“消えた”東京の陽性者162人 保健所と医療機関の報告に差

2020年5月30日 14時06分

29日の定例会見で、新型コロナ対策について話す小池百合子東京都知事

 新型コロナウイルスのPCR検査で陽性になったと医療機関などから報告があったのに、東京都発表の感染者数に含まれていない人が百六十二人もいることが分かった。最初の報告に誤りがあったのか、感染者数が間違っているのか。原因は判明しておらず、都が確認を急いでいる。 (岡本太)
 陽性者の報告はほぼ毎日、都が速報のため医療機関から検査結果を聞き取って集計表を作成し、ホームページで公表。一方の感染者数は保健所からの正式な報告を基に、都が確定情報として日々発表している。陽性判明から都に報告が届くまでの時間差があるため、若干のずれは生じるが、本来はほぼ一致することになっている。
 ところが二十九日時点での両者の累計人数を見ると、陽性者数は感染者数より百六十二人も多い。数字上、これらの陽性者は「発表待ち」になっており、こうした状態は二週間以上続いている。
 都の感染者数を巡っては五月に入ってから二度、保健所などからの報告漏れなどが発覚。都はその際、集計をやり直していることなどから、今回の誤差については、医療機関などからの「陽性者数」の報告が誤っている可能性が高いと推測。患者一人の検査結果が重複して計上されていたり、陰性確認のための検査結果が交ざったりしている疑いがあるとみている。
 ただその場合、都が「陽性者数」などから算出する陽性率が上下する。陽性率は都が外出自粛・休業要請の緩和や再要請を判断するモニタリング指標の一つとしており、指標の信頼性が揺らぎかねない。
 さらに、もし今回も保健所などからの報告漏れなどだとすれば、最近減少傾向にあるとされる感染者数は、もっと多かったことになり影響は計り知れない。都は「その可能性はないと考えている」と否定。誤差の原因について医療機関に問い合わせるなどして確認を急いでいる。
<東京都の陽性者数と感染者数> 医療機関などが都に報告したPCR検査の「陽性者数」は7〜28日で計486人。同期間に都が発表した感染者数は計324人。6日以前の「陽性者数」は、民間医療機関での保険適用検査などを含んでおらず、比較できない。

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