カレー店店主の高齢化と事業の柱の増強について。

笑い事ではないのです。

日本の国勢調査の結果、1970年調査で高齢化社会、1995年には「化」ではなく、高齢に向かうのでなく、すでに高齢社会そのものになりました。人口推計の結果、その勢いは増すばかりで2007年に超高齢社会となっています。日本は平均寿命、高齢者数、高齢化スピードという3点において、現在世界一の高齢化社会なのです。当然ながら社会構造の変化もあって、高齢の人々も仕事をやめるわけにはいかなくなってきている現状はみなさんもう肌で感じていらっしゃるでしょう。

そんな中、カレーという視点で見てみると、やはりカレー店の個人店舗の高齢化が見えてきています。
それぞれの個人商店主が考えを巡らせ、自分の事業の最適化と将来を模索している。昔のように、淡々と商売を進め、子に譲り、もしくは看板を下ろしてという流れだけでは立ち行かなくなったきているのがこの国の現状ではないでしょうか。

仮定として甚だ乱暴ですが勝手に世代を決めてみようと思います。

太平洋戦争前後の東京に生まれたカレー店、実質の第1世代目は、少々時間軸の幅がありますが、まずナイルレストラン、新宿中村屋、デリー、アジャンタなどだと考えます。
第2世代が主にアジャンタで学んだシェフたちの店と、同等の営業年数や力量を持つシェフたちの個人店。
第3世代目が2世代目を横目で見ながらそれを目標にやってきた人たち。そしてまだ少し商売としての基礎が危うい第4世代目、現代の間借りなどから卒業した店など。
大変乱暴だし怒られることを承知でこう区分けをしておきましょう。ここで怒りが湧いたり反論を考える店主たちは、それはつまりここの範囲にはいらっしゃらない人たちなのでしょう。だから気にしないでほしいと思います。

こんな前提でいくと、第1世代目のナイルレストラン、新宿中村屋、デリー、アジャンタなどのお店。

新宿中村屋、1923年創業、96年。ナイルレストラン、1949年創業、70年。
アジャンタ、1954年創業、65年。デリー、1956年創業、63年。
印度料理シタール、1981年創業、38年。カレーレストラン シバ、1985創業、34年。

それぞれその歴史は他店と比べて段違いです。そういう店は、きちんと未来に向けてのビジョンを持っていらっしゃる。世代交代を経て永続的な経営にしていたり、他の事業も行ったり。組織として存続を考えるものもある。事業継承という問題に真っ向から取り組んでいらっしゃるお店だと言えます。

第2世代のお店は、例えばカレーバー ヘンドリクス、1993年創業、26年。初台スパイス食堂 和魂印才たんどーる、1997年創業、22年。スパイスカフェ、2003年創業、16年。南インド料理ケララバワン、2004年創業、15年。ケララの風、2008年創業、11年。南インド料理 葉菜、2009年創業、10年。
10~20年選手ということで、円熟味を増し、経営も安定に乗っており、店主もまだあと10年以上は戦える店ばかりに見えます。

第3世代、第4世代はそれこそもう日々現場で試行錯誤の時間を送っているに違いありません。未来を明確に見るビジョンはあともう少し先になるのではないでしょうか。

そういう中での話し。

現在、大変に厳しい状況の外食店経営の世界。営業が続けられているだけでも優良企業と呼べるような厳しい時代ではありますが、そういう中で、未来を見せてくれているのが第1世代目のお店たち。しかし、あのラインナップ、あまりに眩しく偉大な店ばかりで、夢ではなく、現実的にあれを目指すのは少々難しいかもしれないです。

それで2世代目という話になるのですが、まだ2世代目の店主たちは引退をしておらず、個人店の行く末、着陸点を見せてくれていないと感じます。彼らがいまその真っ最中で、まだ結果を全ては見せてもらえてないというところにいるのでしょう。それで、お店で最大限何ができるのか、それと店舗内ではない場所で何かしなければいけないのではないかという話になってきます。

具体的には店の営業は席数とその回転率。それが店での売り上げ。
そして、お店ではないところで売り上げを立てるのが、今言った店舗内ではない場所で何をするか、ということ。いろいろなアプローチがあると思います。

一番身近なところで弁当販売、デリバリー、出前館やUber eats、ケータリングなど。イベント出店や間借りスタイルでの自店舗以外での場所でのリサーチ営業など。
営業時間外での料理教室という手もあるでしょう。ただこれはあまり割りがよくないと聞こえてくることもあるようです。
ただし、これらの種類の営業も店内で料理を作る、店と同じ内容の料理を持ち帰り、お届けなどで提供するという部分では通常の調理とイートイン商売とは大きく変わりません。そしてそれには限界があります。個人店では作り手が一人ないし数人ということが限界として立ちはだかるでしょう。厨房のキャパシティというものも自ず決まっているでしょう。

ではそういうやり方以外では何があるのか。たとえば自店ではないフィールドで自店とは別の内容ということで、企業とのコラボレーションというのもあります。レストランプロデュースやアドバイス、協業で大きくしていった事例もあります。

加工食品という線もありますね。
カレーならレトルト開発、冷凍販売など。サイドメニューや調味料などで自店でオリジナルレシピを持っていればそれの製品化など。
店にファンが付いていれば服飾雑貨やウェアそのもの、オリジナルデザインのTシャツの販売などもあるでしょう。ただ、ここらへんは本業から遠すぎてあまり足しにはならないのが現状ではないでしょうか。

比較的可能性が高いのは調味料などは強いのではないかと感じます。
中食、内食需要の高まりもあって、購入、持ち帰りのできる辛味調味料、ドレッシング、スイーツ等、可能性は大きいと思います。お店の営業で提供しているものだとより商品性が高くなるでしょう。そしてその開発したものの扱いが一番大事だと考える。きちんと周知をして、店の食事とは違う価値観を作ってもいいと思います。何よりもそういうものをやっていることを知ってもらうのと手に取ってもらうことが大事です。

店で出している、カレーではないもう一つの名物。そういうものを育てて、それを持ちかえりや通販に出せるようにする。それだけでも自店の席を使わない営業アイテムとして強いのではないでしょうか。
少なくともこの厳しい経済状況の中、店舗の席数だけの営業では立ち行かないということは認識しなければいけないのだと思います。

この話はどちらかというと、先ほど話が出ていた間借りなどから卒業をしたい第4世代の方々に気にしておいてもらいたいな、という思いで書いてみました。まだまだまとまっていないと思いますが、その都度加筆やまとめ直してまた掲載していきたいな、と思っています。


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