マスクの日本の生産量とか中国などからの輸入量について - 電脳塵芥
って記事の4月版。この記事を書いた後でも
菅義偉官房長官は20日の記者会見で、政府が配布している布マスクについて、18日時点で13都道府県において約1450万枚の配布が完了したことを明らかにした。その上で、「(布マスクが)東京などに届き始めてから、店頭での品薄状況も徐々に改善され、価格も反転したので非常に効果があった」と強調した。 布マスク、1450万枚配布完了 菅官房長官:時事ドットコム
という様に全世帯配布マスクの影響によって店頭での品薄状況も改善されたという政府見解がありますが、とりあえずじゃあ4月の不織布マスクの輸入量はどうだったのか。データはおなじみ貿易統計のe-statから。
■4月の不織布マスク等繊維製製品輸入量
1月 1万5157トン
2月 4732トン
3月 8697トン
4月 2万5873トン
上記すべてが不織布マスクではありませんが、4月の輸入量はおよそ2万5873トン。3月の輸入量の3倍近くの輸入量となっています。なお、そのうち中国からの輸入量は2万3906トンとなり、中国からの輸入量は圧倒的です。輸入量2位のベトナムが1048トンほどなので、その差は歴然です。ちなみに中国からの輸入量推移は以下の通り。
グラフを見れば一目瞭然ですが中国からの輸入量は4月で大幅増加しています。価格もそれに伴い大幅上昇してはいるものの、マスク不足の解消は輸入量の大幅増加である事は揺るぎはないでしょう。2019年の中国からの輸入量は10万8724トン。となると4月だけで通常年の3か月分くらいの輸入があった事になります。不織布マスク以外も含む2019年のマスク輸入量は約50億枚。2019年全体で不織布マスクの輸入量の8割ほどは中国からというのを鑑みれば、何億枚かまでは分かりませんがこの輸入量が相当な量である事は想像に難くありません。輸入単価は増加している為にこれ直結でマスクが値崩れしたとまでは言えませんが、輸入量増加で供給過剰に陥って値下がりが起こってもおかしくない量の増加と捉えても過ちではないでしょう。国内生産体制も整ってきていますし。
全世帯布マスク配布の効果はあったとしても微々たるものであろうで、それを喧伝するようになったらデータに基づいて政策をしているのではなく、ただ単に失敗を認めない類の政府運営ではないのかなと。因果と相関関係の過誤。