今回は、1000円スコッチの定番の一つ、バランタインファイネストを飲みます。

110年続くバランタインのエントリーボトル

brf_2020_バランタイン社は、1823年にジョージ・バランタインが18歳の時に、エディンバラで創業した食料品店をルーツにしています。

1853年に、それまでシングルモルトとして売られていたウイスキーを、複数の原酒をブレンドして造る、今で言うブレンデッドモルトウイスキーが登場しました。
そのブレンドを手がけていた友人の話を元に、ジョージはさらにグレーンウイスキーもブレンドしたブレンデッドウイスキーの研究を始めました。

1869年に、食料品店の経営を息子に任せ、ジョージはブレンダーとしてブレンデッドウイスキーの開発、製造に注力しました。
この頃、ブドウの不作によってブランデーの供給が滞ってきたことで、ブレンデッドウイスキーに注目が集まりはじめ、バランタイン社のウイスキーも売れていくようになりました。

ジョージ亡き後、アーチボルト、ジョージ二世へと経営が引き継がれる中、1910年に、バランタインファイネストが発売されました。

ファイネストでは、40種類以上のモルト原酒をブレンドし、個性を強めるよりも、なめらかで豊かな香りを求めるブレンドになっています。

では実際に飲んでみます。

ストレート

先にレーズンと紅茶の香りが広がり、その後にリンゴ、カカオの香りが続きます。

味わいは、アルコールからの辛みがそれなりに来るものの、ほろ苦さを伴いつつも甘みが口に広がっていきます。

少し若さがあり、少々飲みにくい印象ですが、香りを楽しむのであれば申し分ないように思えます。

ロック

レーズンとリンゴの香りが前に出てきて、紅茶の香りは奥に潜みます。その奥からはピートを思わせるスモーキーな香りが顔を出します。

味わいは、苦みがストレートよりも強めになり、後から酸味が追いかけてきます。

ストレート以上にウイスキーらしさがはっきりしてきます。ただ苦みが強くなるので、飲みにくさがさらに強まる気がします。

水割り

トゥワイスアップだと、リンゴの香りの方が先に訪れ、軽く紅茶の香り、その次にレーズンと続きます。ピートのスモーキーさはそれほど感じられません。

味わいは、多少辛みがあるものの、後から甘さが広がっていきます。

1:4で割ると、リンゴとラムレーズンの香りを感じつつ、ほのかにスモーキーさも得られます。奥からはバニラがほのかに香ります。

味わいは、苦みが少々強めで、アルコールからの辛みも比較的目立つ印象です。

ハイボール

1:3で割ってみると、ラムレーズンの芳醇な香りが先立ち、続いてリンゴ、奥からバニラの甘い香りが続きます。

味わいは、苦みが少々目立つものの、全体的に甘酸っぱい味が支配します。

まとめ

ウイスキーらしさはあるものの、香りや味わいがいずれかに突出した印象は少なく、様々な香り、味わいが飲み方によって別々に感じられるブレンドになっているように思えます。

初めてウイスキーを飲む人に対しては、このバランタインがバランスがよく、いやな思いになることは少ないように思えます。
水割りでは苦みが目立ちますが、香りが比較的残るので、悪い印象は少ないように思えます。
ちゃんとしたスコッチウイスキーを飲みたい、と思う人であれば、このボトルから選んでいいでしょう。ただ、飲みやすいウイスキーとは一概には言えないでしょう。
  • メーカー:ジョージ・バランタイン&サン(輸入元:サントリー)
  • 容量:700mL
  • アルコール度数:40度
  • 香り:紅茶、レーズン、リンゴの香りが先行。カカオ、ピートが奥から訪れる。
  • 味わい:ほろ苦さが先に訪れるが、あとから甘み、軽い酸味が続く。
  • ストレート C: 香りは豊かに感じられるが、アルコールの辛みが強め。
  • ロック C: ピートのスモーキーさを得られるようになるものの、苦みが強まる。
  • 水割り B: 1:1で割る方が甘みがあって飲みやすい。1:4では苦みが目立つ。
  • ハイボール A: 炭酸の爽やかさが手伝って、フルーティでさっぱり飲める。