コロナ対策は「大阪モデル」が政府よりも東京よりも断トツで優れている

補償も出口戦略も明確にしている
髙橋 洋一 プロフィール

10年以上前から議論されている

「国家公務員法等の一部を改正する法律案」概要を見れば、これが検察官だけではなく、国家公務員全体の定年年長であることがわかるはずだ。簡単にまとめると、今の法律では、

(1)国家公務員一般の定年は60歳。ただし、定年の特例延長の規定あり
(2)検察官の定年は63歳、ただし検事総長は65歳

なのを、

(1)国家公務員一般の定年を65歳、
(2)検察官の定年を65歳、特例延長の規定も追加

とするものだ。

 

ネット上では「三権分立が保てなくなる」という意見もあるようだ。官邸サイトに掲載されている図も問題になっているようだが、些細な話は別として、検察庁は行政の一部であるので、三権(行政、立法、司法)の問題ではない。というか、日本ではもともと行政と立法は首相が衆議院から選ばれる時点で独立していない。三権分立について誤った認識を前提とする批判は意味をなさない。

そもそも、国家公務員の定年延長には長い経緯がある。2008年の国家公務員制度改革基本法の中に、65歳までの定年延長は盛り込まれている。その法律は福田康夫政権のときのものだが、実は企画立案の一人として筆者も関わった。この法律は、当時の民主党の協力で成立した。その後2回(2011年、2018年)の人事院から政府への意見申出、3回(2013年、2017年、2018年)の閣議決定を経て、現在に至る。

このように国家公務員の定年年長は長期間議論されてきたが、基本は年金支給開始年齢の引き上げと連動している。こうした経緯からみても、今回の法務省における特定人事(黒川氏の定年延長)とはまったく無関係に、自公政権、民主党政権、自公政権と政権交代を超えて議論されてきた。