木村花さん出演の「テラスハウス」 元出演者が“やらせ疑惑”について実名告白

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「色々なことが、とにかく悲しい」と話した、ちゃんもも◎(撮影...

  打ち切りが決定した恋愛リアリティー番組「テラスハウス」(フジテレビ系、Netflix配信)の余波がいまだに続いている。

【写真】22歳の若さでこの世を去った木村花さん

 同番組の出演者で女子プロレスラーの木村花さんが22歳の若さで死去したことを受け、インターネット上では匿名の誹謗中傷や同番組の編集方針についての議論のほか、一部報道では、製作者が出演者にストーリーを指示していたという“やらせ疑惑”も浮上している。

 一方、出演者からは「指示されていない」と、報道を否定する声もあがっている。木村さんとともに最新シーズン「テラスハウス TOKYO 2019-2020」に出演中だった新野俊幸さんは、5月27日にツイッターで「#テラハの暴走 『事実』が大事だと思うからコメントするけど、俺は何も指示されてないよ、忖度なしで」とツイートした。また、同じく最新シーズンに出演していた水越愛華さんも同日、インスタグラムで、一部報道について「鵜呑みにしないでほしいです」とコメント。「過去のシーズンの事は分かりませんが、私が実際に体験した事実と異なる内容が多く書かれていて驚いています」と訴えた。

 木村さんの死をきっかけに社会問題にまで発展した“テラハ騒動”の真相とは。2012年に同番組に出演していた「ちゃんもも◎」(出演時の名前は竹内桃子)が取材に応じた。

*  *  *
――亡くなった木村さんと親交はありましたか?

 いえ、お話したこともお会いしたこともありません。この度は、木村花さんがご逝去されたことについて、お悔やみ申し上げます。またご遺族の方々にも深く哀悼の意を表します。彼女がご逝去されたことをネットニュースで知りました。大変驚きましたが、木村さんの気持ちを想像することはできました。

――「想像」というのは?

 テラスハウスではメンバー間のけんかやもめごとが起きた場合、謝罪するなどの、その後のストーリーを必ず放送します。謝罪じゃなくても、「なぜあんなことをしたのか」について語るシーンなどが流されるんです。

――その後のストーリーを番組側が出演者に指示して撮影するのですか?

 ネット上では「やらせ疑惑」が報道されていますが、少なくとも私が出演していた「テラスハウス」にやらせは一切ありませんでした。メンバーも番組を視聴するので、自分の良くないシーンが放送されたら「挽回したい」「謝りたい」という気持ちが生まれます。だから、木村さんにも「その後」が必ずあったと思います。それが放送されていれば、彼女に対する視聴者のイメージは180度変わっていた可能性もあります。

――一部報道では、「関係者」や「現役スタッフ」らが製作側の演出や指示があったことを語っています。

 今までの出演者全員が「やらせはない」って知っていると思います。でもそれを声に出すのって結構勇気がいることなんです。私はまだ芸能界にいますが、すでに引退した人も少なくない。そういう人たちは守ってくれる事務所もないので、不愉快だとしても発信することは難しいと思います。

――制作側から「指示」を受けた経験は一度もありませんか?

 あくまでも「テレビ番組」なので、そもそも姿が映っていないと成り立ちません。だからカメラワークについて「この場所で」とかそういう指示を受けたことはあります。でも台本はありませんし、演出としての指示を受けたことは一度もありません。


――木村さんへは「いなくなれ」や「死ね」など度重なる誹謗中傷があったそうです。

 そうしたことがあると、テラハメンバーで助け合うのが常でした。メンバー間で話し合って、「気にしないようにしよう」とか、お互いを慰め合っていました。木村さんの場合はコロナで収録が止まり、それができず、自宅で一人で受け止めてしまったんだと思います。また、本業のプロレスができなかったことも大きいと思います。自分を好きでいてくれるファンと接すると傷ついた心は回復していくものです。彼女はその機会もコロナによって奪われてしまった。

――ちゃんもも◎さんも、出演時に誹謗中傷を受けていましたか?

 めちゃくちゃありました。「バカ」「ブス」といった直球型から、「高校時代は○○だったよな」とか「こういう奴って○○な性格だよな」などの決めつけ型まで。もちろんショックを受けましたが、仲間とファンの存在が気持ちを和らげてくれました。それに、当時は「とにかく有名になりたい」という一心だったので、純粋に自分を見てくれていることがうれしかったという気持ちもありました。

――フジテレビは5月27日、「テラスハウス」の放送を打ち切ることを発表しました。いまの率直なお気持ちを教えてください。

 私はいまでも番組を愛しているので、とても残念です。打ち切りは仕方がないことかもしれませんが、その原因について、これから議論を続けていかなければならないと思います。「番組の製作手法が誹謗中傷を助長した」という意見もありますが、私はそうは思いません。むしろ、スタジオメンバーのYOUさんや山里亮太さんの存在が、人間のリアルな感情や愚かさを、愛嬌のある「笑い」に変換していたと思います。出演者が視聴者から本気で恨まれないように。木村さんの「その後」を収録した回が見たかった。そして、それをYOUさんや山里さんが、「笑い」に変える場面を見たかったです。

(AERA dot.編集部)

◆ちゃんもも◎
1991年6月生まれ、神奈川県出身。タレント、作家、歌手。2012年、「テラスハウス」に作家志望の竹内桃子として出演。アイドルグループ「バンドじゃないもん!MAXXNAKAYOSHI」のメンバー。著書に「刺激を求める脳」(KADOKAWA)「リスカの数だけ整形~」(ワニブックス)がある。

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