第五章 「オリジナルキャラクター」が流行らない理由  ~オリキャラ動画投稿者とオリキャラ絵師の需要一致~

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 ●「オリジナル創作」する上でのオリジナルキャラクター素材の圧倒的な不足

     ~二次創作と比較した「キャラ素材集め」の困難さ~

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 まず前提としてニコニコ動画の主流とはキャラクターを使用した動画である。動画劇場、ゲーム実況、解説・講座、紙芝居動画など、どんなジャンルにおいても立ち絵などによってキャラクターが登場するのである。キャラクターの存在とはそれだけで動画が楽しく思える効果があり、視聴者たちもキャラクターが登場する動画を好む傾向にある。そうした動画は再生やコメントもされやすく、動画作りにおいてもはやキャラクターの存在は欠かせないものとなっているのである。

 現在キャラ動画の多くはアニメの切り抜きや静画の配布イラストなどの「キャラ素材」を使ったものが主流である。その理由は大多数の人が「絵を描けない」からであり、つまり「自分でキャラクターを作ることができない」からである。そのため創作者たちは動画作りに取り掛かる場合、まず「キャラ素材」を集めることから始めるのである。二次創作であるならばアニメ動画から画像を切り取ったり、静画などで配布されている目当てのキャラをダウンロードするなどして入手する。手間はかかるものの素材が全く見当たらないという事態に陥ることはほとんどなく、簡単な動画であれば「キャラ素材集め」の段階で挫折する可能性は低い。この素材集めの容易さが現在二次創作が流行している理由の一つなのである。

 一方でこの「キャラ素材集め」が「オリジナル創作」動画を作ろうした場合だと初めにして最大の障害にぶつかることになる。それは「オリジナルキャラクター」の素材が全く配布されていないということだ。実際に静画で「オリキャラ 素材」、「オリジナル 素材」、「オリジナル 素材 キャラ」、「一次 素材」などで検索してみると、ヒットしたものが20件にも及ばなかったり、2次キャラの素材が混ざっていたり、素材配布用の静画ではなかったりなど、ジャンルが混沌としていてほとんど「オリキャラ素材の配布」に該当する正当な作品が見当たらないのである(2020/04/28)。ニコニコ静画では現状「オリキャラ」の素材を集めることは困難であり、かといって「いらすと屋」などのフリー素材のキャラクターを使うことは言ってしまえば「味気ない」。「オリジナル創作」動画を目指す人は現在主流の2次キャラクターの素材配布に見られるような「高品質なオリジナルキャラクター」を求める人も多くいるだろう。美麗であり、差分があり、動画のクオリティ自体が上げられるようなオリジナルキャラクターの素材が。しかし現状それらを入手することは極めて困難なのである。ではなぜオリジナルキャラクターの素材は全然配布されていないのだろうか? それは圧倒的に2次キャラクターたちが『人気』であり、オリジナルキャラクターが入り込む余地がないからである。

 

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          ●同じ2次キャラの動画しかない理由

         ~需要と供給の循環・捏造される「人気」~

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 現状ニコニコ静画などのキャラクター素材が配布されている場所を訪れると、ほとんどの場合2次キャラクター素材ばかりである。その素材の多くは美麗で表情や服などの差分も多く、ハイクオリティな作品ばかりである。動画においてもそれらの2次キャラクター素材が使われたものは認知度や「かわいさ」を理由としていわば「看板娘」となり、そのキャラクターを使用するだけで再生数やコメントを増やすことができる。2次キャラクター素材とは創作者にとって動画作りの敷居を大きく下げることができる存在であり、そのため圧倒的にオリジナルキャラクターよりも「創作として」の人気が高いのである。絵師の人たちもそうした需要を察知しており、そうした要望を叶えるがため・「人から評価されたい」がために2次キャラクターの素材をえがいて配布する。そしてまたその2次キャラの絵が配布されたことを理由として、さらに創作者たちはそのキャラの「人気」があると思い込み、ますますその2次キャラの素材を利用する人たちが増えるのである。

 このように2次キャラクター素材とは「需要と供給の循環」が発生しやすい素材であり、その2次キャラクターの「人気」の爆発に拍車をかけているのである。このことによりさらに多くの投稿者たちがその「人気」に便乗して再生数やコメントを稼ごうと考え、付和雷同にその2次キャラクターの動画が作られる。そしてイナゴの大群のように動画が投稿されることによって、視聴者にも同様にその2次キャラクターの「人気」があるのだという錯誤が生まれるのである。そして視聴者もその2次キャラの「ブーム」を理由としてパブロフの犬のように2次キャラ動画をクリックしてはやし立てる。投稿者らもまた動画の「人気」が出たことによってさらにその2次キャラクターが「人気者」であるのだと味を占め、また似たような2次キャラの動画を投稿するのである。その結果ニコニコ動画全体で『人気』2次キャラ動画が氾濫はんらんし、結局その2次キャラクターが使われた動画しか生まれなくなるのである。

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  ●「人気」2次キャラコンテンツの隆盛による「オリキャラ」の占め出し

  ~『諦める』か『二次創作に堕ちる』しかない「オリジナル創作者」~

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 こうした状況の中、「自分のオリジナルキャラクターを使おう」と思い立ち実際に投稿できた人がいたとしたらどのようなことが起こるだろうか? それは「オリジナルキャラクターの占め出し」である。

 まず初めにニコニコ動画ではいつの時代でもとある「人気」2次キャラ動画が繁栄しているという事実がある。その隆盛と跋扈ばっこを理由として大多数のニコニコユーザーたちはその2次キャラのランキングしか見かけず、その2次キャラの関連タグしか目にしない。それゆえにユーザーたちはその2次キャラクターの存在しか認知できず、その2次キャラのコンテンツばかり検索することになるのである。この現象の発生によって対照的に「オリキャラの動画」は誰の目にも触れることがなくなる。その「人気」2次キャラの存在によって、そのオリキャラが「人から注目される」機会が奪われてしまうからだ。動画が低クオリティなわけでもオリキャラに魅力がないわけでもないのに、ただ「人の目に触れない」という一点だけの、そして最大の障害が原因で「オリキャラ動画」はほとんど再生もコメントもされないのである。

 このことによってオリキャラ動画投稿者は「オリキャラなんて使ってもどうせ誰も見ない……」と卑屈に考えることとなり、結局その人はオリキャラの「オリジナル創作」自体を諦めざるを得なくなるのである。そうした人たちに迫られるのは「創作活動」自体を諦めるか、自分も「『人気』2次キャラ」コンテンツに便乗するかの二択である。しかしどちらを選ぼうともその人に満足感が訪れることはない。なぜなら本当に自分が望んでいる「オリキャラ動画を発表して、人から見られる」という機会が永遠に失われてしまうからだ。

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    ●「オリジナルイラスト」を描きたいという絵師の本音

 ~「人気絵師」の圧倒的少数・潜在的「オリジナル絵師」の圧倒的多数~

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 ニコニコ静画でも同じことが言える。つまり「オリキャラの占め出し」が発生し、「オリジナルイラスト」を諦めてしまっている創作者たちの存在のことだ。そうした絵師たちの中には現在二次創作で活動を続けている人もいる。さらにその中には、「まず『人気』2次キャラ絵を投稿し続けてフォロワーを増やし、『ファン』が増えた所でオリキャラ絵を発表して『評価』を受ける」という戦術を取っている人もいる。そしてそれが実際に今の「正統派」の戦い方となっており、現在「人気絵師」と呼ばれている方の多くがその方法で『人気』を獲得しているのである。ではここで詳しく彼らについて見ていこう。「人気絵師」とは一体どんな人物なのだろうか?

 「二次絵を発表し続けてオリ絵の評価を得る」、その戦術が成功した人は大抵の場合ニコニコ静画などのランキングでも常連となっている。実際に彼らが描いた大量の二次創作イラストは多くのユーザーたちから『評価』を受けている。彼らはイラストの研究だけでなく同時に世間の需要の研究も人知れず行い続け、とてつもない努力をしてやっとその地位にたどり着いたのだ。しかしそうした活動を続けることはまず「一般的」な絵師たちには真似できない。その理由とは何だろうか? それはつまり①「『イラストを完成させる』という大変な作業を好きなキャラじゃなくてもやること」、②「他人の前では興味がなくても好きなフリをすること」、③「仮初めの『評価』でとりあえず満足すること」、④「自分の本音を隠し他人の需要だけを満たすこと」、この4つの「忍耐」を強いられるからだ。「一般的」な絵師の中には「人気絵師」と呼ばれる人と比べても引けを取らないハイクオリティな作品を描くことができる人もいる。実際に彼らの二次創作イラストもとても美麗なものだ。しかしそうした絵の技術力が高い人でも「人気絵師」のような「宣伝活動の苦行」に耐えることができず、結局二次創作活動すらもやめてしまうといったケースが数多く存在するのである。「人から評価されるためにやる二次創作」とは大きな苦痛を伴ってしまうのだ。

 「好きでもない二次創作なんてホントはしたくない! 早く自分のオリジナルイラストで評価されたい!」。これが多くの絵師たちの本音である。「自分の考えたアイデアを純粋にそのまま創作で表現したい」。これが万人と呼ぶにふさわしい創作者たちの望みなのである。しかし同時に「自分の作品をみんなから評価されたい」という欲求が全員の胸の内に秘められているのだ。その二つの願望は今紛争を起こしている状態であり、そして多くの場合「評価」の勢力が勝利することとなる。そのため多くの創作者たちの中で、「人から評価されない創作なんてしても意味がない」という考えが「世論」となっているのだ。しかしながら「自分だけの創作がしたい」という勢力が完全に潰えたわけではない。むしろその数は秘密裏に日増しに増大し続けているのであり、湧き上がり外へ表出しようとしているのである。「いつか本当の自分を表現したい」・「本当の自分を出したい」と何度も願い望むことを繰り返し、「評価」だけに満足する勢力に反乱の時を繰り出そうとしているのである。しかしこれら二つは本来敵同士というわけではない。「自己表現」と「他者評価」、これらは真摯に創作活動を続ければ相いれることができる共同体なのである。しかし現在の二次創作の文化、既に完成されたものにしか注目が集まらない文化がこれらの和解を阻害してしまっている。「表現」を望めば「評価」は手を離れ、「評価」を望めば「表現」は見放される。この「既製品」の文化が続く限り二人が手を取り合うことは永遠にないだろう。ではどうすればいいのか? それは「オリジナル創作」という新しい文化を築くことである。

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    ●オリキャラ動画投稿者とオリジナル絵師の需要と供給の合致

       ~「オリジナル創作」文化の相互支援の関係性~

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 「オリジナル創作」文化、それは「オリジナル創作」自体を愛好するクラスター(集団)のことである。「オリキャラ動画」などのオリジナル創作を作る投稿者、「オリジナル創作」動画などを閲覧する視聴者、そしてオリジナルキャラクターなどの素材を提供する「オリジナル素材職人」、その他全ての「オリジナル創作」に携わる人々を指し示す「総合文化団民」である。この「オリジナル創作民」たちの一大クラスターの結成、それが我々「オリジナル創作民」の目的である。この文化的団民が築かれることで何が生まれるのか? それは「オリジナル創作を発表して、多くの人たちから見られる」という創作者万人が望む環境である。「オリキャラ動画」のオリジナル創作は他の多くの「オリジナル創作民」からの再生やコメントが得られるようになり、その作品が良ければ多くのマイリストも獲得できる。そして「オリジナルイラスト」のオリジナル創作も多くの「オリジナル創作民」から閲覧されることとなり、その作品の正当な評価が得られるようになるのである。このように「オリジナル創作」文化とは創作者たちにとって、自分がやりたいことをやって人から評価される「最高の発表の場」となるのである。

 まずこの項では我々「オリジナル創作民」がえがく「オリキャラ動画」投稿者と「オリジナルイラスト」絵師の、「理想的な相互支援関係」について説明する。もちろん我々「オリジナル創作民」はこれを理想のままで終わらせるつもりはない。具体的な「オリジナル創作」クラスターの結成については、この論文の「第二章」に全て方法が書かれている。ぜひそちらも参照して実行していただきたい。



●オリキャラ動画投稿者たちとオリジナル絵師たちの「相互支援関係」

 

 まずここに二つの大きな需要がある。一つはオリキャラ動画投稿者たちの、「イメージが固定化されていないオリキャラを使いたい」という欲求。そしてもう一つは絵師たちの、「オリジナルイラストで人から評価されたい」という欲求である。この二つの「オリジナル創作者」たちの需要についてこれから見ていこう。

 まず動画投稿者らがオリキャラ動画を作りたいと思う最大の理由は、「キャラクターを自分の発想のまま自由に動かしたい」からである。もしこれが仮に2次キャラの素材を利用する場合だと、そのキャラの「固定化された文化」、つまり暗黙のルールに従わなければならなくなる。テンプレネタ・キャラの愛好・キャラ同士の関係性など、いくつものルールを知らず知らずのうちに強要されてしまうのである。一方オリキャラの素材とは、素材として誕生したが故に全く固定化されたイメージがない。コメディなものからシリアスなもの、果てには殺人事件の犯人までどんな役柄でもこなす「役者」なのである。キャラクターを使う動画投稿者にとってこれほど有難いことはない。何故なら誰からの文句も指図も受けることなく、自由にそのオリキャラに配役を演じさせることができるからだ。

 次に絵師たちの「オリジナルイラストを評価されたい」という欲求、これはオリキャラ動画を作りたい投稿者の需要と合致する。つまり絵師自らが描いた「オリジナルキャラクター」の「役者素材」、これを供給することで投稿者たちの需要を満たすことである。このことによりまず投稿者たちからの「評価」が得られる。それは純粋な作品の評価ではなく「素材を提供してくれる有難い人物」、そういった評価であるという側面は否めない。しかし投稿者たちは当然ながらそのオリキャラを動画に登場させる目的で素材を使うのであり、つまりその絵師が描いた「オリキャラ動画」が作られるのである。その動画が投稿されれば視聴者たちの注目が集められる、その文化、そう、この「オリジナル創作」が発表されユーザーたちから注目されるという文化の築城。それこそ我々「オリジナル創作民」が目指す理想郷なのである。我々はこの「オリジナル創作が人から見られる楽園」、これを達成すべく日夜活動をしているのだ。――「オリジナル創作」文化は必ず実現される―ーこの共通認識を「オリジナル創作民」はしっかりと共有して読み進めてほしい。

 話を元に戻す。投稿者により絵師の「オリキャラ」動画が発表されたとしたらどうなるだろうか? それはつまり絵師ブランドの「オリキャラ」が広告されるということである。まず「オリキャラ」とはそれだけで視聴者たちの耳目を集めることができる魅力的なコンテンツである。何故ならそれはその絵師特有の「ユニークブランド」だからである。2次キャラクターにはない、飽和されていない、ただ一つの「オリジナルブランド」。これこそが「オリキャラ」が持つ絶対的な強みなのである。そしてその「オリキャラ」だけのブランドとは、その絵師自身の名前の宣伝にもなる。絵師の「オリキャラ」に魅力を感じた視聴者はそれを描いた絵師にも関心を抱き始め、名前を検索してイラスト投稿サイトへと足を運ぶことになるだろう。そうなれば絵師自身のページも閲覧され、そこで絵師の作品が本当の意味で『評価』をくだされることになる。そして彼らが作品を「良い」と評価すればそのイラスト主をフォローし、絵師は真の意味で『ファン』を獲得できるのである。「自分のオリジナル作品を発表して人から『評価』される」。この万人の絵師たちの願いが、「オリキャラ」素材の提供により叶えられるのである。


 このように「オリジナル創作」文化とは、動画投稿者たちにとっても絵師たちにとっても相互に良好関係を築くことができる共栄圏きょうえいけんなのである。「オリジナル創作者」同士が助け合い、視聴者や閲覧者が作品を見る相利の関係性。これにより創作者は「自己表現」と「他者評価」というどちらの願いも両立させることができるのである。「オリジナル創作」文化とは創作者たちが本当に望む「創作・発表・評価」が三位一体となったユートピアなのだ。



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    ●ライト作品を許容することによる素材配布文化の交流と活発化 

       ~ハイクオリティは「オリジナル創作-作品」タグ~

       ~低クオリティは「オリジナル創作-ライト」タグ~

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 絵師が「オリキャラ」素材を配布することで、投稿者も絵師も「Win-Win」な結果が得られることは既に理解していただいただろう。しかしここで一つだけ問題が起こる。それは実をいうと「絵師」と呼ばれる人の数というのは圧倒的に少ないのだ。初めにも論述した通り多くの人が「絵を描けない」。これが原因により現時点では「オリキャラ」動画を作れる人が少ないのである。「イラストを完成させる」というのは大変な作業であり、つまりハイクオリティな作品とは作るのに時間が掛かる。この結果何が起こるのか? それは「オリキャラ」の素材が静画に全然配布されないという問題である。「絵師は少数でかつ絵の完成には時間が掛かる」、この現実は避けられない。よって絵師だけが素材配布する文化では圧倒的に「オリキャラ」素材が足りなくなってしまうのだ。例えハイクオリティなキャラ素材であっても、投稿者が想定している「配役」のイメージと一致しなければ素材は利用されない。つまり「オリキャラ」素材とは投稿者たちが考える様々な「配役」のイメージの需要を満たすために「数」が必要なのである。

 ではその「オリキャラ素材」の「数」を作るにはどうすればいいか? 答えは単純である。素材を投稿する「人の数」をたくさん増やせばいい。それは即ち低クオリティな素材、つまりライト作品の投稿を許容する文化を作ることである。警察、医者、サラリーマン、OL、老人、宣教師など投稿者たちは様々な「オリキャラ素材」を必要としている。どんなジャンルの「オリキャラ素材」でもある環境が「オリキャラ」動画作りでは必須であり、そのためには多くの静画投稿者たちの「数」が必要になる。「例え絵心がなくても適当に描いたものでも、とりあえず何を描いているのかわかればOK」、「職業などそのキャラの「役柄」タグをつけて、目当ての素材が見つかりやすいようにする」。主にこの二点の決まり事を設けることで「オリキャラ」動画が差しさわりなく作れる環境を築くのである。

 しかしここで問題が発生してしまう。それは「低クオリティな素材ばかりが溢れ、ハイクオリティな素材が見つけにくくなる」という問題だ。動画投稿者たちの中には「役柄」だけでなく「品質」を求めているものもいるだろう。しかしこのままだと静画を探しても目に付くのは品質の低い素材ばかりで表情などの差分もないものばかりとなってしまう。動画投稿者には「人気」2次キャラ素材のような高品質で差分も多い「オリキャラ素材」が欲しいのに、全然目当てのもの見つけられないという事態が起こる。絵師にもせっかく頑張って描いたイラストなのに人から見られないという事態が起こり、結果ハイクオリティ作品が評価されなくなる。そのためこの双方の悩みを解決するための決まり事がさらに必要となるのである。

 ではその方法とは何か? それはハイクオリティな素材のための「オリジナル創作-作品」タグ、低クオリティな素材のための「オリジナル創作-ライト」タグ、この二つのタグを作ることによってハイクオリティ・低クオリティ作品の棲み分けをすることである。静画で素材提供する投稿者たちはまず「オリジナル創作」・「オリジナル創作-素材」のタグをつける。そして自分が描いた「オリキャラ素材」のクオリティを考えて、「オリジナル創作-作品」あるいは「オリジナル創作-ライト」のどちらかのタグをつける。素材投稿者は両方のタグをつけることは許されず、そして静画閲覧者も勝手にそのどちらかのタグをつけることが許されない。この「法律」はニコニコユーザー全員が厳守するものとする。この全員の共通ルールにより、高品質を求める「オリキャラ」動画投稿者は「オリジナル創作-作品」を検索することで、ハイクオリティ素材を集めることができるのである。そして絵師たちも投稿者たちに「オリキャラ」素材を閲覧されることで、自分の作品の評価を正当に受けることができるのである。


 以上が「オリジナル創作」の素材配布文化の概要である。さらなる文化の発展のため次の第六章では具体的な「オリジナル創作」の素材配布文化の基本理念や利用規約について記述している。その内容を一言で表すと「素材利用における徹底的な自由化」である。

 それは以下の4つの点でまとめられる。


・素材の加工・再配布の自由化(「オリキャラ」のBB素材化など)

・「オリキャラ」素材の他ユーザーによる新イラスト描き起こしの自由化

・「オリキャラ」素材の素材パック配布の自由化(様々なユーザーたちの素材をまとめたものを提供すること)

・自由な利用規約を設けることによる、絵師及びオリキャラの「人権」の尊重


 以上である。次章より「オリジナル素材」文化の理念と規約について述べていくものとする。

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