持続化給付金の他にも…経産省事業を4年で14件 「実態は電通の人に聞いて」

2020年5月28日 08時00分
 一般社団法人サービスデザイン推進協議会とはどんな団体か。ホームページに情報はほとんどなく、電話番号も公表されていない。十九日、登記簿上の所在地を訪ねると東京・築地の九階建ての小さなビルの二階に入居していた。インターホンに応答はなく、「お問い合わせは(給付金の)コールセンターまで」の張り紙があるだけだ。

サービスデザイン推進協議会の登記情報

 登記簿情報から代表理事の男性に電話すると「私はアドバイザーで、詳しいことは不明。実態は電通の人たちがやっているので聞いてほしい」と述べた。電通は「回答を控える」とコメントした。
 立憲民主党の川内博史衆院議員が中小企業庁に問い合わせると、作業は「少なくとも五千人以上で対応している」と回答したという。国が当初想定した申請は約百五十万件で、マンパワーが必要なため、電通以外にも再委託されている可能性がある。だが、中企庁は取材に「国が契約しているのは協議会。その先の再委託は公表しない」と回答。コールセンターの場所すら明かさなかった。
 設立以降の経緯からは経産省との距離の近さが浮かぶ。法人の設立日は経産省が主導した優良ホテルなどの認定事業の委託者公募が始まったのと同日。法人は事業を受託した。以来、持続化給付金も含め、四年で計十四件の事業を経産省から受託。持続化給付金事業の入札には、もう一社が応札したが、法人は公募開始の二日前に持続化給付金のウェブサイト用アドレスをすでに取得していた。事業受託を見越したような対応だが、同法人は「受託できた場合に備えた」とした。
 国税庁出身で中央大法科大学院の酒井克彦教授は「多額の税を使いながら持続化給付金の交付が滞っており、経産省には再委託を含めた委託先の業務の実態について国民に説明する責任がある。ブラックボックスのまま検証ができなければ問題だ」と話している。 (森本智之、皆川剛)

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