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岐阜不正送金、1億円超 地裁、中国籍男に有罪判決県警が摘発した東海三県の違法個室マッサージ店を巡り、売上金を中国に送金するため無許可で為替取引をしたとして、銀行法違反の罪に問われた中国籍の千葉市、会社役員張桜瀚被告(41)の判決公判が二十五日、岐阜地裁であった。張被告が「地下銀行」から送金したのは総額一億円以上とされ、違法に得た金が海外の犯罪組織に流れたとみられる実態が捜査で明らかになった。 堀田喜公衣裁判官は懲役一年六月、執行猶予三年、罰金五十万円(求刑懲役一年六月、罰金五十万円)を言い渡し、判決理由で「八カ月間で計百四十七回にわたり、計一億円を超える金銭の不正送金を常習的に繰り返しており、規範意識は鈍麻していた」と述べた。事実を認めていることなどから執行猶予を付けた。 判決によると、昨年九月二十八日~十月二十九日、日本にある被告名義の口座に計二百八十二万円を入金させ、中国元に換算した約十八万元を中国の銀行口座に入金した。検察側の論告などによると、起訴した分を含めて昨年三~十一月、計一億二千百五十七万円を送金していた。 送金の「原資」は岐阜、愛知、三重の三県で営業していた六店の違法個室マッサージ店の売上金。マンションやアパートの一室で売春が行われ、元風俗店従業員の男が金の回収役を担っていた。 違法風俗店は店舗だけの摘発にとどまることが多いが、男が張被告の通帳を保管して売上金を口座に入金していた記録が確認され、売上金が犯罪組織にどう渡ったかの解明につながった。捜査関係者は「東海地方から中国に流れる闇資金を凍結できたのは大きいが、同様の店舗は関東や関西にもある」とみている。 この六店では、観光目的の短期滞在の在留資格で中部国際空港に来日したタイ人の女が接客し、県警は多い日に二十人ほど客が出入りしている実態をつかんだ。女は一回の売春で五千円が稼ぎになり、在留期間の十五日が迫ると帰国。すぐに別の女と入れ替わる手口だった。 張被告は親族名義の中国の銀行口座から、指定された中国内の別口座に売上金と同額を振り込んでいた。国をまたぐ正規の銀行手続きを踏まず、支払いを免れた手数料は約四十四万円。捜査が及ぶまで違法風俗店の売り上げとは知らず、自身の会社の仕入れのために日本円が欲しかった、と公判で動機を明かした。 弁護側によると、張被告は控訴しない方針。 (藤原啓嗣) <東海3県の違法風俗店摘発事件> 県警が昨年11月、岐阜、愛知、三重の3県で営業していた違法個室マッサージ店6店を摘発し、今年2月にかけて関係者計8人を逮捕。売上金送金役の張桜瀚被告のほか、接客で売春していたタイ人の女6人は入管難民法違反、売上金回収役で元風俗店従業員の男は組織犯罪処罰法違反などの罪で起訴され、岐阜地裁で全員に有罪判決が下された。 PR情報
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