そこそこの放送作家・堀田 延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこの映画のブログ。
人生そこそこでいいじゃない





新型コロナウイルスで世界が大変な中、パンデミック映画を鑑賞。
2011年のこちら、「コンテイジョン」は、スティーブン・ソダーバーグ監督作。
ソダーバーグと言えば「セックスと嘘とビデオテープ」で」「エリン・ブロコビッチ」で、「オーシャンズ11」だ。
果たしてその出来は?

うーん、星2つ。★★
この新型コロナウイルスのタイミングで見てしまったからなのか、なんだか物足りない。
現実が虚構を越えちゃっているのか、映画の中のパンデミックがどうも白々しくて、リアルに感じないのだ。
この低評価は、この時期にこの映画を観たからかもしれないが、それを度外視しても映画としてどうだろうという点は割と多い。
グランドホテル形式で、いろんな人物ドラマを描いているのだけど、ひとつひとつが説明不足というか、淡々としすぎに感じる。
なので、誰が死のうが、誰が生き残ろうが、誰が逮捕され、誰が功績を残そうが、どこにも感情移入出来ず、カタルシスも皆無。
見終わって、「で、結局なんだったんだこの話?」と思ってしまう。
うん、スティーブン・ソダーバーグって、若いころド天才だった人で、「トラフィック」でアカデミー監督賞獲ったころが絶頂で、そのあと「オーシャンズ11」からおかしくなっちゃって、大スターをゴロゴロたくさん集めて何とかする、みたいな映画作りばかりして、ダメになっちゃったよね。
この映画も、マット・デイモンにグウィネス・バルトロウ、ジュード・ロウにケイト・ウインスレット、ローレンス・フィッシュバーンにマリオン・コティヤールって、すげーメンツを揃えていて、一場面一場面のピカピカ度は凄く高いのに、映画全体はスゲー地味なのよ。

まぁ、観なくても良いかな。
これだったらやはりダスティン・ホフマンの「アウトブレイク」の方がパンデミック映画としてはエンタメを突き詰めている分、面白い。

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低予算ホラーで大ヒットし、続編も作られ、昨年話題になっていたこちら。
Amazonプライムで観られるようになっていたので、連続観賞。
その感想。

これはね、星3つ半。★★★1/2
かなりの傑作です。
パート1もパート2も素晴らしい。

主人公は女子学生。
平たくいっちゃえば、ヤリマン。
ある朝、見知らぬ男のベッドで起き、その夜、謎の仮面の人物に殺され、殺された瞬間、その同じ日の朝、また同じ見知らぬ男のベッドで目覚める。
そして、またその夜殺されては目覚め、殺されては目覚め、、殺される同じ日を延々繰り返すタイムリープもの。
前回の記憶を頼りに、どれだけ逃げても殺されてしまう。
犯人を捜そうとするが、なかなか絞りきれない。
果たしてどうなるのか?
……という、このワンアイディアの中で物語を膨らましていった結果、素晴らしい快作になった。
思わずニヤニヤしてしまうような心理描写や、B級ホラーっぽいいかにも名主人公、周りの怪しい登場人物が出てきて楽しい「パート1」。
そして、この1作目の大ヒットですぐに製作されたパート2がこれまた「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」以来久々の「おおっ(感嘆)」という声を上げちゃうような素晴らしい出来になっていて(後半ムチャクチャだけど)、こちらも素晴らしい快作。
1と2、どちらも素晴らしい、傑作B級ホラー。
いや。、素晴らしいには語弊があるか。
所詮B級ホラーなので、ところどころムチャクチャだし、お安いんだけど、メッチャ面白いんすわ。
ホラーと言っても、スプラッターではないので血みどろではないし、ビックリ脅かし映画でもないので、さほど怖くない。
Amazonプライムに入っている人はただで観られるんで、この機会にどうでっしゃろ?

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DC映画の最新作、見てきた。
マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインが主役。
その感想。

これはね、普通に楽しめる快作。
星2つ半。★★1/2
ハーレイ・クイン、前作以上に可愛い。

全世界的なフェミニズムの流れがガッツリ現れていて、この映画、とにかく女が強い。
とにかく、強い女が、強い女同士で力を合わせ、バカな男たちをバッタバッタ倒していく。
そして、男社会というか、男の束縛から解放される。
原題の「and the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn」は直訳すると「そして、ハーレイクインのすばらしい解放」。
つまり、そういうこと。
フェミ映画っす。
しかも爽快。
まぁ男なんてね、このぐらいバッタバッタ倒されていくぐらいでいいのよ。
悪役はユアン・マクレガーが演じているブラックマスクなんだけど、こいつがエグいセクハラをする場面が出てくる。
それがもう、ただただ、ただのセクハラなの。
狂人殺人鬼がセクハラしてから〜の殺人、なのかなと思ってたら、殺さずにただのセクハラなの。
胸くそ悪くなるよ。
まぁそれが狙いなんだけど。
胸くそ悪いセクハラをするブラックマスクという旧態依然とした男社会の権化みたいな悪役が、女たちにやられちゃうっていうわかりやすいお話。
サイコー。
若い女の子は映画館に観に行って、キャッキャするといいかな。
今、映画館がめっちゃ空いてるから、オススメっす!

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3.11の映画はたくさんあるようで、「Fukushima50」より前に作られていたこの映画は、官邸を中心に3.11を描いているという。
ストリーミングで観られるところはなさそうだったので、DVDを購入して鑑賞。
その感想。

おいおい、もう少しどまんなかの中道で作られた3.11映画はないのかよ?笑
こっちはこっちでいろいろ問題が多い映画だった。
「Fukushima50」は完全に右寄りで、当時の菅直人首相を叩き、東電の責任をうやむやにすることを目的にしていたが、こちら「太陽の蓋」は、逆に当時の民主党政権を持ち上げ、原発反対の主張を非常に強く打ち出した左寄り映画。
菅直人周りの描き方は史実に近いので納得だが、後半余りにも原発叩きの主張が出過ぎていて、少し引いた。
ただ「Fukushima50」が福島第一原発内で作業していた東電の従業員をとにかく主軸に据え、東電本店と官邸しか描いていないのに対し、こちらの映画は避難を余儀なくされていく福島県民の姿を厚く描いていく分、感情移入はしやすかった。
映画としては冗長な部分や、思わず首をひねる安い演出などもあるので、「Fukushima50」とどっこいどっこい。
星は2つ。★★

「Fukushima50「にしても「太陽の蓋」にしても、日本映画ってしょぼいよねぇ。
いつかもう少しまともな3.11映画が作られる日はくるのかな?

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今年の日本アカデミー賞は意外な結果に。
作品賞を獲ったこの「新聞記者」が、リバイバル上映中だ。
ハリウッドや韓国と違い、時の政権を揶揄するような作品はまず日本では作られない。
映画会社は忖度し、芸能事務所も忖度し、日本の女優は全員この企画を断った。
だから主演女優は韓国のシム・ウンギョン。
出演を決めた松阪桃李は男気溢れるのかなんなのか分からないが素晴らしい。
結果、日本映画界ではなかなか作られない、「エンタメなのに政権批判」という映画が出来上がった(ドキュメンタリー映画では政権批判目線のものも珍しくはない)。
そして、映画業界で働くアカデミー会員たちの匿名投票で決まる日本アカデミー賞で、作品賞、主演男優賞、主演女優賞を受賞。
つまり、映画関係者はみんな、本音ではこのような映画にチャレンジしたいのだ。
だって映画を始めとする芸術には、元来政治的な意味が含まれる。
政権批判のメッセージ性の大きい映画をなぜ作っちゃダメなのか?
なぜ自由主義のはずの日本で、そんな不自由を強いられているのか?
みんな忸怩たる思いがあるのだ。
その結果が今回の日本アカデミー賞の結果に表れていると僕は見る。

この映画、正直言って映画としてはかなり問題点が多い。
とくに本田翼が出てくるパートは観ていられないほど酷い(彼女自身は悪くない。仕事としてやっているだけだもの)。
シム・ウンギョンは、日韓ハーフでアメリカ帰りの帰国子女という設定で、たどたどしい日本語を喋る新聞記者なのだが、この設定自体が(日本の女優たちに軒並み出演拒否されたから作られたから)そもそもムチャクチャで、物語の進行に影を落とす。
こんな奴ぁいねぇよ、だし、この会話能力で新聞記者(しかも政治部)で働けるわけないだろ、と思わずツッコまざるを得ない。
そういう映画のリアリティのライン確保が、ほかにもいろいろ微妙すぎて、どうしてもまともに観ていられない観客は出てくるだろう。
だから映画としては「え?」とか「は?」とか思う瞬間が結構あり、ひどいっちゃあひどいのだが、この8年間続く、安倍晋三という大ウソつきがお友だちだけを優遇し、公文書を改ざんさせ、悪政の限りを尽くし、マスコミに圧力をかけ言論封殺を図ってきた中、この映画を作った意義に星3つだ。★★★
しかし、このぐらいのものを作れない日本ってそもそもどうなのかって話である。
「バイス」みたいな映画「アソー」とか、メッチャ面白くなるだろ。
なのに作られた映画が「Fukushima50」なのだから、日本はつくづくこの8年間でひどいことになったもんだと暗澹たる気持ちになる。

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レネー・ゼルウィガーがアカデミー最優秀主演女優賞を獲った本作。
作品賞にはノミネートされていなかったので、映画としてはイマイチなのだろう、と予想しつつ映画館へ。
その感想。

確かに映画としては微妙。
出来の悪い「ボヘミアン・ラプソディ」という感じ。
ただしレネー・ゼルウィガーは凄い。
本当に歌っているのだが、その歌含め演技が凄い。
だから星2つ半。★★1/2
映画の最中いろいろモヤモヤするが、レネーを見に来たのだと思えば許せる。
そんな感じの映画。

そもそも、ジュディ・ガーランドに関して知識がないと、相当敷居の高い映画だろうと思う。
僕は事前にWikipediaでざっとジュディ・ガーランドについて読んでから観たのでまだ良かった。
だが日本人の多くは、彼女が「オズの魔法使い」に出ていた少女スター、という知識で終わってると思う。
その主題歌「オーバー・ザ・レインボウ」は有名だが、彼女に対してそれ以上知らないだろう。
なので、もし映画を観に行くなら、先に知識を入れたほうがいい。
別にネタバレにもなんにもならない。
例えば……
・少女のころにデビューしたが、少女趣味の映画会社社長からのセクハラを受けていた
・映画会社にダイエットを命じられ覚醒剤を飲まされ中毒になった(当時覚醒剤は合法的なダイエット薬だった)
・覚醒剤中毒に加え、睡眠薬の服用やアルコール中毒、自殺未遂などがあり、映画撮影をすっぽかすなど悪行が続き、ハリウッドを干された
・再起を賭けた映画「スタア誕生」主演で、アカデミー賞確実と言われつつ、ハリウッドの妨害に遭い受賞を逃す
・5度の結婚を繰り返し、中でも最初に産んだ長女はミュージカル女優のライザ・ミネリである。
・LGBTに深い理解があり、差別意識もなく、だから彼女の代表曲「オーバー・ザ・レインボウ」から現在もLGBT運動の象徴は「虹」になっている
このぐらいは知識として押さえた上で観賞したい。
そうすれば、なかなかグダグダな映画の中身もなんとか楽しめるだろう。

歌だけは圧巻です。
ただ「虹の彼方に」はなかなか歌ってくれません。
出し惜しみかよ!w

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はい、出ました。
東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故を描いた大作、「Fukushima50」。
日本映画界の名優たちが一堂に会し、大金をかけて作られた3.11の映画とあって、超楽しみに観てきた。
その感想。

これはね、久々に出たよ、星1つ。★
とんでもない問題だらけの映画。
なぜかというと、余りにもプロパガンダだから。
本当に酷い。
酷いったら酷すぎる。
これで感動する人がいるのも分かるが、騙されてるんだよ。
事実をここまでねじ曲げて、何が「事実に基づく物語」だよ?
観客の思考をある方向にねじ曲げるために作られたプロパガンダが、21世紀の日本で、こんな形で実際に映画館で上映され、少なからぬ観客が感動していることに、軽いショックを受けた。

映画の冒頭、「事実に基づく物語」とテロップが出る。
その直後、大地震が発生。
さらに津波が福島第一原発を襲う。
全電源喪失。
免震棟にいる吉田所長(渡辺謙)、コントロールルームにいる1・2号機当直長の伊崎(佐藤浩市)らが原発事故の収拾に当たる。
さぁ、どうなる、という導入部分は、確かに「事実に基づく」ので、思わず前のめりになる。
美術スタッフの努力により、極めて正確に描かれているという原発内部の地獄のような閉塞感は見事。
しかし、しかしだ。
そのあと総理大臣が登場すると、突然この映画は「事実に基づく」を捨てる。
当時の総理は民主党の菅直人だったが、この映画では「総理」としか呼ばれないし、クレジットされない。
吉田所長は実名なのに、なぜか菅直人は実名ではない。
その実名ではない総理が、事実とは全く違う行動を連発。
その辺の事実詐称がどのように行われているかは、さまざまな論評が出ているのでそちらを見て欲しい。
だが、とにかく言えることは、

この映画は、当時の民主党・菅直人首相を貶めることを意図に作られている
そして、東京電力の責任をうやむやにする意図で作られている


という事実だ。
そんなことをしたがるのは誰か?
8年も経っているのに未だにことあるごとに「悪夢の民主党政権」と言うあの男とその一派ではないのか?
事故の対応が混乱した原因を菅直人に押しつけて得する、東電なのではないか?
そして、原発自体に問題はなかったとしたい、原発村の連中なのではないか?

さらに恐ろしいことにこの映画は、15メートルの津波が福島第一原発をのみ込み、全電源喪失に至った理由を、「自然をなめていた」で締めくくる。
いやいや、待てっつーの。
15メートルの津波が来ることは事故前に予期されており、その高さの防潮堤建設を握りつぶしたのは、吉田所長その人だ。
さらに原発の全電源喪失はあり得ない、と国会で答弁したのは、第一次政権時代の安倍晋三その人だ。
この2人の責任にまったく触れることなく、「自然をなめていた」で締めくくる、そんな事実詐称映画は決して認められない。

これ以外にもいろいろ問題点がある。
アメリカ軍の友だち作戦の描き方は、余りにも親米で、何かの意図を感じざるを得ない。
東電の職人たちは当時、とんでもないバッシングを受けたはずだし、事実、放射能が飛び散った福島では、肩書きを名乗れなかったほどだ。
それなのにこの映画では、福島の避難民が「お前らよく頑張った」などと言って東電職員に感謝を述べる。
いやいや、ウソをつけ、と。
何から何まで、裏側に透けてくる政治的意図が気持ち悪すぎて、見ていて背筋が寒くなるプロパガンダ映画なのだ。

そして、もっとも恐ろしいことは、これを観た観客の大半が、それら事実を知らないため、この映画で描かれたことを真実だと思い込むことだ。
いくら何でもそれはないし、菅直人はこの映画訴えてもいいレベルだと思うし、福島の人たちも訴えていいと思う。
自分たちの責任と不作を隠蔽し、事故の原因、責任を他者に押しつけるプロパガンダ。
こんなものが民主主義国家日本で、普通に上映され、結構な俳優たちが出演してしまっていることに、恐怖を覚える。
東電から、原発村から、どれだけの金が映画に流れ込んだのか?
どこかのジャーナリストがその裏側を暴いてくれないだろうか?
日本、大丈夫か?
3.11を映画化したら、こんなのにしか出来ないのか?

ちなみに、映画としての出来も悪い。
お涙ちょうだいのくさい演出と演技に辟易する。

途中、ダチョウ倶楽部のギャグのような場面が出てきて、僕は映画館で吹き出してしまった。
「僕が行きます!」
「僕が行きます!」
「じゃあ僕が行きます!」
「どうぞどうぞどうぞ」
の流れを、あんなに真面目にやられたら、笑うっつーの。

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名作小説の映画化。
ハリソン・フォード主演。
しかし、大作揃いの映画館で、いかにも地味な公開。
果たしてどんな出来なのか?

これは、星3つ。★★★
十分、映画館で観賞すべき出来。
「Fukushima50」とかいうプロパガンダ映画を観るぐらいなら、こちらをぜひ。
愛すべき小品という感じに出来ている。

賛否が分かれるのはCGで描かれた主人公の犬、バックだろう。
CGで描かれた動物が会話し歌う「ライオンキング」というヘンテコ映画が昨年話題になったが、あっちよりも安っぽいCGで、喋りはしないものの表情豊かに感情を表現するバックを受け入れられるかどうかで映画の感想が大きく変わると思う。
僕は受け入れられた。
ストーリーは陳腐だし、登場人物の造形も典型的過ぎるというか、まぁ使い古されたものだ。
そりゃそうだ、120年前の小説なんだから。
でもその辺に目をつむって、ゴールドラッシュ時代のアメリカに思いを馳せられれば、そんな舞台で語られる一頭の犬の物語は深い感動を呼ぶことだろう。
ハリソン・フォード主演と書いてあるが、出てくるのはほぼ後半だけだし、実質的な主人公は犬である。
バックがどんな人間たちと出会い、何を学び、成長し、そしてどこに帰っていくのかという、この120年前の原作小説が書いた物語は正確に映画化されているので、決して期待せず、犬がCGでしょぼいのも覚悟の上、観に行って欲しい。
オススメ。
動物好きには特に。

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1980年に日本で公開された「地獄の黙示録」。
ゴッドファーザー1と2で二度のアカデミー作品賞を獲ったコッポラが作る戦争映画ということで当時凄く話題になったが、ロケ地のフィリピンで台風でセットが壊れて撮影延期になったり、主役交代騒動があったり、主役俳優が心臓発作で倒れたり、マーロン・ブランドが契約と違って太ってたり、デニス・ホッパーがセリフ全然覚えてなかったり、撮影指揮下が途中で尽きてコッポラが私財投げ打って借金して3回自殺未遂するとか、もういろいろありすぎて、感性までに4年も掛かったという悲惨な映画。
それでもカンヌで最高賞パルムドールを獲得。
未だにベトナム戦争映画の金字塔となっている大傑作。
その「地獄の黙示録」がファイナル・カットとなってIMAXで期間限定上映。
そりぉあ、観るっきゃないというわけで、観てきた。
実に40年ぶりの観賞だ。
その感想。

もうね、圧巻ですよ。
星5つ。★★★★★
とにかく、全編実写で作り上げた映像が素晴らしすぎて、ストーリーの不備とかもうどうでも良くなるレベル。
フィリピン軍に借りた本物の戦闘ヘリで、本物の銃器でバンバン撃ちまくっていて、撮影でもう何人ケガしてるか分からないレベル。
本物のジャングルを本物の火薬で盛大に焼き払っていて、今だったら自然破壊で訴えられるレベル。
凄い、凄すぎる。
それをIMAXの大画面大音響で観れてしまうなんて、もう二度とない機会。
強くオススメする。
ワンカットファンタジー戦争映画「1917」なんかを観るより、こちらを観ろ。

映画としてはそりゃあ問題がある。
前半はメッチャ良いテンポで進んでいくんだけど、中盤のフランス人入植者のくだりなんて丸ごと不要だし、後半マーロン・ブランドが太っててアクションシーンが出来なかったせいで、カーツ大佐の砦のあたりは脚本をコッポラが急遽書き変えたこともあり、グダグダ中のグダグダで哲学的になりすぎて、もうぶっちゃけ、よく分かんないよw
でも、戦争の狂気と本物の地獄を描くという意味で、この映画はある地点まで完全にイッテいる。
それだけで、もう十分すぎる名作なのだ。
必見です。

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元日本人(現アメリカ人)のカズ・ヒロ氏がアカデミー賞でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した本作。
事実を元にした物語。
公開されたので観に行ってきた。
その感想。

これはね、良いですよ。
星は3つ半。★★★1/2
2016年にアメリカで実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動。
アメリカで視聴率ナンバーワンを誇るテレビ局FOXニュースは共和党を全力応援する保守派。
そこの人気キャスターグレッチェン・カールソンが、仕事を与える見返りに性的関係を迫っていた超パワハラセクハラ豚野郎のCEOロジャー・エイルズを提訴。
5000万ドルの賠償金を得たという実話が映画になっている。
グレッチェンの提訴に「私もセクハラを受けた」と援護射撃したメーガン・ケリーという人気キャスターを演じるのはシャーリーズ・セロン。
メーガン・ケリーは当然FOXを追われたが、その後、民主党派のNBCでちゃんとキャスターとしてやっています。
良かった良かった。

この映画、シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの豪華共演が話題だが、凄いのはシャーリーズ・セロンだ。
この女優さんはただ者ではないと前々から思っていたが、今回それが如実に分かった。
素晴らしい迫力です。
もう、スクリーンに彼女が出てきただけで迫力が凄い。
ニコール・キッドマンやマーゴット・ロビーなんて正直霞んでしまうぐらい、シャーリーズ・セロンの迫力が凄い。
もちろんカズ・ヒロ氏の特殊メイクアップも凄いんだけど、それ以上に演技が凄い。
もうね、圧巻です。

残念なのは字幕がイマイチ分かりにくいこと。
字幕翻訳者は松浦美奈氏だけど、最近よく見る彼女だけど字幕そんなに上手かな?
松浦氏は意訳がヘタで観客を少し混乱させる傾向があると、個人的に思います。かといって戸田奈津子みたいなメチャクチャな意訳は望んでないんだけど笑。

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テレビでCMをやっている。
「木村拓哉主演の『マスカレード・ホテル』がAmazonプライムに登場」って。
なるほど、ただだったら観ても良いか、と鑑賞(実際ただではないのだが笑)。
その感想。

これは酷い。
星は1つ。★
今の日本映画の悪いところが凝縮したような映画だった。

原作は東野圭吾。
読んでないけど、まぁこういう内容のミステリーなんだろう。
それをだ、映画にするときに、さぁどんな演出で、どんな脚本で、どんなカメラワークで、どんなセットで、どんな照明で、どんな俳優でって考えるところで完全に失敗してる。
観ていて最初に感じたこと……安っす。
次に思ったこと……テレビか!
次に思ったこと……大根か!
次に思ったこと……つまんな!
つまり、致命的である。
この映画、木村拓哉が主演だという点以外に勝算がひとつでもあったのか?
ないだろう。
その木村拓哉ですら、ダサい演出とダサいカメラワークとダサい照明のせいでスベらされているのだもの。
韓国映画の爪の垢を煎じて飲んだほうがいいだろう。
これは酷い。

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「万引き家族」とカンヌ映画祭でグランプリを争ったという韓国映画。
村上春樹の短篇小説「納屋を焼く」が原作。
気になっていたのだが長らく観られずにいた。
ようやく鑑賞。
その感想。

原作である短篇「納屋を焼く」は非常に良い作品で、たった30ページぐらいの短さで、まだ村上春樹を読んだことない人に入門編としてオススメの1本。
短いながら村上春樹色がふんだんに入っている短篇で、ミステリアスで美しい比喩と暗喩に満ちていて、読む人によっていろいろな解釈が出来る。
その「納屋を焼く」を映画化した本作は、確かに「納屋を焼く」なのだが、その意味合いは短篇小説よりも1歩踏み込んでいると感じたし、最後に驚きの展開も待つ。
で、これが面白いか、良い映画かといわれると首をひねってしまうのも事実。
まず映画として余りにも冗長で退屈だし、結局なんだったのかが小説よりも1歩踏み込んだ分、陳腐な解釈方向にやや寄りすぎているかな、と思う。
星は2つ。★★
こういうインディペンデンス的というか、単館劇場ものというか、芸術性方向に行っちゃってる映画は個人的に苦手なのでこの点数。
カンヌ映画祭では絶賛されたらしいので、刺さる人には刺さるのだろう……僕は全然刺さらなかったが。

ただし、映像はものすごく綺麗。
なんだろうこの映像美は。
日本映画とはなにかが確かに違うクオリティが韓国映画のカメラには宿っている。
日本映画の演出家やカメラマンたちの映像の進化が実はどこかの時代で止まってしまっていて、はるか韓国に後れを取っている部分もあるのではないか?
映像を見るとそういう感想。
風景は似ているのになんだろう、この差は。

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実話をベースとした物語。
「クレイジー・リッチ」のコンスタンス・ウーが主演だが、ジェニファー・ロペスが実質の主演。
ストリッパーたちがウォール街の金持ち相手に仕掛けた犯罪とその行方。
その感想。

これはね、なかなか良い。
星は3つ。★★★
見て損はない佳作って感じ。

ストリッパーたちの物語だが、性的な描写は過激ではない。
女同士のバディなので、女性の観客の方がより感情移入出来るかも知れない。
50歳を越えているとは到底思えないジェニファー・ロペスが、ダンスにポールダンスに凄いスタイルを見せつけまくり、とにかく格好よく、結果、主演のコンスタンス・ウーは完全に飲まれている。
リーマン・ショックで不景気になったニューヨークでストリッパーたちが自営のために犯罪に手を染める実話だが、ダマされる男の方が悪いだろとしか思えず。
映画として問題点をひとつあげるとすると、最後の最後で話の筋が一瞬よく分からなくなる点だと思う。
これは日本語字幕の問題かも知れないので、なんとも言えないが、最後の最後で急に「え?どういうこと?」と戸惑う感じがあった。
見てもらえば分かると思う。
まぁでも見て損はない佳作です。
ジェニファー・ロペス無双を堪能してください。


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惜しくもアカデミー作品賞を逃したサム・メンデス監督の第一次世界大戦もの。
全編(疑似)ワンカットで話題。
どんなものかと品川IMAXで観賞。
その感想。

これは星3つ半。★★★1/2
観ればオスカーを逃したのがよく分かる内容。
撮影賞は獲ったのも当然だけど、作品賞はこりゃ無理だわ。
全編(疑似)ワンカットでオスカーを獲った「バードマン」よりも中身が薄いし、体感映画的なすごさで言えば「ゼロ・グラビティ」の方が上。
正直、面白いし、凄いっちゃあ凄いんだけど、惜しいのよ。
こりゃ「パラサイト」に勝てないなぁという感想です。

以下ネタバレで、この映画の問題点を挙げる。
僕が感じたその問題点を、看過出来るか出来ないかで、この映画の評価は大きく変わると思う。

















この映画、前半はものすごく良い。
ワンカット撮影も大迫力だし、俳優2人の演技もいいし、ロケの臨場感も凄い。
ところが、である。
2人の伝令兵のうち1人が死んでしまうところまでは最高だけど、それ以降、かなり雑じゃないですか?

突然大勢現れる味方の兵隊。
え、こんなに簡単にこの人数ここまで来れるの?
は? …みたいな違和感に始まり、トラックを降りたところからすぐの廃墟で狙撃される主人公。
え、だったらあのトラックの連中も狙撃されてたろ、……とか。
あの燃えていた町でドイツ兵に追われた末に出会う女と赤ちゃん。
あのくだり必要?
大体あんな場所にいてもすぐ見つかるよね?
男しか出て来ない映画に無理矢理女の人出してポリコレ的なバランス取っただけなんじゃないの?……とか。
え、森の中であんなに歌ってた兵隊から少し歩いたらもう最前線?
距離近すぎない?……とか。
いろいろ雑すぎやしないか?
で、しかも肝心のワンカットを途中で一度諦めましたよね?
え、諦めるの?……とか。
で、見終わって思うよね。
たいした話はなかったなぁって。
ストーリーにひねりはほぼない。
序盤で2人のうち1人が死ぬという点だけがひねり。
「1人で伝令するな」というフリとか、「兄貴は顔が似てる」ってフリも未回収。
そもそもドイツ軍が撤退してるのになぜ無人地帯を抜けなきゃならないのか?
伝令は飛行機で飛ばせば良いじゃないか?
あんな大事な伝令をたった2人だけに頼むか?
もっと何組も同時に伝令に出されるんじゃないか?
だから映画のラストは、例えば「すでに別の方法で伝令は伝わっていた」みたいな終わり方もあっただろうに。
とか……
後半、雑すぎません?

これ、ワンカットにこだわったがゆえ、戦場の距離感が全部適当になっていて、ワンカットの分移動の距離が取れてなくて、まるで戦場の箱庭みたいなっていて、リアル感が後半どんどん失われていくっていう致命的な構造矛盾抱えてるのよ。
実際は半日以上かけて移動する距離なのに、映画だから2時間にしなきゃダメで、でもワンカットだから、A地点からB地点、B地点からC地点が余りにも近くて、リアリティが全然なくって、どんどんどんどん醒めてくるのよ。
それなのに、一度気絶するシーンでワンカットを諦めてたりして、おいおい、中途半端だなぁ〜としか思えん。
だったら、ワンカットなんか最初から捨てて、カット割りして良いから、半日間のあの兵士の伝令の行軍模様を、もっときっちりリアルに描いたほうがよほどいいんじゃないかとしか思えないのよ。
つまり、ズバリひとことで言っちゃえば、「策に溺れた」のよ。
ワンカットという策に中途半端に溺れ、結果としてリアリティや物語性など失ってる。
ワンカットなんかやめて、もっとストーリーにひねりを持たせ、「1人で伝令するな」というフリでラストはベネディクト・カンバーバッチ大佐とひと悶着あるべきだし、「兄貴は顔が似てる」ってフリをしたんだったら、少なくとも顔が似てないとダメじゃんw(←兄貴は弟とすがすがしいほど似ていないの)

ということで、1人が死ぬところまでは緊張感やワンカット撮影の臨場感、ロケセットのリアリズムなど秀逸だったんだけど、それ以降が余りにも雑な映画だった。
まぁ、素晴らしかったという人もいるだろうし、僕も最後は泣いたけども、オスカー獲るまでの中身ではないなぁというのが結論。

どう考えても「パラサイト」の方が上。
投票したオスカー会員はなかなか優秀ね。
ただし、撮影賞受賞だけは文句なしです。

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韓国で、昨年、あの「パラサイト」を押さえナンバーワンヒット。
歴代でも第2位の興行収入記録を叩き出したという大ヒット作。
めっちゃ面白いという評判を聞き、観てきた。
シネマートという新宿の小さな映画館で。
その感想。

これはねー、良くも悪くも韓国映画なのよ。
そういう意味で、とてもクセが強い。
韓国映画特有のギャグとか、身内ネタとか、脚本や撮影、編集の変なクセとかがあって、「パラサイト」とは違うのよ。
そういう意味で、面白いところはメチャクチャ面白いんだけど、正直どうかと思う部分もあり、評価が難しい。
星は一応3つにしておく。★★★
この韓国映画味の強いクセが気にならずに観られる人なら、もっと高得点だろう。
何しろ、ストーリーの設定が抜群に面白いのだ。

ヤクザの麻薬取引を捜査するために集められた5人組のポンコツ捜査官たち。
失敗ばかりの彼らが最後のチャンスとしてある大物ヤクザの事務所を張り込むことになる。
張り込める場所は、道をはさんだ向かいのチキン屋しかない。
しかしそのチキン屋は店を売りに出し、閉店するという。
張り込みのために退職金を前借りし、チキン屋を買い取ってしまう捜査官班長。
その店で張り込みを続ける5人だったが、客が来るから仕方なくチキンを作って出したら、上手い上手いと大評判で、行列の出来る店になる。
……というこの骨子のアイデアだけでもう抜群に面白そうで、良く思いついたなぁと感心するのだが、実はこの映画、この「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」という面白さが実は用意された面白の一部に過ぎず、もっと最初から最後までハチャメチャなバカ麻薬捜査官コメディ映画なのだ。
逆に言うと、「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」をもっと観たかったのに、それ以外のよく分からないギャグや物語展開が結構出てくるので、フリがデカすぎていざ観てみたら少しガッカリという、いわやる「目線が上がった」状態になりがちなのが勿体ない。
むしろ、「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」は忘れて、ただの「ハチャメチャバカ麻薬捜査官コメディ」だと思って観に行くと、相当楽しめるだろう。

これ、どこかがリメイクしないかな?
「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」をストーリーの中心にドンと据えて、リメイクしたらもっと面白い話が出来そうな気がする。
この映画の場合、「大繁盛」をわりと早く捨ててしまう展開になるので、勿体ないのだ。
もっともっとムチャクチャ流行って、その結果が麻薬捜査に結びつくような展開もあるだろう。
それと、悪役のヤクザもバカキャラなのが実はもったいない。
悪役は心底怖いキャラにしておくと、もっとカタルシスのある後半が出来たはず。

ということで、日本の映画会社の誰かさん、これリメイクしませんか?
アイデア出しのブレーンとして参加しますよw

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