コロナ「第2波」警戒する北九州市 3日で12人確認、感染経路ほぼ不明
新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言が全国で解除されたが、北九州市では25日までの3日間で新規感染が12人確認され「第2波」への懸念が強まっている。政府が宣言解除の目安とする数値の一部を上回る状況で、専門家は「福岡県内の宣言解除後、人の動きが活発化したため感染が増えた可能性もある」と指摘する。
同市では県内の緊急事態宣言が解除される2週間前の4月30日から23日間連続で新規感染がなかったが、今月23日に突如3人の感染を確認。24日3人、25日6人と続いている。政府は宣言解除の目安に「直近1週間の新規感染者の累積報告数が人口10万人当たり0・5人程度以下」を挙げるが、市の現状はこれを大きく上回る。
さらに懸念されるのが、感染経路不明者の多さだ。市によると、23日以降の新規感染者計12人中11人が該当。それぞれの住所や職業などはばらばらで、行動歴の共通点も確認されていないという。
NTTドコモによると、JR小倉駅周辺の人の動きは、14日の宣言解除後に増え始め、21日以降の平日は宣言が出された4月7日を上回った。まだ宣言以前には戻っていない福岡市の天神や博多駅と比べ、人出の回復傾向が目立つ。
救急振興財団・救急救命九州研修所(北九州市八幡西区)の郡山一明教授は「ウイルスは市中に潜んでいる。今後も繰り返し生じる一定数の発生をそれ以上拡大させないため、人との距離を確保し、集団の密度を高めない社会全体の対策が不可欠だ」と指摘する。
北九州市では25日から小中学校が再開するなど社会活動が本格化。市保健福祉局の松本哲朗医務監は「感染者の行動経路など慎重な調査が必要な状況」とした上で、本格再開の見直しの必要性については「1週間ほど感染状況を見ながらの判断になるだろう」との見通しを示した。
(竹次稔、内田完爾)