@chablis777
シャブリ

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(環)正直言うと あなたの歌には惹かれるものがなかった。
(環)自分だけが楽しんでるようではプロとしては通用しない。
あなたは 何を伝えたいの?
どこまで役を理解している?
何も伝わらなかったの…あなたの歌からは。
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
(音)すいませんソーダ水 お代わり下さい。(保)はい。
(裕一)ち… ちっとた… 食べ過ぎじゃない?
あ~ 最悪だ~ もう!
(久志)まるで この世の終わりみたいだ。
ほら… 本当に駄目なら二次審査で落とされてるって。
千鶴子さんの技術には絶対かなわないって分かっとったからせめて表現力でって思っとったけど…何にも伝わってこないって…。
だったら まずは 伝えたいことを明確にするといいんじゃない?
伝えたいこと?
手始めに 「椿姫」の世界をしっかりと理解すること。
ねえねえ 「椿姫」って どんな話なの?
えっと…。
「なぜ? なぜなの? あの人の言葉が私の心に焼き付いて離れない。真に人を愛してしまうと傷つくということ?どうしたらいいの? この乱れる心」。
(恵)どういうこと?だから つまり その…つまり その…。全く。
ちょっと待ってて。
(久志)♪「タンタンタン タンタタン」
♪「タンタンタン タンタタン」
♪「タララ ランララン タンタンタン」(拍手)
舞台は パリ。田舎の御曹司 アルフレードは社交場の華であるヴィオレッタに恋をします。
ヴィオレッタ 僕以上にあなたを愛する男はいない!
アルフレード あなたは ただの友人。ほかを当たって。
ヴィオレッタ!いや もっと情熱的に。
パッションをぶつけて。 パッション。はい。
ヴィオレッタ~!
しかし ヴィオレッタもまた 本当はアルフレードを愛していたのです。
こうして 愛を確認し合った2人。
しかし ある時 アルフレードの父親がヴィオレッタのところへ やって来て…。
はい。
早く 早く…。
(手をたたく音)(久志)はい!はい。
うちの息子と別れてくれ。
そんな!君と一緒にいる限り息子は幸せになれない。
はい。 え~ 細かい事情は割愛します。えっ?
分かりました…。
そして ヴィオレッタは心にもない言葉をつづった手紙を残しアルフレードのもとを去ったのです。
あなたのことなど愛してないわ!
(久志)もっと感情を殺して…強がって 強がって 強がって。
私… ほかに好きな人がいるの。そう。
さようなら!
なぜ こんな…。もういい! あんな女 最低だ!
ああっ アルフレード!
愛してるわ…。
(せきこみ)
胸を患っていたヴィオレッタの余命は僅か。
間もなく命の灯火が消えようとした その時再び アルフレードがやって来て…はい!
僕が愚かだった。許してくれ… 愛してる!
しかし 時遅く ヴィオレッタは天に召されたのでした。
アル… フレード…。
ヴィオレッタ~!
カ~ット!(拍手)
はあ… 思い出すな~。旅芸人の一座にいた時のこと。
旅芸人?
まあ 省略し過ぎたがおおよそ こういうストーリーだ。
悲しいお話だね。全然分からん。
ごめん。 やっぱり 僕らの演技力が…。
そういうことじゃなくて分からんのは ヴィオレッタの気持ち。
好きなら好きって 言うべきよ!
(久志 保 恵)あ~…。
な… 何!
彼女の気持ちを理解するにはもっとたくさんの恋愛を経験しないと…駄目かもしれない。
えっ… いやいや…ちょっと ちょっと あの 待って…。
無理だわ 人妻だし。
そう 人妻だよ。この人 人妻だからね 人妻。
なら 恋愛小説を片っ端から読んでみるって… どうかしら?
恋愛小説?
(潔子)あっ いた。 音さん 次の授業…。
憎い男に嫁ぐって… 意味分からん。
う~ん?
また東京か。 何しに行ってんだ?
(鉄男)ええ… ちっと…。まあ いいけど。テツ いつも頑張ってくれてるしな。
社長! おはようございます。
(一同)おはようございます。(堂林)おはよう。
お嬢様も ご一緒でしたか。
(仁美)おはようございます。どうも。
村野君に会いたいと言って聞かないもんだから。
お父様 やめて下さい。
また近いうちに遊びに来なさい。
あの…。じゃあ 頑張ってな。
はい!うん。
(廿日市)曲つけてよ。えっ? ぼ… 僕でいいんですか!?
こ~れ 大抜擢だよ~!
社長もこれに社運賭けてるっつってんだから。
何? これ。うん? 地方小唄の歌詞。
「横浜囃子」。
気持ちいいくらい中身がないね。
うん… 何を伝えるのかってのは本当に大事だ。
これに どんな気持ちで曲つけていいのか分かんない。
裕一さんも大変だね。
音は? どう?
頑張って読んどるけど役に立っとるかどうか…。
大変だね…。
そうか 分かった!えっ 何?
裕一さん この前また カフェーに行ったでしょう?
はあ!?お願いがあるんだけど。
いや… えっ?
初めまして 新人の音江です。
お願いしま~す。(ママ)音江ちゃんこちらのテーブルをお願い。
はい! 失礼いたします。
よろしく。よろしくお願いします。
カフェーの女給? 音さんが?
ああ 僕は なんてバカなことを…。
どうして? 何があったの?いや…。
本を読むより 実践で学ばんと。
じ… 実践?
男女の社交場といえば カフェーでしょう。
「椿姫」のヴィオレッタも社交場の華だった。
ねえ 裕一さん。 裕一さんから木枯さんに頼んでもらえん?
あの人 顔が利くんでしょう?
た た… えっ?頼むって… な な… 何を?
うん? な… 何を?
なるほど…。なんという行動力…。
しかも 発想が独特。
いや… カフェー行った旦那さんを怒る奥さんの気持ちも よく分かりました。
心配いらないわよ。だって 一週間の臨時雇いでしょ?
裕一君も行ったことある店なんだろ?
いや~ 音の夢に協力したくてつい 協力して許しちったけど…。
ああ 僕はバカだ~。
大バカだ~。
あ~ やっぱ 止めるべきだったな~!
う~ん…。
バカだな~…。
(愛子)岡崎社長は いつもおしゃれですよね。(岡崎)うん?
(エミ子)このネクタイ すてきです。(岡崎)そうか? ハハッ。 本当に?
(希穂子)ええ とってもお似合いです。
希穂子ちゃんも そう思うかい。ハハハハハ…!
音江ちゃん。あっ はい。
とてもすてきです… 毛虫みたいで。
け… 毛虫?ちょ… ちょっと!
あっ… 実家の庭に よくいたんです。
焦げ茶の上に 赤い線が入ってて葉っぱの上を モソモソ~って。
(ママ)音江ちゃん。すみません。まだ この子 慣れてないものですから。
ハハハハハ…! 君 面白いね~。
新人さんだよね? ハハッ。
これ 取っておきなさい。
ありがとうございます。
ちょっと厠へ。
岡崎さんに お酒をお願い。はい。
何なの? 毛虫って。 失礼じゃない!
あっ いえ… 逆にでも それ 毛虫に失礼じゃ…。
口答えしない。すいませんでした。
あのね 思ったことを口にしているようじゃこの世界は勤まらないの。
もう少し 頭を使ってちょうだい。
・ママ! ママ ちょっと。
は~い。 ただいま。
・ママ!はい。
お客様には常に笑顔で。
ここは夢を売る場所だからね。勉強になります。
フフッ… 音江さんってユニークね。
えっ ユニーク?
ユニーク… フフフ。
あっ 音! 音… えっ えっ えっ えっ?
裕一さん ただいま。 フフフフ…。
臭っ。 えっ? 酒飲んだの?
ちょ… 立って 音。 立って せ~の!
そう そのまま! そのまま…。お~。
ねえ 大丈夫? そ… そんなに飲んだの?
座って 座って。まあ… 少しはね。
少しはね…。上着も脱ごう。
だって…。えっ 何で立つの?
何てったって夢を売る場所だから。
音… 音… お酒なんて喉に悪いからさあそこはねもう辞めた方がいいと思うんだよ。
それより 歌の練習した方がいいよ。私 決めた。
えっ?私…社交場に咲く花になる。
えっ? えっ あの… 駄目だよ?
いや あの… ううん 音 音…。
ねっ 音…分かったから 分かったから…。


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