堂本剛&堂本光一が育んできたKinKi Kidsの世界像 信頼関係から生まれた合作曲の歴史を振り返る

 その次の合作曲となった8thアルバム『H album -H・A・N・D-』収録曲「恋涙」も、光一の言葉の通りメロディが非常に美しい楽曲だ。光一が作った可憐なメロディに、女性目線で書かれた剛の詩が合わさり、唯一無二の世界像が広がっている。続く10thアルバム『φ』収録曲「銀色 暗号」も然りだ。イントロのストリングスが壮大に広がり、軽快にリズムを刻むドラムとパーカッションが加わることで曲の物語の奥行きが深くなっていく。剛が書くある種難解な詞も雰囲気を濃くしている大きな要素の一つだろう。

 その後は『好きになってく 愛してく/KinKiのやる気まんまんソング』以来のA面合作曲となった30thシングル表題曲「Family 〜ひとつになること」や、20周年の節目の曲となった39thシングル収録曲「Topaz Love」と合作曲を発表していくことで、KinKi Kidsというアーティストの世界像を世の中に定着させていったのである。

 『関ジャム』での特集にて、作詞で意識していることを問われた剛が「2人のときは共感が得られるようなものを書く。光一くんが何かを書く時に女性詞って少ないかもな、あんまり書かないかもしれないと思って、あえて女性詞を書いてみたりとか」と答え、光一は作曲をする時に「剛くんにこのメロディを歌ってほしいなって想像しながら作ってると思う」と語っていたことを思い出す。2人がKinKi Kids名義で曲を作る時は、お互いのことを考えながら制作しているというわけだ。

 彼らが手掛けた楽曲は、KinKi Kidsの27年にもおよぶ歴史の一部であり、堂本剛、光一というフィルターを通して見た相手の姿が盛り込まれている作品だ。2人が制作した楽曲を注意深く聴くことで、KinKi Kidsというスーパーデュオのことがより深く見えてくるのかもしれない。

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