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 博多駅博多港を結ぶ福岡市のロープウェー計画について、高島宗一郎市長は13日、「きっぱりと検討をやめる」と表明した。同日の市議会では、自民党市議団など高島氏と距離を置く会派が賛成し、採算性などを検討する費用を削る新年度予算案の修正案を可決。計画を強引に進めれば来月の市議選で親市長派に悪影響が出るとみて、撤回を判断したとみられる。

 修正案は検討費用5千万円を削り、目的を定めない予備費での対応を求めるもの。最大会派の自民市議団が出した。この日の本会議で、旧民進系の市民クラブや共産なども同調して、賛成多数で可決された。

 本会議後、高島氏は記者会見を開き、「(博多港がある)ウォーターフロントの再開発が進んでおらず、必要性が理解されていない。開発は10年、20年と長期になる。交通対策は市民に共感いただけるタイミングで検討すればいい」と述べ、白紙撤回を宣言した。

 計画は、高島氏が2017年末に自身のパーティーで「私の夢」として披露し、昨年11月の市長選で公約に明記。高島氏の政策の柱の一つとなっていた。

 記者会見には、修正案に反対した「自民党新福岡」や公明など3会派の代表者も同席した。高島氏は市議選でこうした会派を中心に支援していく方針だ。親市長派の議席増は、高島氏にとって、市議会への影響力を確保するための必須条件。市民の反発が強い計画を撤回し、争点になるのを避ける思惑がある。(柏樹利弘、福井悠介)