もう日本は眼中にない…対コロナ勝利で韓国の「先進国意識」が確立?

70年間の自分探しの旅は終わったのか
木村 幹 プロフィール

国民の意識も「もはや先進国になった」

しかしながら、この状況は今日、大きく変化した。同じリアルメータが今年4月28日に実施した調査によれば、韓国は「先進国である」と答えた人は57.6%、対して「中進国である」と答えた人が26.8%、「後進国である」と答えた人は僅か8.7%となっている。

見落とされてはならないのは、2010年の調査とは異なり、今回の調査では新しく「中進国である」とする選択肢が加わっている事である。にも拘わらず、「先進国である」と答えた人が大幅に増えた事は、第2次大戦後長らく、民族の分断と権威主義体制下の抑圧、更には、困難な経済状態に置かれた韓国の人々がようやく自らの国は、当然、日本や欧米諸国と並ぶ「先進国」である、という確固たる自信を持ちつつある事を意味している。

そしてもちろん、この様な韓国の変化は単に文在寅政権下の新型コロナウイルス対策が成功した事によってのみ齎されたものではない。

2010年から2019年までの間に、韓国の1人当たりGDPは、名目ベースで23000ドルから31000ドルへと30%以上上昇した。因みに為替の関係もあり我が国の同じ数字は10%減少しており、計算上、韓国の一人当たりGDPの日本に対する比率は、51%から78%にまで上昇する事となっている。

更に物価を考慮したPPPベースに直した数字では、韓国は1人当たりGDPのみならず、労働者1人当たりの生産性でも、2018年には既に日本を上回っている。平均賃金と、労働時間当たりの生産性では未だ日本が若干上回っているが、両者の差は急速に詰まっており、今年か来年には逆転されてもおかしくない状況になっている。

 

これらの統計的数値をどのように見るかについて多くの議論の余地があるものの、捉えようによっては韓国の生活水準は既に日本を上回っている、と言う事さえできる状態である。

つまり少なくとも経済水準だけから見れば、仮に日本が当然先進国であるとすれば、韓国もまた当然先進国である、という状況になっている。