1995年1月17日、未曾有の大災害が神戸を襲いました。M7.3の阪神・淡路大震災は、1986年のオープン以来、元町の地で親しまれていたホテルシェレナにも大きな被害を与えました。
長らく再建の目処が立たず、地元の方々、市民の皆様にはご心配、ご不便を掛けましたことを、この場を借りて深くお詫び申し上げます。
あれから13年、ホテルシェレナが新しく生まれ変わろうとしています。
西館はリニューアルし、再びホテルとして、
本館、東館は、新たに高層マンションや福祉施設として活用される予定です。
そこでホテルシェレナの再出発にあたり、耐震構造並びに建物状況調査の資料を公開することといたしました。
ホテルシェレナの耐震構造には全く問題がなく、安心してご利用いただけることを示す資料です。
今後ともホテルシェレナをどうぞ宜しくお願い申し上げます。
ホテルシェレナ西館の調査書類を要約・抜粋しております。付属資料、詳細については「ホテルシェレナ 復興記録」各項目のページをご参照ください。
ホテルシェレナ再調達価格の算定
調査項目 | 実施 | 備考 | |
1 | 立地状況・建物概要調査 | ● | |
2 | 建物劣化診断調査 | ● | |
建物内立入調査 | ● | ||
調査範囲 共用部 | ● | ||
専用部 | ● | ||
その他 | |||
修繕・更新準備費用の算定 | ● | フルスペック(詳細内訳:建築設備各部位) 12 年 | |
簡易(大項目内訳:建築・電気・衛生・空調) 年 | |||
3 | 再調達価格の算定 |
● | |
4 | 建物諸状況(遵法性等)調査 | ● | |
5 | 建物耐震性調査 | ● | |
6 | 地震による予想最大損失率(PML)算定 | ● | |
7 | 地震による営業中断期間(BI)算定 | ||
8 | ポートフォリオPMLの算定 | ||
9 | 建物有害物質調査 | ● | |
10 | 土壌環境調査 | ● | フェーズ1のうち地歴調査とする |
11 | 建物耐用年数の検討 |
算定根拠
PML(Probable Maximum Loss)は、一般的に金融・保険業界で用いられている災害損失の指標である。この指標は当該地域で予想される最大級の地震を対象建物が受けた場合に、被災後の建物を被災以前の状態に復旧するための工事費が、総建替工事費(=再調達価格)に占める割合を示したものである。なお、当指標では隣接する建物の倒壊による影響や、火災や水害等による損害は考慮していない。
PML算出は、建物の耐震性能と敷地周辺のハザード解析結果に基づく。ハザード解析とは、過去に発生した地震および、当該敷地に影響を及ぼす活断層に係わるデータに基づき解析を行ったものである。想定する地震(PME=ProbableMaximum Earthquake)は、50 年間に10%の確率(=再現期間475 年)で起こりうる大きさの地震とし、その地震による地表面加速度を算出した。
ホテルシェレナの予想最大損失率(PML)
ホテルシェレナの予想最大損失率PMLは、PML90(PME)により、
9.7%
と算定される。これは、PMEが1回発生した場合にその建物に生ずる損失の90%信頼値によるもので、BELCA編「不動産投資・取引におけるエンジニアリング・レポート作成に係るガイドライン」におけるPMLの値に相当する。
なお、本算定は設計図書によるものであり、施工状況や阪神大震災による影響は勘案していない。
また、阪神大震災の地震は、PML 算定にあたって想定する地震の再現期間475年を上回る大きな地震であるといわれている。
吹付アスベスト
受領資料、目視による現地巡回調査、およびインタビューの範囲において、ホテルシェレナに吹付材アスベストは確認されていない。
PCB
目視による現地巡回調査、およびインタビューの範囲において、ホテルシェレナにPCBの存在は 確認されていない。
フロンガス等地球環境破壊物質
現状況では使用可能であるが、ハロン1301 消火剤を使用している。
判断材料
航空写真、古地図、国土地理院発行1/25000 地形図、住宅地図等の資料の調査に よる土地利用履歴から、ホテルシェレナに関する汚染可能性の診断を行った。
総合判定
本調査の範囲において、ホテルシェレナに過去の土地利用履歴等に由来する有害物質による土壌汚 染が対象地で発生している可能性は小さく、土壌環境は良好な状態にあると考え られる。