ZOZO前澤の「100億豪邸」「アート」「宝飾品」に税務調査の日

国税が重大関心…ある日突然やってくる
週刊現代 プロフィール

アートは税金がかからない

前澤氏は画期的なアイデアと行動力によって、一代で財をなした稀代の実業家だ。だが、豪邸、美術品、スーパーカーやプライベートジェット、時計などを買い漁る姿は、バブル期の資産家と変わりがないようにも思える。

元国税調査官で、税理士の高木重利氏が語る。

「前澤さんは、富裕層が行う節税の典型的な行為をしているようにもみえます。まず豪邸ですが、通常はキャッシュを不動産にかえれば、建物の評価は減価していくので、相続税の評価額が下がります。

また、プライベートジェットは税務上で認められている耐用年数と実際に使用できる期間に開きがある資産です。5~10年で減価償却は終わりますが、実際は20~30年使えます」

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前澤氏を知る金融関係者は、現代アートも同氏は芸術への情熱だけで買っているわけではなく、冷静な判断がともなっていると、こう指摘する。

「彼が購入するアート作品は、値上がりが見込めるものばかりなんです。たとえばバスキアは27歳で早逝しているため作品数がかぎられ、希少性が高い。いま富裕層にとって、アートは資産の運用先としてとても有効なのです。

'00年以降、大手のオークションをみるとアートの価格は平均で毎年7~8%上がっています。前澤氏は感性で購入していると語っていますが、資産運用について有能なアドバイザーがついているんでしょう」

美術品は取得税も固定資産税もかからない。バブル期に日本人が買い漁ったのもそのためだ。加えて、高額なアートを購入したことがニュースとなり、知名度が上がる。

また大富豪である海外のコレクターとの人脈も作ることができる。

「前澤さんは千葉市内にもう一つ美術館を作る構想を持っています。そして、ゆくゆくは自身が会長を務め、信頼する仲間が理事を務める財団法人に美術品を寄付して、美術館を運営していくことになると思いますよ。

相続税対策になるので、実子や将来の妻が受け継ぐよりも、死後も自身のコレクションが散逸するリスクが減りますからね」(前出・金融関係者)

 

だが、一方で、美術品が増えるほど、国税は目を光らせることになる。

「前澤さんはおカネの出入りが激しいと想定されるので、国税も個人と法人、その関連会社、公益財団法人を含めた全体的な動きをみていると思います。

前澤さんは『球団を買いたい』と発言したり、女優さんとお付き合いをしたりと世間の注目を浴びています。このような資産家の方には、国税も話題が出てから1年以内に税務調査に着手する可能性もあると思います」(前出・高木氏)

前澤氏は自身のブログでこう書いたことがある。

「僕は、まるで国税職員が会社の強制調査をするように、眉間にシワを寄せながらエクセルシートと睨めっこをするようになってしまいました」

わざわざ喩えに使うくらい、前澤氏も国税を意識している。資産家は国税が怖い。それはいつの時代も同じようだ。

「週刊現代」2018年9月8日号より