拡大する写真・図版 「はれのひ」の篠崎洋一郎・元社長を乗せ、成田空港を出る捜査車両=2018年6月23日午後4時35分、飯塚晋一撮影

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 着物店「はれのひ」(横浜市)が今年の成人式を前に突然店を閉じ、多くの新成人が晴れ着を着られなかった問題で、神奈川県警は23日、同社が決算を粉飾するなどし、銀行から融資を詐取したとして、元社長の篠崎洋一郎容疑者(55)を詐欺容疑で逮捕し、発表した。捜査関係者によると、容疑を大筋で認めているという。

 捜査2課などによると、篠崎元社長は2015年9月期決算で約5千万円の売り上げを架空計上するなどして債務超過を隠したうえ、新店舗の収益見通しを過大に見積もった計画書を作成。横浜銀行横浜市)に提出し、16年9月に融資金3500万円をだまし取った疑いがある。

 同社は11年に設立後、14~15年に神奈川県横須賀市福岡市に2店舗を出し、人件費などの経費が急増。15年9月期決算で、金融機関からの借入金残高が約2億円に達し、債務超過に陥っていたという。

 だが、その後も債務超過を隠したまま融資を受け、約1年の間に東京都八王子市茨城県つくば市千葉県柏市の3店舗を出店。16年9月期決算では、前期の架空売り上げなどの修正を余儀なくされたこともあり、借入金残高は約4億3700万円に上り、さらに債務超過が膨らんだ。

 以降は融資を受けるのが難しくなり、新成人ら顧客の代金を運転資金に回す自転車操業状態になったが、昨年12月まで新たな契約を取り続けた。今年1月には破産手続き開始が決定。新成人らの契約代金約3億4500万円を含め、負債総額は計約10億8500万円に上った。

 今年1月26日に記者会見を開いた篠崎元社長は、報道陣から「経営状況をよく見せかけ融資を受けたことはないのか」と問われた際、「ないです」と答えていた。(神宮司実玲、伊藤和也)