ほぼ自分用の覚え書きです。カブのスプロケット交換時に、スピード・トルクについて、ああでもない、こうでもないと考える時用の早見表を作ってみました。
基本的なおさらい
カブのクランクシャフトからタイヤまでの駆動系を図示してみました。(間違えがあったらご指摘ください)
中央の明るいグレーと暗いグレーはトランスミッションの各ギアのペアを表し、シフトチェンジする際はこの比率を変えることになります。プライマリドライブギア・ドリブンギアはクランクケースの中にあり交換やメンテナンスがしづらいため、スピードやトルクの全体的な調整はスプロケット側の組み合わせを変更するのが一般的です。
ということで、この記事ではスプロケットについてまとめています。この記事でいう「ギア比」は二次減速比を指します。
一般的にフロント側のスプロケットがより小さくなると、トルクアップ・スピードダウンに。逆にリア側のスプロケットがより小さくなると、スピードアップ・トルクダウンになります。
純正スプロケット丁数・ギア数 早見表
ホンダ・カブの純正スプロケットの丁数とギア比を掲載します。ギア比の小数第3位は、丸め誤差がありますので正確ではありません。
フロント | リア | ギア比 | |
スーパーカブ50 (3速) | 13 | 40 | 3.077 |
スーパーカブ50 (4速)、プレスカブ | 13 | 42 | 3.231 |
スーパーカブ70 | 14 | 36 | 2.571 |
スーパーカブ90 | 15 | 39 | 2.600 |
スーパーカブ100EX | 15 | 37 | 2.467 |
スーパーカブ110 | 14 | 34 | 2.429 |
リトルカブ (3速) | 14 | 39 | 2.786 |
リトルカブ (4速) | 14 | 41 | 2.929 |
クロスカブ | 14 | 37 | 2.643 |
上記のギア比は、リア丁数をフロント丁数で割ったものです。つまり、リアを1回転させるのにフロントが何回転しなければならないかを表しています。ギア比が大きくなるほどトルク重視に、小さくなるほどタイヤの回転数(スピード)重視になります。
並べてみるとそれぞれ違っていて面白いですね。50ccで重いものを運ぶ想定のプレスカブはトルク重視。スーパーカブ110は、排気量と回転数でトルクを稼げて、30km/h制限もないのでスピードにシフトされてるってことかな。
スプロケット毎のギア比 早見表
横軸の「F」はフロント丁数で縦軸の「R」はリア丁数を表しています。また、緑色はスピード重視に、オレンジ色はトルク重視になります。
F | F | F | F | F | F | F | F | ||||
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | ||||
R | 29 | 2.636 | 2.417 | 2.231 | 2.071 | 1.933 | 1.813 | 1.706 | 1.611 | 29 | R |
R | 30 | 2.727 | 2.500 | 2.308 | 2.143 | 2.000 | 1.875 | 1.765 | 1.667 | 30 | R |
R | 31 | 2.818 | 2.583 | 2.385 | 2.214 | 2.067 | 1.938 | 1.824 | 1.722 | 31 | R |
R | 32 | 2.909 | 2.667 | 2.462 | 2.286 | 2.133 | 2.000 | 1.882 | 1.778 | 32 | R |
R | 33 | 3.000 | 2.750 | 2.538 | 2.357 | 2.200 | 2.063 | 1.941 | 1.833 | 33 | R |
R | 34 | 3.091 | 2.833 | 2.615 | 2.429 | 2.267 | 2.125 | 2.000 | 1.889 | 34 | R |
R | 35 | 3.182 | 2.917 | 2.692 | 2.500 | 2.333 | 2.188 | 2.059 | 1.944 | 35 | R |
R | 36 | 3.273 | 3.000 | 2.769 | 2.571 | 2.400 | 2.250 | 2.118 | 2.000 | 36 | R |
R | 37 | 3.364 | 3.083 | 2.846 | 2.643 | 2.467 | 2.313 | 2.176 | 2.056 | 37 | R |
R | 38 | 3.455 | 3.167 | 2.923 | 2.714 | 2.533 | 2.375 | 2.235 | 2.111 | 38 | R |
R | 39 | 3.545 | 3.250 | 3.000 | 2.786 | 2.600 | 2.438 | 2.294 | 2.167 | 39 | R |
R | 40 | 3.636 | 3.333 | 3.077 | 2.857 | 2.667 | 2.500 | 2.353 | 2.222 | 40 | R |
R | 41 | 3.727 | 3.417 | 3.154 | 2.929 | 2.733 | 2.563 | 2.412 | 2.278 | 41 | R |
R | 42 | 3.818 | 3.500 | 3.231 | 3.000 | 2.800 | 2.625 | 2.471 | 2.333 | 42 | R |
R | 43 | 3.909 | 3.583 | 3.308 | 3.071 | 2.867 | 2.688 | 2.529 | 2.389 | 43 | R |
R | 44 | 4.000 | 3.667 | 3.385 | 3.143 | 2.933 | 2.750 | 2.588 | 2.444 | 44 | R |
R | 45 | 4.091 | 3.750 | 3.462 | 3.214 | 3.000 | 2.813 | 2.647 | 2.500 | 45 | R |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | ||||
F | F | F | F | F | F | F | F |
赤枠はスーパーカブ、青枠はリトルカブ、紫枠はクロスカブの純正スプロケット丁数・ギア比を表します。上記の表は、干渉せずにスプロケットが取りつけられるか(特にフロント)など情報は考慮していません。
丁数の組み合わせ
一般的に、丁数同士の最大公約数が大きくなる組み合わせは避けるべきと言われています。これは、スプリケットの歯に変形などが発生した場合に対応するもう一つのスプロケットの歯に与える影響を考慮するという理由です。
例えば、F12/R36の場合、最大公約数は12になります。フロントスプロケットの歯が1つ変形して場合、変な力がかかってひっぱるリアスプロケットの歯はフロント3回転に1回は同じ歯になります。最大公約数がフロント丁数に近づけば近づくほど、変な力が加わる歯の数が局所的になり、ダメージが集中して破損しやすくなると言われているようです。
フロントを1丁増やし、F13/R36の場合はどうでしょう。最大公約数は1ですので、フロントが36回転して、ようやく最初にダメージを与えたリアの歯に戻ります。変な力でひっぱられる歯は1つずつズレていくため、ダメージが分散するらしいです。
なんだか眉唾のような気もしますが、言われると「なるほど」とも思えます。まあ、おまじないみたいなものと考えて、よほど理由がない限り、素直に受け入れていいかなと思っています。
フ | ロ | ン | ト | 丁 | 数 | |||||
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | |||
リ | 29 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 29 |
ア | 30 | 1 | 6 | 1 | 2 | 15 | 2 | 1 | 6 | 30 |
丁 | 31 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 31 |
数 | 32 | 1 | 4 | 1 | 2 | 1 | 16 | 1 | 2 | 32 |
33 | 11 | 3 | 1 | 1 | 3 | 1 | 1 | 3 | 33 | |
34 | 1 | 2 | 1 | 2 | 1 | 2 | 17 | 2 | 34 | |
35 | 1 | 1 | 1 | 7 | 5 | 1 | 1 | 1 | 35 | |
36 | 1 | 12 | 1 | 2 | 3 | 4 | 1 | 18 | 36 | |
37 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 37 | |
38 | 1 | 2 | 1 | 2 | 1 | 2 | 1 | 2 | 38 | |
39 | 1 | 3 | 13 | 1 | 3 | 1 | 1 | 3 | 39 | |
40 | 1 | 4 | 1 | 2 | 5 | 8 | 1 | 2 | 40 | |
41 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 41 | |
42 | 1 | 6 | 1 | 14 | 3 | 2 | 1 | 6 | 42 | |
43 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 1 | 43 | |
44 | 11 | 4 | 1 | 2 | 1 | 4 | 1 | 2 | 44 | |
45 | 1 | 3 | 1 | 1 | 15 | 1 | 1 | 9 | 45 | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
スプロケット丁数の最大公約数の早見表を上記に掲載します。丁数が赤くなっている部分は素数を表します。
素数は、「1とその数自身でしか割り切れない正の整数」です。素数丁数同士にしておくとリスク最小となりそうです。
キタコのスプロケット
数多くのカブ用のパーツを出しているメーカー、キタコのスプロケットは Amazon でも各丁数の取り扱いがあります。(※適合車種に注意して購入)
キタコ ドライブ スプロケット (フロント)
キタコ ドリブン スプロケット (リア)
チェーンなど
ちなみにうちのカブは、50cc→85ccにボアアップした際に、上のキタコのF15と純正のR40を装着しています。それまで純正のF13/R40でギア比が3.077だったので、リア側をそのままにし、もっともカブ90の2.600に近いF15で2.667にしています。
1速は重い僕が乗っても、かなりトルクがあるので、もう少しギア比を小さくしてもいいかも。今度はリア側を交換かな?
[…] カブのスプロケット丁数とギア比 まとめ – dyama’s page […]
大変分かり易い解説&図示
参考になりました、有難う御座いました。
パワーおやじさん
コメントありがとうございます。
こんな記事でもご活用いただければ嬉しいです。
とても分かりやすい解説ありがとうございます。
カブプロのボアアップ(FI 50〜81にup)に伴ってスプロケット交換を検討していました。
元々積載を考慮してのカブプロのギア比はかなりの低速重視でフロントは交換済みだったためリア交換を予定していました。
上の早見表は一目で比率がわかる上に、カブの種類毎にマークしてあるので大変参考になります。
またカブいじりの楽しみが増えて今からワクワクです!