まるで全身にセバス殿の蹴りを食らい続けているような感覚だった。
意識が朦朧とする。
目や鼻や口から何か----恐らく血だが----が溢れる。だが構うものか。
「<次元断切>!!!!!!」
星を砕く。後少しだ。あと少しで粉々に出来そうな予感がする。
「<課全拳・7倍>!!!!!!」
力の暴走。それが相応しい程、自分で自分の力をコントロールできなくなる。自分の力そのものに自分自身が破壊されていく感覚。だがそれでも何とかそれを星の破壊に集中させる。
「<次元断切>!!!!!!!!!!」
ようやく星を切断できた。その勢いのせいか星は粉々に砕け散った。
(あぁ……やっと終わった)
モモンの全ての武技が解除される。それはモモンの肉体と精神の両方が限界に達したことを意味した。
(…意識が……)
上空から落下していくモモンをナーベは優しく抱き留めた。
「お疲れ様です。モモンさん」
「あぁ……」
こうしてモモンとヤルダバオトの初めての戦い終わった。
リ・エスティーゼ王国は救われたのだ。
そしてその救国の英雄の名前を皆が呼ぶようになる。
ルプスレギナの<
第5位階魔法。信仰系のクラスを取得した者が取得できる攻撃魔法。
悪しき者程ダメージが大きくなるという性質を持つ。
魔法発動時は対象となる場所に十字の模様が浮かび上がり、すぐにその模様が炎に具現化し、それが対象を中心に折りたたむようにして閉じ込めて火あぶりにする。
※作者独自のオリジナル魔法です。独自設定です。