京アニ作品「クラナド アフターストーリー」で描かれた亀石楼の玄関(宇治市宇治)

京アニ作品「クラナド アフターストーリー」で描かれた亀石楼の玄関(宇治市宇治)

アニメに登場する客室「天ケ瀬」

アニメに登場する客室「天ケ瀬」

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛で苦境に陥った創業約130年の観光民宿「亀石楼」(京都府宇治市宇治)が、インターネットで運営資金を募るクラウドファンディング(CF)に取り組んでいる。宿は京都アニメーション(同市)の作品に登場する「聖地」として多くのアニメファンが訪れており、CFには国内外のファンから支援が寄せられている。

 アニメは2008~09年にテレビ放送された「クラナド アフターストーリー」。元不良少年の主人公が幼い娘を連れて旅に出るエピソードがあり、亀石楼がモデルとみられる旅館に宿泊する様子が描かれた。
 経営者の長男の金丸公大さん(25)によると、放送後から主人公が泊まった客室「天ケ瀬」を指名して予約するファンが相次いだことで、宿が「聖地」になっていることを知ったという。金丸さんは「実際の館内と全く同じように描かれていて感動した」と話す。
 宇治市内を舞台にした京アニ作品「響け!ユーフォニアム」の聖地に近いこともあり、最近まで月に数件はファンからの予約が入っていたという。しかし、新型コロナの影響で今年3月以降キャンセルが相次ぎ、昨年は花見客で満室だった4月には、ほぼ予約がなくなった。5月以降は予約受け付けを中止した。
 廃業も考えたが、金丸さんが知人を介して京アニファンに相談したところ「聖地が無くなってしまうのは惜しい」との声があり、CFで資金を募ることに。目標額は300万円で、当面の運営資金に充てるほか、イベント開催など、アニメファンに還元できる企画を考えたいという。
 5千円以上の支援者にはアニメで描かれた客室で写真を撮影する権利や特製タオルを贈る。1万5千円以上では宿泊券もセットする。
 20日現在で100万円超が集まった。CFのページには「放送当時の雰囲気そのままで、クラナドの世界に浸ることができました。また必ず泊まりに行きたいです」といった応援メッセージが多数寄せられている。
 金丸さんは「涙が出る思い。ファンを大事にしてこれからも頑張っていきたいので、コロナ収束後にはぜひ訪れてほしい」と話している。
 CFサイトは「キャンプファイヤー」(https://camp-fire.jp/projects/view/264780)。6月10日まで。