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やすひさの独り言 Yasuhisa's Soliloquy 今一番伝えたい考えや想いをお伝えいたします

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2020/05/24(日) NO.833号 【最新の独り言】

感染防護と経済再開は一体不離

明日、首都圏の一都三県及び北海道の緊急事態宣言が解除される方向だ。4月7日以来続いて来た外出規制、接触規制によって深く傷ついた経済、社会を再起動させ、一日も早く人々の暮らしと仕事を復活させ、経済を再び回し始めることが死活的に重要である事は、誰の目にも明らかだ。

ただ、新型コロナウィルスは依然としてそこここに潜んでいるはずであり、気の緩みでソーシャルディスタンシングなど新型コロナウィルスとの共存のための「基本動作」を怠れば、再び第二波が襲ってくることは、これまた明らか。従って、徹底した検査、そして感染者の隔離こそ、感染症対策の基本中の基本。感染防護が人々の命と健康を守るためにまず第一だが、経済、暮らしの再生のためにこそ、防護手段の中心である検査体制の飛躍的強化は必須だ。

松山市内の牧病院でのクラスター発生により、愛媛県では緊急事態宣言が、14日には条件付き解除となったが、一昨日にも同じ牧病院入院者で、クラスター発生直後の検査では陰性だった3名の入院患者の陽性が判明。そして昨日は、12日に牧病院を退院され高齢者施設に移った方が発症、陽性判明の上、その後に亡くなられたが、その方と同じ施設で、濃厚接触者とみなされていなかった入居者1名が新たに陽性である事が判明した。これを機に、昨日、遅ればせながら全ての入居者、職員71名へのPCR検査を実施、幸い全員の陰性が判明した。

感染力の実態を見ると、恐ろしい。その高齢者施設に入居され、最初に発症されて亡くなられた方は、12日の午前11時に入居、翌日午後には愛媛県立中央病院に入院されたので、滞在は20数時間の短時間だったが、それでもその施設にさらなる感染が広がった。入居時に既に症状が出始めていた上、車いすでないと移動できない方だったので、入居後、そのまま個室に隔離、3時に部屋から共用室に一回だけ出てきておやつを召し上がった際、同じテーブルの方3人だけが濃厚接触者と定義されたが、この3人は検査結果は陰性。今回陽性となった入居者は、厚労省の定義上は濃厚接触者ですらなく、恐らくおやつの時間に共用室で空間をともにしたが、近くにはいなかったのだろうが、それでも感染している。

施設によれば、13日に一人目の陽性者が出た際に、3人の濃厚接触者と11人の自宅待機とされた職員が接触規制を受け、その14人のPCR検査を保健所に要請したが受け入れられず、私に対し、せめて3人の濃厚接触者だけでもPCR検査を受けさせて欲しい、と要請があったことは17日の「独り言」で報告した通りだ。しかし、実は施設側は、最初から入居者全員と職員全員のPCR検査を要請していたが保健所に断られていたことを、今日初めて知った。もし、今回のように入居者ではなく、職員が感染していたら、通勤途上や家庭での感染拡大の恐れもあったはずだ。

17日には松山市に厚労省からクラスター班が派遣され、牧病院には赴いたものの、既にその段階で牧病院退院者がこの高齢者施設で発症していたのにも関わらず、こちらの施設には立ち寄ることはなかったという。その使命に照らしてみれば、十分責任を果たしたとは言えないのではないか。

デジタルに濃厚接触者を割り出す仕組みが定着していない現段階では、最も広い蓋然性を前提に検査対象を選ぶ、ということが感染症防護の基本ではないか。病院や高齢者施設では、定期的な抗体検査を組み合わせていくのも重要だろう。こうした考え方の徹底が大事であり、今後、経済社会を開いていくには、こうした考え方に全面転換していかないと、第二波を回避する事はできない。そのためには、検査に対する考え方を大きく変え、体制を格段に強化する事こそが、経済を開き、暮らしを立て直す第一歩だと思う。

厚労省ホームページにある5月23日0:00現在のPCR検査状況を見ると、前日と比べた検査数は、国内が2473件、空港検疫が502件、合計2975件だ。米国が一日30万件以上実施しつつあり、ドイツが20万件を目指し、英国、フランスが10万件を目指して、引き続きそれぞれハイペースで検査を実施しているのに比べ、余りも少な過ぎる。

国際的に見ても、タイ、韓国、ベトナム、インドネシア、オーストリアなどでは、既にPCR検査結果の提示なしには入国できないという。「PCRパスポート」だ。貿易立国の日本の経済を復活させるには、人の往来が容易にならねばならない。日本人ビジネスマンが海外で入国を拒否され、日本に外国人ビジネスマンが入れない、あるいは、入っても感染リスクが高い、という状態では日本の経済社会はやっていけるはずはない。日本に安心して渡航できる、と思われ、日本人ならば、世界どこでもコロナフリーとして信用される、という状況は、国内の検査体制が盤石だ、と国際的に思われない限り難しい。空港でのPCR検査体制も、世界一スピーディーにPCR検査ができ、容易に入国できるようにしていくことなしに、来年のオリンピック、パラリンピックの開催も、再び観光立国、も困難だ。

感染防護と、経済社会の再開、再興、復活は、一体不離であり、その実装は待ったなしだ。