2019/04/04
関東の秘境駅『いすみ鉄道』はスマホの電波が届く? 乗り鉄アイドル伊藤桃が調べてきた
鉄道ファンや旅行好きのあいだで静かなブームになっている「秘境駅」。「いすみ鉄道」は房総半島という東京から比較的近い場所にもかかわらず秘境駅が多く、その美しい風景にファンが多い路線だ。
さて、秘境駅が静かなブームと聞いてTIME & SPACEとして気になるのは、「auのスマホはちゃんとつながるのだろうか?」。秘境駅を訪れたら、やっぱりその場ですぐにSNSや友だちに写真を送りたいところ。
そこで今回は、JR全線完乗を制覇し、秘境駅の酸いも甘いも知り尽くしたガチ系乗り鉄アイドル・伊藤桃ちゃんに旅のナビゲーションをしてもらいつつ、秘境駅でもきちんとauの電波がつながるかどうかを調査してきた。
auの実力やいかに!?
「いすみ鉄道に乗るのは久しぶりなので楽しみにしていました! のどかで郷愁を誘う雰囲気が大好きなんです。今日はアガるポイントを徹底的にリサーチしてきたので、私のナビについてきてくださいね!」
いすみ鉄道とは?
いすみ鉄道は、千葉県・房総半島のいすみ市と大多喜町を走り、大原駅から上総中野駅までの14駅区間を結ぶ全長26.8kmの私鉄だ。
「もともと、国鉄木原線だった路線を第三セクター化したのがいすみ鉄道なんです。オレンジとクリーム色の車体は国鉄時代の車両『キハ28』で、全国で唯一現役で走っているディーゼル気動車なんです。日曜日には、列車に乗りながら地元で獲れた伊勢海老を使った食事が楽しめる『レストランキハ』として運行をしているんですよ!」
今回は伊藤桃ちゃんおすすめの「大原駅」「新田野駅(にったのえき)」「デンタルサポート大多喜駅(デンタルサポートおおたきえき)」「東総元駅(ひがしふさもとえき)」「三育学院大学久我原駅(さんいくがくいんだいがくくがはらえき)」5駅を訪ねてみました。
アットホーム感漂ういすみ鉄道の玄関口「大原駅」
旅のスタートは「大原駅」から。
ここはいすみ鉄道の始発駅で、JR外房線大原駅と隣接している。外側から見ると駅舎の入口は2つあるが、入口に列車型の自動販売機があるほうがいすみ鉄道だ。
列車の形の自動販売機……。よーく近づいてみると…
旧国鉄の車両「キハ52」だった。こんなところまで凝っている!
いすみ市の中心街にある大原駅。1kmほどのところに「大原漁港」があるため、なんとなく潮の香りが漂う。
「平日に運行している『いすみ350型』は、地元の大事な交通手段として使われています」
しばし待っていると、お待ちかねの「いすみ350型」到着! すかさず、最新モデルのスマホ「Xperia XZ3」を構える桃ちゃん。
「列車がホームに入ってきました。急ぎましょう、もう待ちきれない!」
……桃ちゃんは乗り鉄と聞いていたのですが、激写が止まりません。
「サボ(行き先を表示するプレート)が車体に入っているのは少なくないけど、アニメ調のイラストが入っているのは珍しいんです!」
「車止めの×マークは始発や終点を想起させるので、旅のロマンを感じられてワクワクしますよね」
「よく見ると、財政難のいすみ鉄道の助けにと、枕木オーナーになった人の名前が入っているんです。こうしてたくさんの人に支えられて運営されているんですよね」
さすがは全国制覇をしたガチ系乗り鉄アイドル。同行している編集部員がまったく気づかないポイントを次々と発見してテンションを上げてます。
菜の花と桜の名所「新田野駅」
列車は大原駅を出発。18分乗車し、3駅先の新田野駅へ。詫び感漂うも色合いがポップな看板には「につたの」と書いてあるが、正しい読みは「にったの」。2015年の調査では、乗車数はなんと1日14人(降車客は含まず)。
「いすみ鉄道はよくカーブが登場するんですけど、新田野駅周辺は直線が続くので車内からの眺めは最高なんですよ」
無人駅で木造の駅舎からは、ただただのどかな田園風景が広がり、周囲が静かすぎるせいか、鳥の声がやたら大きく聞こえてくる。それにしてもヒヨドリの鳴き声が大きい!
線路の沿道に菜の花が咲いていて、春を感じさせてくれる。桜が咲くこれからの季節には、「鉄道」「桜」「菜の花」のフルコンボを撮影しにくる鉄道ファンがたくさん訪れる名所としても知られている。いすみ鉄道が人気の理由は、この素朴で美しい風景にあるのだ。
ほら、こんな環境でも手元のスマホにはしっかり電波が届いてる!
「なにもないような環境だからこそ、スマホを使って情報を集めて、気の向くまま面白そうなところに行くのが秘境駅の醍醐味ですよね!」
空しか映らない踏切「第二五之町踏切(だいにごのまちふみきり)」まで散歩
せっかくなので周囲を散策。「風そよぐ谷 国吉駅」と「上総中川駅」のあいだにある「第二五之町踏切(だいにごのまちふみきり)」。通称「空しか映らない踏切」として知られる有名な撮影スポットだ。警報機も遮断機もなく、ご覧のように本当に「空しか映らない」。
周囲は田んぼだらけ。小高くなっているところが線路です。
「周囲に木や建物がなく、気道車は架線もないのでどこから撮っても『空しか見えない』んですね。今日は天気もいいし、こういう美しい写真が撮れたら確実に『映え』ますよね‼」
ごくありふれた踏切にも見えますが、引いてみるとたしかに空に浮んでいるみたい。広い空をバックに「空気がおいしい〜!」と背伸び。春はこうして菜の花が咲く風景を楽しめるが、夏場の夜は空いっぱいに輝く天の川が美しいのだとか。星空を背負ったいすみ鉄道は、さぞかしロマンチックだろう。
「さっそく撮った写真を友達に送信しました。踏切と美しい景色以外は何もないところでもちゃんと電波が届いていましたよ。友達からもすぐ反応が来てうれしいです」
千葉県屈指の鉄道天国
続いて向かったのは「空しか写らない踏切」からさらに徒歩で約30分のところにある「ポッポの丘」。「ファームリゾート鶏卵牧場」が運営している私設鉄道博物館だ。
「元養鶏場を整備して、鉄道博物館を作りました。きっかけは社会貢献のために、いすみ鉄道の旧車を引き取ったのがはじまり。今は、いすみ鉄道だけでなく、銚子電鉄や久留里線、千葉市モノレールなど、千葉県に関わる車両はほぼ網羅しています。そのほかにも、北陸鉄道石川線、万葉線、地下鉄丸の内線、ディーゼル機関車など、珍しいものも展示しています」と代表の村石愛二さん。
広大な敷地にはたくさんの電車があり、一部は車中に入れるようになっている。
「わっ、わっ、わっ!『DE10-30』に『日本海』が連結されてるっ!カッコイイ〜。あっちには大山観光電鉄のケーブルカーも!色んな種類があるんですね。すごいな、もう…。ちょっといいですか」
そして、しばし園内の列車の写真を撮りまくる桃ちゃん。
丘の上から眼下にずらりと並ぶ車両を眺めながら、村石さんと桃ちゃんは鉄道の話に花が咲く。
「コレ、『日本海』じゃないですか〜!」
「24系客車『オロネ24-2(A寝台車)』と『オハネフ24-2(B寝台車)』ね。青森から引っ張ってきたんだよ。これを北海道で活躍していたディーゼル機関車『DE10-30』に連結させているんだ」
「たしか、『日本海』のほかに『あけぼの』としても運行してた」
「そうそう。『日本海』以前は『あかつき』、『彗星』、『はやぶさ』、『富士』、『出雲』『ゆうづる』、『出羽』、『銀河』などでも活躍したよね」
「たくさん走った車両なんですね。ますます愛着がわきました」
下の写真は、右からクハ111−1072、クハ111-2152、クハ183-21、クハ183-1527。どれも貴重なものばかり。40代以上なら、鉄道ファンじゃなくてもどれも見覚えがあるだろう。
入園料は無料だが、一部の車両は有料で中に入れるほか、運転体験が可能。というわけで、桃ちゃんは地下鉄丸ノ内線車両に乗り、警笛体験に挑戦。嬉しすぎてはしゃいでます!
「昔の丸ノ内線、写真では見たことありましたけど、中に入ったのははじめて。通風口とか窓の形とかレトロ感がありますね」
園内にある併設する「カフェT.K.G」では新鮮な「庭先たまご」のたまごかけごはんが食べられたり、鉄道グッズの売店もある。これらの収益が施設存続のために必要なのだ。館内の各所に募金箱も設置されているので来園の際はぜひ“ご協力”を。
「ポッポの丘はずっと来てみたかったところなので、夢が叶ってうれしいです。特に『日本海』(村石さんと撮った写真の2両目/24系客車オロネ24-2)は妹と2人で旅をした初めての鉄道だったんですよ! これだけの車両を維持するには費用がかなりかかると思いますが、惜しげもなく一般開放しているのは本当に驚きですね」と感無量の様子。
「日本海の写真をさっそく送っちゃいます!」と妹さんに「日本海」の写真を送信する桃ちゃん。電波が届いているからこそ興奮もすぐ伝えられるのです。
城下町の面影を残す「大多喜駅」
上総中川駅に戻り、再びいすみ鉄道に乗車。ひとつ先の「デンタルサポート 大多喜駅」に到着。ちなみに、「デンタルサポート」はネーミングライツ※により命名されたもの。
※企業名などを、施設の名称にする権利のこと
駅からもその姿を望む大多喜城は、徳川四天王のひとり、本多忠勝が入城していたそう。本多忠勝の手腕により発展した城下町は、駅前から続く商店街に変わり、商家造りの店舗など今でもその面影を残している。
「お城を模した駅舎がいいですよね。少し離れたところに大手門もあるんですよ」
いすみ鉄道は1時間に1本程度しか走っていないので、長い待ち時間はまさにサバイバル。この街は駅前に店がいくつかあるので食事をするチャンス。そこで桃ちゃんがナビゲートしてくれたのは、大多喜駅から徒歩5分の場所にある和食店「発酵和食 蔵精(くらしょう)」。
カウンター10席だけのこぢんまりした店内だが、マクロビオティックからヒントを得て、自然栽培、天然麹菌で作られた味噌、醤油、酢を使い、地元産の無農薬野菜や米を使ったメニューを提供している。
「大多喜駅についてからスマホで探したお店なんですけど、すごくおいしそうですよ」
桃ちゃんがオーダーしたのは「春御膳コース」。先附け、前菜、温菜、揚げ物、小鉢、食事、有機栽培番茶、甘味が提供され、地元の名産たけのこや原木椎茸、釜揚げひじきなど山海の幸が揃う。どの料理も箸をつけるたびに「おいしい!」を連発。
「ホラ、やっぱり私は旅先でアタリを引くのが上手いんです。ランチはいつも現地に着いてからスマホで調べることが多いんです(笑)」
食後の甘味は「甲州百目柿の粕漬けと醍醐豆腐」。素材を生かした上品な甘さに感動しつつ、「お酒にも合いそう!」と大満足。
「旅先で地物を楽しめるのは何より贅沢!美しい自然の中で育ったたくさんのおいしいものを堪能できました。もう少しまったりしたいけど、そろそろ列車が来ますから急ぎましょう!」
大工王が作った運試しができる「東総元駅」
再び「大多喜駅」に戻って、2駅先の「東総元駅」へ。2008年11月にテレビ東京の番組『チャンピオンズ 〜達人のワザが世界を救う〜』で「大工王」に輝いた谷和雄さんがリフォームした駅舎は、ほかとはひと味違う。
駅舎の形は開運を願い、おみくじが入っている六角の筒のような形をしている。柱の1本は、釘を使わず3つの異なる木を釘を使わず組み立てるなど、建物の随所に匠の技が施されている。
作者の谷さんが「開運を願う」という思いを込め駅舎の中には本物の回転式木製おみくじも設置。「大吉」を引いて喜ぶ桃ちゃん。
「1937年に設置された駅です。番組の企画とはいえ窓が桜の形になっていたり、掲示板のところにも桜が咲いていたりして、幸せオーラがいっぱいの駅舎にリフォームされました。受験シーズンになると学生がたくさん合格祈願にくるようですよ。私も『今日の撮影が無事に終わりますように』ってお祈りしておきました」
駅舎の先は「谷」になっている路線ナンバー1の秘境駅
東総元駅からひとつ先の「三育学院大学久我原駅」は「デンタルサポート大多喜駅」と同様、ネーミングライツにより命名されている。駅舎の先は崖のため、線路以外は人が通行できないという正真正銘の秘境駅で、マニアのあいだでも有名な場所だ。
「荒野の中にポツンとある駅舎がまさに秘境というシチュエーション。夏になると雑草が茂ってますますジャングルのようになっていくんですよ(笑)。駅名に入っている『三育学院大学』が近くにあるんですけど、学生たちはバスで通っているそうです……悲しい」
いすみ鉄道には各駅に思い出ノートが置いてあり、訪れた人たちのメッセージが残されている。
「次の列車を待つあいだ、私もよく思い出ノートに書きますよ。ものすごい秘境駅だと7時間待ちなんてこともあるので、約1時間に1本ペースで来るいすみ鉄道はいいほうです(笑)」
桃ちゃんも記入した思い出がこちら。「久我原駅」に行く際は、ぜひ思い出ノートを見るのをお忘れなく。
さて、秘境駅的に“聖地巡礼”ということで、当然Twitterに写真を投稿したいところ。おぉ、聖地でもauの電波はバッチリ入ってます。
ちょっと農園へ寄り道。旬のイチゴ狩りに挑戦
旅の最後は、久我原駅から徒歩で約20分の「高梨農園」へ。
こちらでは1月中旬〜5月下旬まで、「イチゴ狩り30分食べ放題」が開催されている。600坪の農園では4種のイチゴを栽培していて、食べ放題では「紅ほっぺ」と「かおり野」、お土産用は前出の2種のほか「やよいひめ」、「おいCベリー」が用意されている。
「房総にはイチゴ狩りができるところがたくさんありますよね!温暖な気候ですくすく育ったイチゴは甘くてジューシーだから、旬の時期に来てみたかったんです。いっぱい食べてビタミン補給しちゃいます」
売店では、お土産用のイチゴのほかに、ジャムなどの加工品やお米も揃っている。これで今日のお土産もバッチリ。
いすみ鉄道秘境駅の旅は終了。auの電波の実力は……?
これにていすみ鉄道の旅は終了。総距離約20kmの小さな旅でしたが、秘境駅はもちろん、その歴史、沿線の美しい自然とその景色、そしておいしい食を堪能した充実の1日でした! さすがガチ系乗り鉄アイドルによるナビゲーションに抜かりはありませんでした。
「いすみ鉄道は都心から近いので、日帰りで気軽に秘境駅めぐりが楽しめるのが魅力ですよね。スマホやカメラで撮影したくなるポイントも多いですし、『ポッポの丘』とか『高梨農園』といった家族で楽しめるポイントも揃っているので、鉄道ファンじゃない人もぜひ乗りに来てください。絶対おすすめです!」
では最後に質問。auの電波はどうでしたか?
「秘境駅って、なにがあるかわからなくて不安な人も多いと思うんですけど、わからないからこそいろいろ探検して見つける楽しさがあると思うんです。駅に降り立ったとき、頼りになるのはスマホ。電波がつながっていれば散策の幅が広がりますよね。今回、auさんの電波はどこの駅でもしっかりとつながっていましたので安心して秘境駅めぐりを楽しむことができました」
ということで100点満点をいただいた今回の旅。伊藤桃ちゃんお墨付きの、「auおすすめ秘境駅コース」とさせていただきます。auのスマホを持って、ちょっとひと息つきに小さな旅に出てみませんか?
文:パンチ広沢
撮影:稲田 平
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