【ニューヨーク=橋本潤也】緊急事態宣言を25日に解除した日本政府の新型コロナウイルス対策について、欧米メディアの評価が変化しつつある。

 当初、欧米と異なる対応を批判してきたが、日本政府の「3密」回避の呼びかけや、日本独自の習慣、保険制度などを評価する指摘も出てきている。

 多くの欧米メディアは日本の対応を疑問視してきた。公共交通機関の混雑や、罰則を伴わない緊急事態宣言に批判が集まったほか、PCR検査の件数について「ドイツや韓国と比べるとゼロを一つ付け忘れたように見える」(4月30日の英BBC)と少なさを問題視する指摘もあった。迅速に大量の検査を行い、感染者の移動経路を把握し、感染拡大を食い止めた韓国が成功例として称賛された。

 欧米メディアには日本の感染者数が伸びないことに、「不可解」「ミステリー」と戸惑う声もある。米紙ワシントン・ポストは25日の記事で、少ない感染者の「理由は明確でない」としつつ、感染を早期に把握できた要因の一つに日本の国民皆保険制度を挙げた。志村けんさんや岡江久美子さんら著名人の悲報が、「人々にウイルスの危険性を気付かせた」とも指摘した。

 英紙ガーディアンは22日の「大惨事目前からサクセスストーリーへ」と題する記事で、花粉症対策のマスク着用や、握手やハグをあまりせず、玄関で靴を脱ぐ日本の習慣が感染防止に寄与した可能性を指摘した。

 日本式の取り組みを参考にする動きもある。米ニューヨーク市議会衛生委員長のマーク・レバイン氏は21日、日本政府が作成した密閉、密集、密接の「3つの密を避けましょう」というポスターを英訳版と共にツイッター上に掲載した。「これが日本が取り組んでいること。何が最もリスクが高いかを強調する上で良い方法だ」と紹介している。