『テラスハウス』花さん自殺は、SNSじゃなくて番組事業者の問題だ

現代日本のいじめとカスケードの構造
山本 一郎 プロフィール

問題をSNSに矮小化するな

然るに、いままさに与党・野党の話し合いの中で、これらの問題はSNSなどプラットフォームを事業として行う業者の問題だ、という話として喧伝されるようになりました。

確かに、自ら死を選ぶ理由はSNSが作った、という話が事実であるならば、これらの再発を防ぐために社会と事業者が手を取り合って解決のための道筋を考えましょう、というのは必要なことです。

しかしながら、ここで議論を矮小化してはならないのは、SNSの利用者が花さんを総じてバッシングに至らせた理由です。

アクシデントがあり怒り狂う花さんの行動のみを番組で切り取って放送すれば、そういう粗暴な若い女性が問題を起こしているとしか視聴者は認識しません。ある意味で視聴者はネットで思う存分バッシングしてくださいという意図まで思わせるこの件は、花さんの人間性の極一部分を拡大して放送・配信したとも言えます。

映像作品上の演出としてSNSでのバッシングも起き得る内容で、放送、配信した事業者にも責任がないとは決して言えません。

 

それどころか、私たちのこの社会は間違いなくアテンション・エコノミー、注目されるための経済で、炎上上等で、誰かを燃やすために事件報道を切り取り、犯人の異常な人間性を決めつけて社会事件をコンテンツにする、いまのメディア・テレビ文化にも考えをいたす必要があります。